第28話 繋
4/24 木曜日
今日も俺は<クロスオンライン>にログインした。
宿の1階は食堂になっている。
「タツさん。おはようございます」
「あー…そうだ!アイソンか!なんの用だ」
その食堂の椅子に座っていたのはアイソンだ。
アイソンはあっさりしたラーメンのような物を食べていた。肉は入っていないとはいえよく食べるな。
「これを」
そう言って渡されたのは昨日投げ捨てた小太刀だった。
「ああ、ありがとう」
「では」
アイソンはラーメンを食べ終わると勘定をして出ていった。
俺は小太刀を見る。戦闘の切れ込みは氷で補強されているようだ。
「お兄さんは何を食べますか?」
西の草原に来た。
「ここが噂のゴブリン櫓か」
思ったより賑わっている。
あちこちに粗末ながらもちゃんとした屋台が建てられ、矢や投げ槍などの消耗品が並んでいる。そうか、ゴブリンは矢も自分で作るからスキルが身についているわけか。
草原の北東部の村から行商も来ているらしい。
櫓のゴブリン達は全員ハチマキをして角の先を黒く塗っている。
薄い金属板のついたハチマキは、ゴブリン達には再現できないだろう。
俺は投げ槍を5本に委託販売されていた火の点く御札、ついでに周囲を濡らす御札も2パックずつ買った。
草原の深くに行くとグレイウルフに絡まれた。
準備運動には丁度いいだろう。
「は、かかってきな!」
挑発されたとわかったのだろう、グレイウルフは姿勢を低くして突進してきた。
俺は小太刀を構え…
「グッ…ギャウ!」
小太刀でグレイウルフを誘い、噛みつきが来る瞬間に引く。
そしてサイドキックを入れる!
やはりグレイウルフはタフだ。倒れない。
ダッ!
怯んだ隙に俺は『ダッシュ』を使い距離を詰めると、喉に回し蹴りを叩き込む。
グレイウルフは倒れた。
その時
ビュン!
腰まで背のある草の中から槍が飛んできた。
俺は慌てて避ける。
そこにはハチマキをつけていないゴブリンが3体いた。
1体はあと2本槍を持ち、残りの2体はそれを守るように立っている。
草原の奥に行けばこのように兵科を分けるゴブリンがいるらしい。
てめえら、人の獲物を横取りしようとかふざけんなよ!
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