第39話【鉄拳】
―― ジュロン・サンタニロとケイス・トゥードゥVS腕鎧のデズニード
「シェァァァアアアア!!」
サンタニロ隊長は斧を構えながらもデズニードへ叫んだ。
「おい貴様!! 貴様はゲルレゴンの兵士であろう!! なぜこんなことをしている!? 我らが来た以上貴様らに勝機は無い!! 降伏するんだ!!」
「そ、そうだ!!」
(えー! 説得ぅーーー?! あなたやる気満々だったじゃないですか!! てか私あなたの攻撃の合図で動くんですよねー?? 完全にタイミング見失ったよー!)
デズニードは黙ったまま動かない。
「……ちっ!」
「反応がありませんね……」
(今、ちっ!って言った? 切れた? シカトされたから? いやいやいや! 無理よ! あんな奴反応しないよ! 会話出来ないでしょ! 目ぇよく見てよ! 正気じゃないよ? しぇぁぁぁぁ!! とか言っちゃてんだよ?)
「ケイス……あの兵士……見覚えが無いか……?」
「見覚え……ですか……」
(ゲルレゴンの一般兵なんていっぱい良過ぎて覚えてないよ……てかいつ攻撃するのよ……でもなんか答えないとまた切れ…)
「ふん!!」
サンタニロは斧を投げた。
(いまぁぁぁぁああああ!!!!????)
ケイスはすぐさまデズニードの後ろへ回った。
(俺まだ答えてなかったよね? 今俺と会話してたよね?)
デズニードは迫りくる斧を既の所でかわした、投げた斧は大きく弧を描きサンタニロの手元へと戻った。
「隊長! 挟み撃ち成功です!」
(華麗に斧キャッチしてる場合じゃねーよ! 俺との会話のキャッチボールはどうしたよ!?)
テツはサンタニロ隊長の武器を物珍しそうに見ていた。
「あんな武器あるんだね? なんか投げたら戻ってきたよ!」
「そうですね……「 斧」自体はもちろんガルイードにもありますが、それを武器として使う兵士は初めて見ましたね」
「一体あの武器でどんな戦いをするんだろう? 楽しみだ!!」
サンタニロは再度斧を構えた、そして、それを見たデズニードも臨戦態勢に入った。
「…………」
サンタニロが一気にデズニードへと突っ込んだ。
「むうううん!!」
そして………………殴った。
(殴ったぁぁぁあああーーーーー!!!!!!!!) テツ&ケイス
デズニードはその場に倒された。
「隊長ナイスです!!」
(なんでだよ!? 斧どうしたんだよ!?) テツ & ケイス
サンタニロは斧を背中に収めた。
「敵とは言えども貴様はゲルレゴンの兵士だ! そんなお前を俺のバルニクスで切り殺す事など出来ん!! この拳で鉄拳制裁する!! 顔見知りだしな!!」
「さすが隊長!! 情け深い!!」
(いやいやいや!! その人もはや人間じゃないよ!! もう一度よく目を見て!! いっちゃってるでしょ!! 前に会った時もそんなんだったの!!?? てかその斧名前あったの!?)
「シェアァァアア!!」
デズニードは倒れた状態でサンタニロに剣を振るってきた。
「隊長危ない!!」
(斧が無いのにどうやって防ぐんだ!?)
「むん!!」
サンタニロは足で剣を止めると、デズニードをさらに床に殴りつけた。
(あしいいいーー!!!!)
デズニードは床に殴りつけられるも、またお構いなしに切りつけてきた。サンタニロはそれを後ろに避けるも、剣先が掠り、腹から血を出した。
サンタニロは気にも留めず、すぐさまデズニードに飛びつき蹴りを入ると、デズニードはケイスの方へと吹き飛ばされてきた。
(うわっ……こっち来たよ……)
「シェアアアアア!!!」
デズニードはケイスに向けても剣を振るってきた。
「ふっ!!」
ケイスはその剣を受け流すと、瞬時に三回斬撃を入れた。するとすぐさまサンタニロ隊長がそこへ突撃してきた。
「むううん!!」
そして………………ケイスを殴った。
「ぶへああ?!」
(ええええええ!!!!????)
ケイスはその場に倒れた。
「これは男と男の一対一の戦だ! 手を出すな!」
「す! すみません! 出過ぎた真似を!」
(おん前ぇえ!!!! 最初二人で戦う流れで言ってたよねー??!! じゃなきゃ俺なんの為の挟み撃ち??!! 最初の契約どこ行った??!! 一対一の契約いつ始まった??!!)
ケイスが怒られている間にデズニードは、壁際に飾られた甲冑から剣を取り、 双剣となった。
「双剣……」
(ほらほらー! こんなことしてる間にあいつなんか双剣になってるしー!)
デズニードは二人の元へ突っ込んできた。
「ケイス! 下がってろ!」
「はい!」
(言われなくてもー!)
デズニードは横なぎに剣を振るってきた、サンタニロは身体を後ろに反らしそれを躱すと、戻り際に拳を放った、 しかし反対横から追撃が来ており、キリギリで屈みそれを躱した。
起き上がりざまに下から拳を突き上げるも、その拳に対して剣が振り降ろされており、既の所で腕を引いたが剣先は掠り、腕から血が噴き出した。
デズニードは追撃を止めず剣を放った、サンタニロはしゃがみ込み、回転しながらデズニードの足を払い、その場を離れた。
「隊長……」
(双剣になったことで攻撃の手数が増え、拳を入れる隙が無い……)
「むぅん……ケイス! 心配するな!」
「はい隊長!」
(まあ、すべてはお前が蒔いた種だがな、綺麗に花が咲いちゃってますねー! 最後は摘み 「詰み」ますってかー! なんちゃってー!)
デズニードはまたサンタニロへと突っ込んできた。
「むう……」
デズニードは縦に剣を振り下ろすとサンタニは右に避け、 右拳を側面から打ち抜いた、それでも構わずデズニードは剣を突き放ってきたが、顔を捻って躱した。
そして左拳を放とうとするが、またすぐに剣が迫ってきた為、顔を伏せ躱した、下から拳を突き上げようとしたその時、デスニードは足で拳を抑え込むと、 剣を脳天へと振り落とした。
サンタニロは後ろへと避け、距離を取ったが、顔には数か所切り傷が付いており、 前髪が切られていた。
「隊長! やはり素手では無茶です! 武器を使ってください!」
(なにあれ!! ぷぷぷ!! 坊ちゃんみたいな髪になってるじゃーん!!)
「むううう……」
(確かに……奴の攻撃に対して受けが出来ず、避けることしか出来ん状態で奴を倒すのは、いささか無理があるか……)
するとサンタニロは近くにあった王室の椅子を手に取り壊すと、 補強で取り付けられていた大きなL字型の金具を二つ手に取った。
「うむ! さすがは王室の椅子だ、丈夫な金具で出来ている!!」
「サンタニロは金具の短い側を手の中に握り、長い側を腕の方にして構えた。
「隊長かっこいい!!」
(えー!? 結局武器使うなら斧使えしーー!?)
サンタニロはデズニードの元へと突っ込んだ、するとすかさずデズニードは剣を振るってきたが、 サンタニロは持っていた金具で剣を弾くと、拳で 殴りつけた。
「弾いた!!??」
(防具だったぁぁぁああああ!!)
デズニードは攻撃を続けるも、サンタニロは金具を使ってすべて弾き、逆に自分の拳を被弾させていった、そして暫く一方的な展開が続いた。
「むうううう……」
サンタニロの拳からは血が流れ始めていたが、 デズニードはいくら殴られても攻撃をやめることはなかった。
「あああ……」
(見てらんないよ……ボコボコじゃない……もう顔の原型ないし……もはやホラーだよ……斧でバッサリいってあげた方がよっぽどよかったんじゃないの……情け深い人が一周回って逆になんか非道い人になってるよ……)
その時、サンタニロは涙を流していた。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます