第50話【激闘】
テツはバグレットに剣を向け叫んだ。
「やい! バグレット! お前は僕が退治してやりょ!!」
テツはなんだかの衝撃を受け、吹き飛ばされると岩壁へと激突した。
「あてて……なんだぁ今のは?」
「グルルルゥウウウ……」
バグレットを見ると、太くて長い尻尾が背後から飛び出していた。
「尻尾かぁ! やるなあ! よっと!」
テツは飛び起きると、構えをとった。
「行っくぞー!」
そして、バグレットへと突撃した。
「グルウウウウ……」
するとその時、バグレットは口を閉じ、上を向いた。
「ん! もしかして?!」
テツは咄嗟に緊急停止した。
「グバアアァアアアアア!!!」
バグレットは口からテツへと大量の炎を吐き出した。
「わわわ!」
テツは咄嗟に剣を前に突きだした、すると炎は真っ二つに引き裂かれ、テツの両側へと逸れた。
「おおお! すげー! この剣、炎を切っちゃったよ!」
テツがエリズスティードをまじまじと眺めていると、バグレットは口を開いて襲い掛かってきていた。
「おわ! は! よ!」
テツはバグレットの噛みつきをなんなく避けていた、するとバグレットは頬を膨らまし、無数の大きな炎の玉をテツへと吐いた。
「おわ! た! や! こんにゃろ!」
するとテツは数発の炎の玉を避けた後、剣を振りかぶり、最後の炎の玉を真っ二つに切り裂いた。
「どうだ! っん!」
しかし、その後バグレットの右手で弾き飛ばされ、またも岩壁へと激突した。
「あたたた……なかなか容赦ないじゃないの……」
その時、 上空からアンジがテツヘと叫んだ。
「テツ様ー! もう少し真面目にやられた方が良いかと!」
「もうー、アンジ、他人事だと思って! こいつ結構やるよ、よーし!」
テツはまた飛び起き、バグレットへと突撃した。
「グオオオオ!!!」
バグレットは再び炎の玉の球を吐くが、テツは全て躱し、バグレットの眼前へと飛び上がると剣を振り上げた。
「おりゃああああ!!!」
バグレットは口を大きく開き、再びテツへと炎を吐いた。
「はあ!」
テツは炎を切り裂くと、そのまま剣を返しバグレットへと突き上げた。
「ピギャアアアア!!!」
剣はバグレットの頬を切り裂き、バグレットの頬からは血が飛び散った。
「いよっしゃ!!」
「グオアアア!!!!」
バグレットは尻尾でテツを吹き飛ばした。
「あたた……あの尻尾、わかり辛いなあ……よーし!」
テツはまたも飛び起きた。
「切ってやる!!」
そう言うとテツは、またもバグレットの正面へと突っ込んでいった。
「ガアアアアア!!!」
バグレットは口を開け、テツへ噛みつこうと顔を突っ込んだが、テツは高く飛び上がりそれを躱した、そして背後まで行くと 尻尾へ剣を振り落とした、しかし剣は外れ、テツはまた尻尾で吹き飛ばされた。
「うーん……失敗……え?!」
岩壁に激突したテツへ大口を開け、バグレットが襲い掛かってきていた。
「わわわ!!」
バグレットはテツを丸呑みにしようと口を閉じるが、テツは両手両足でバグレットの上顎、下顎を押さえた。
「むぎぎぎぎぎ!!」
テツはバグレットの口を押さえる最中、口の奥から赤い光が迫るのを見た。
「え? うわ! やっば!!」
バグレットは炎を吐いた。
「グアアアアアアア!!!!!!」
炎を吐き出し終わったバグレットは、自分の口の中にテツの姿がないことに気が付いた、テツは瞬時に口ら脱出していたのであった。
「ふう……危ない危ない、危うく服を燃やされちゃうところだったよ」
バグレットはテツを見つけると咆哮し、翼を広げた。
「グオアアアアア!!!」
「お! 次はなんだ?」
バグレットは翼を交互にテツへと振った、すると竜巻のような風が吹き荒れテツを襲った。
「うわわわ!!」
テツは咄嗟に腕を前に交差し腰を落とすと防御の構えを取った、風がテツを襲うとテツの衣服を切り裂いた。
「あああー! 服が! なんだこの風!? 切れるのかあ!? あ、うわああー!!」
テツは切り裂かれた衣服に驚いたことで足腰の踏ん張りを解いてしまうと、また吹き飛ばされてしまった。
「いちちちん……ん! おおっととと!!」
岩壁に激突したテツへ向け、間髪入れずに炎の球が飛んでくると、テツは横に走りながら探した。
「おりゃりゃりゃりゃりゃりゃ!!!!」
テツはその勢いを増し、バグレットの周りを走り回りかく乱させた、バグレットはテツの動きを捉えられず、困惑していた。
「うーん……素早い動きにはついてこれないみたいね、まあ、あの大きさだし、攻撃重視ってことかな、じゃあとりあえず……」
テツは大きく飛び上がった。
「予定通り尻尾はもらうよん!」
そしてバグレットの尻尾の先を切り落とした。
「グオアアアアアアア!!!!!!」
バグレットは激高し、いたるところに炎を吐き散らした、テツは自分の元へ迫ってくる炎をエリズスティードで切り裂いた。
「こんな感じかな? 量がわからないからちょっとだけよっと!」
そしてテツはエリズスティードに自身のオームを込め、バレットへと剣を振った、すると剣先から光が放たれ、その光はバグレットの左腕を切断した。
「グギャオオオ!!!!」
「あああー!! ごめん!! 切り落とすつもりじゃなかったのに!!」
バグレットは翼を広げ、上空へと飛び上がった。
「あれ? どこいくの?」
バグレットが上空で止まると横にはアンジがいたが、バグレットはアンジには目もくれず、テツへと口を開いた。
「えー? 炎はもう意味ないよー! ん?」
するとバグレットの身体全体が赤い光に覆われ始めた、アンジは傍でそれを平然と見ていた。
暫くするとバグレットを覆っていた赤い光が口の前へと集まり、白い光の球体を成していった。
「ん? なんだあれ?」
アンジはテツへと叫んだ。
「テツ様! かなり高密度な炎の球体です! お気をつけください!」
「ええー?! 気を付けてって……」
「ゴオオオ!!!!」
バグレットは白い光の球体をテツへと放った。
「おし来い!」
テツは剣を構えた、光の球は大気を燃やしながら、テツへと猛スピードで向かって来た、そしてテツがエリズスティードで受け止めた瞬間、テツの足元の岩石が大量にめくれあがった。
「うおおおお……」
テツは球の力でどんどん火山の奥へと押し込まれていった、それを見ていたアンジは嬉しそうにしていた。
「素晴らしい……素晴らしい力だ……」
テツが火山の奥深くまで押し込まれて暫くすると、火山が震え始めた、そして遂には大噴火をおこした。
「グオオオオオオオオォォォォォ!!!!!!」
バグレットは勝利を確信したのか、 遠吠えのように空へと咆哮していた、アンジはそれをうっすら笑みを浮かべながら見ていた。
「グウゥ……」
その時、バグレットは何かを察知し、動きが止まった。
「グアオオオオオオ!!!!」
そして火山へ向け激しく咆哮し始めた。
「今の攻撃は……なかなか良かったよ」
噴火した火山の火柱の中から、銀白色の光に包まれ、不敵な笑みを浮かべたテツが現れた。
「グアオオオオオオオ!!!!!」
バグレットはまた全身を赤く輝かせると、白い光の球体を作り始めた。
テツはそれを見ると、持っていた剣はそのままに、左手を前に突き出した。
「ゴオオオ!!!!」
バグレットは光の球体をテツへと放った、テツはそれを今度は左手で受け止めた。
「んんんん……」
今度は吹き飛ばされることなく、その場にとどまり、テツは光の球を抑え込んだ。
「はああああ!!!!」
テツはバグレットの球を消し飛ばした。
「ふう……一発目よりかは結構威力も落ちちゃってたね」
「グルルルゥゥウ……グアオオオオオオオ!!!!」
バグレットは翼を大きく広げ、 テツへと猛スピードで突撃してきた。
「いいねえ……めげないその気持ち!」
テツは少し微笑むと剣を構えた、すると剣は輝きはじめ、テツはバグレットへ向けて剣を振った、剣先から放たれた光は、バグレットの右翼を切り落とした。
「グオアアアアア!!!!」
バグレットの右翼が切り落とされた瞬間、テツはバグレットの頭上へと移動していた。
「お疲れ様、もうこれで終わりにしよう」
テツは左手からバグレットへと光を放った。
「グオアアアアア!!!!」
バグレットはその光に飲み込まれ、地上へと落ちていった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます