２６ レベリング
新月まではしばらくある。
各自パワーレベリングの続行とスキルレベル上げに励もうということになった。レオとクウォントから一緒に来た人たちは、ミースの部隊と合流してパワーレベリングを始める。
俺？
仲間外れにされたわけじゃないよ。俺はギルド訓練所を利用して、積極的にスキルレベル上げをするつもり。
今回の攻略における問題点は、魔法職の少なさにあった。
敵は全てアンデッド。
本来なら光魔法か火魔法で雑魚を一斉掃討できるはずなのに、現状では人材不足からそれができない。そうなると、魔法以外に対抗できるのは闇特効武器による攻撃一択……でも、それもそう簡単な話じゃなかった。
「
イベント名で分かるように、パニックになるほど大量に各種アンデッドが湧き出てくる。つまり、一体一体、刀で切っていたら間に合わない。
俺とレオはゲーム経験者で、かつＳＲ種族なので、先陣を切るのはほぼ確実。ここで是非とも範囲攻撃スキルを欲しくなる。
ところが、ＳＲ種族は正式配信から導入されたので、その特性やスキルについての情報が全くない。だからレベルが上がった際に、どんな種族スキルが来るかは、似たようなＲ種族を参考に推測するしかなかった。
その推測では、レオはレベル３０になった時に範囲攻撃スキルが出てくる可能性があるので、レベリングを優先する。
俺は先日レベル４１になった時に、刀術の範囲攻撃を取れたから、その威力を上げるのを優先してギルド訓練所でスキルレベルを上げることにした。ちなみに、ギルドランクは「ゴールド」に上がっている。
「レオ、また後でな」
「おう。源次郎も頑張れよ」
朝食後、レオや父、他のメンバーと別れた。
早速その足でハンティングギルドに向かう。さて、ここの訓練所の教官は、どんな人（ＮＰＣ）なのかな？
＊
「貴殿が修行を希望する者か。早速かかってくるがよい」
うわぁ、二刀流かよ。それにどう見ても侍じゃないか。いかにも剣術指南役っぽい教官が出てきて、その両手に刀があった。
二刀流は、以前動画でその動きを観たことはある。だけど対戦するのは初めてだ。二刀流相手って、どう動けばいいんだ？
教官は左手に大刀を片手上段、右手に小刀を中段にとっている。この型は「逆二刀」ってやつだったかな？
うーん。打ち込める場所が……ないわ。
二刀流は「防御が固い」と聞いたことがあるけど、固いどころか鉄壁じゃん。それに、間合いをはかるのも難しい。自分の間合いは大刀なのに、相手の間合いが小刀だからだ。
中段で中心を取ってみるが、なんか違う。そして小刀が邪魔。
……対上段と思えばいいのかな？
剣先を少し開いて、ちょい右上に外してみる。
おりゃ！ 打ち込み！
ガツッ！ お互いの刀身と鍔が激しくぶつかる。鍔迫り合いだ。そりゃあ、こうなるよな。
チッ！ 足を使って崩すか。
一旦離れ、反時計回りに回り込みながら、攻撃を入れる隙を伺う。
突きだ！ 外された。
左から！
……と見せて、右！ ダメだ、防がれた。攻め合いが続くが、なかなか崩せない。
クソッ！
こうなったら、攻めて攻めて攻め続けるぞ！ 何事も経験だ！
＊
……で、初日はボッコボコにされました。
この教官が、マジ半端ない強さだった。
オルレインにいた教官みたいなゲーム的トリッキーさじゃなくて、隙のない強さっていうの？
何を仕掛けても返されちゃう。守備力高過ぎ。
そして、大刀と小刀の連携が凄い。小刀に気をとられて、こっちが隙を見せると、すかさず片手上段がパーン！ って飛んでくるし。
「もっと果敢に攻めて来い！」と何度も言われて頑張った。だけど、まだまだ力及ばずだ。
うーん。もっとスピードがいるな。
俺が付け入る隙があるとすれば、フットワークと剣速。つまり振りの速さだ。
思い切りよく間合いを詰めて行くことも必要。それと……突きを磨くのも有効かな？ しつこくやってたら、嫌がってる感じがしたもんな。
迷ってたらアウトだ。
あとは実戦経験を積んでいくしかないか。
＊——短いのでもう１話更新するかもです——＊
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