第3話 逆襲しきれない
見るたびに感想がかわったり、新しい発見がある物語がある。
その一つが映画「逆襲のシャア」である。
公開が1988年ということです。
もう33年前の作品なんですね。
色褪せないとまではいいませんが今見ても十分楽しめます。
名作といっても過言ではないでしょう。
なんせこの作品以降アムロもシャアもはっきりとはでてきません。
ガンダムUNICORNでラーカイラムの艦内で写真立てにかざられたアムロがちらっとでるぐらいです。
フルフロンタルはシャアではないんですよね。声は完全にシャアなんですけどね。あと、赤井秀一でもないです。
あらためて見てみたのですが、まず気になったのがクエスというキャラです。
なんなんですかね。今みても共感はまったくえなかったです。
ニュータイプとしての感受性が強いばかりに人の感情が頭の中にはいってきて情緒は常に不安定です。
あったばかりのチェーンにアムロと一緒にいたいがために船からおりろといったりします。
チェーンにしたらなにこの子ってなかんじです。
でも同世代の男子にはもてます。
ハサウェイやギュネイはもうぞっこんです。ハサウェイにいたってはクエスを追うために単身ラーカイラムに乗り込みます。
戦艦に無断でのりこむなんて無茶苦茶ですよね。
クエスはっきりいって地雷キャラです。
すぐに感情的になって暴発します。
パイロットしての才能はあるのでしょうが情緒が不安定すぎて使いものになりません。
彼女のせいでニュータイプってややこしい人種だなとおもわれてもしかたありません。
それにひきかえ、チェーンです。
今回みなおして宇宙世紀でも屈指のいい女です。
役職はおそらくメカニック兼パイロットといったところでしょう。軍属の技術官僚といってもいいでしょう。
まさに才色兼備です。
アムロとともにニューガンダムの開発にあたります。
印象深いシーンがあります。
アムロの自室の前で待つシーンです。
十分で用意するといったアムロですがなかなかでてきません。そんなアムロを無重力のなか体育座りでまつのです。そのチェーンはとてもキュートでかわいいのです。
そんなチェーンですがネオジオン側についたクエスをひきとめにいったハサウェイに殺されてしまいます。
ハサウエイを助けるために半分こわれたジェガンで出撃し、クエスを殺してしまったためにハサウェイに逆に殺されてしまいまうのです。
チェーンかわいそうすぎます。
あんな地雷女のために死んでしまいました。しかもクエスをうしなったトラウマがハサウェイのこの後の人生に多大な影響をあたえます。地雷どころか時限爆弾女です。
もうひとり見る目がかわったキャラがいます。
それはカムランです。
ミライのもと婚約者ですね。
彼の出演シーンは少ないですが、非常に重要なキャラといってもいいでしょう。
彼はネオジオンと地球連邦の和平交渉の最中にシャアの策略をみぬき、ロンドベル隊のために核ミサイルを用意します。
シャアは和平交渉をするとみせかけて大量の金塊でアクシズを手にいれる策略だったんですね。おそらく連邦の高官たちはネオジオンに買収されていたかもしれません。その金塊はそういった意味合いかもしれません。
そんな中、カムランは極秘裏に核ミサイルを用意します。
アクシズが地球に落ちればかつて愛したミライが死んでしまうからです。
でもこれはむくわれない愛です。
すでにミライはブライトとのあいだに子供が二人もいます。
ハサウェイとチェーミンですね。
けっこう大きな子供がいます。
しかもロンドベル隊のために核ミサイルを用意したことがばれれば彼は死刑にとわれることが間違いないと彼自身がいいます。
そこまでしてかつて愛した女性、しかもすでに人妻のために行動にでるのです。
彼こそ宇宙世紀屈指の男のなかの男といってもいいでしょう。
アムロやシャアといったヒーローたちに目がいきがちですが、彼のような人物がでるのがガンダムの面白いところです。
もしミライがブライトでなくカムランを選んでいたら確実に宇宙世紀の歴史がかわっていたでしょう。
ブライトという男は常に戦場にいます。
一年戦争、グリプス戦役、ネオジオン闘争、そしてシャアの反乱にラプラス事件。
もうはっきりいっていつ死んでもおかしくありません。事実彼と行動をともにした人たちは数多く戦死します。
ミライとしては気が気ではなかったでしょう。
会計官僚ならその心配はすくなくてもないでしょう。
ところが危険な男にひかれてしまうものなのでしょう。
カムランは選ばれることはありません。
しかし、どんなにむくわれなくとも彼はミライのために行動したのです。
彼こそ逆襲のシャアの中での本当のヒーローと思います。
このように端役といってしまえるようなキャラにも思いをはせられるのは面白い物語の条件といえるでしょう。
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