第16話 アウトだよ

「逝ってらっしゃいませ☆」


「近頃転生者が増えてねぇか? 今日だけで三人目だぞ。回転率いいな」


「さすがに忙しいですね……。僕も疲れちゃいました」


「決算が近いので最後の追い込み時期という事情もありますけどね。他部署に負けぬよう積極的に死者を募集しているんですよ。現世の臨終間際の方達にも勧誘をかけてるのはその一貫なのです。これぞまさにルート営業ってね☆」


「てね☆じゃねえよ。神が積極的に死者を募るな。それは死神の仕事だから。そしてルート営業は決して上手くない。やってることは神の道から逸れてる。コースアウトだ。振り出しにもどれ」


「そうでもしないと競争が厳しいんですよ。ただでさえ国内に強豪他社がひしめいてるというのに、最近は外資も参入してるんですから……。数字のためならコースアウトからのショートカットだって辞さない覚悟です。なんならデスノートだって使ってやりますよ」


「ショートカットするな。お前のせいで人生ショートカットするやつが出るなんて笑えねえよ。即刻止めろ。新世界の神になろうとすな」


「ショートカットよりフェードアウトが適切ですかね」


「適切じゃねえよ。アウトだって言ってんだよ。一発退場だよ。頼むからセンシティヴな話題は気を付けてくれよ」


「暦蕩れ」


「いや蕩れも時代を先行くセンシティヴな言葉だと思うけども、っていうネタがそもそも相当前なんだけども、そこに気付く奴が何人いるんだ?」


「今日も相変わらず息がピッタリですね」


「貴方はなんで和んでるんですか。私達の掛け合いを見るなら有料にしますよ」


「はーいダーリンお久しぶりだっちゃ。あなたのアマテラスが来たっちゃ」


「おいおい勘弁してくれよ。これ以上突っ込めねぇって。雑すぎて処理できねぇよ」


「大丈夫だっちゃ。まだまだイケるっちゃ。だって、こんなに元気だっちゃ」


「完全にそれを想像させるフレーズですね。ツーアウトです」


「だな。そのままここから帰ってくれ。お前は出落ち要員だ。スリーアウトだ。ゴーホーム」


「知ってるっちゃ。好きな女の子にそういうことするの、ツンデレって言うんだっちゃ」


「マジで帰ってくれ。バルサン炊くぞコノヤロー」


「ごめんなさい調子に乗りすぎました。実は伝えたいことがあって来たの」


「何ですか? アマテラス様が直々に伝えたいこととは」


「えーそれではイザナギ様からのお言伝をを伝えます。ここ最近の卑弥呼様の報告に計上されている数字に、水増し及び不正が確認されたので、今月の人事考課は期待しといてくれ。とのことです」


「ドロンします!」


「フェードアウトすな」

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