第10話 悪魔からのお土産

 窓の外からは祝砲の音が聞こえてきた。結婚を祝う祭りは最終日を迎えて民衆は沸き立っていた。教会の方でも修道女達が街に買出しを口実に遊びに出かけている。


「はぁ~」


 フェリシーは窓に頬ついてため息を付いた。修道院を囲っている塀の向こうから民衆の楽しい声が聞こえてきていた。


「いいな~。みんな~、私も行きたかったな~」


 フェリシーは前に一度教会を抜け出して参加したことがあったが、すぐさま修道女達に捕まり、二ヶ月間もヴィヴィの説教を受け続ける事になった。その苦い経験からもう抜け出すようなことはしないと心に決めていた。

 フェリシーはベッドにダイビングすると暇そうに手足をバタバタと動かした。今この修道院にはフェリシーを覗いて数人の修道女しかおらず、全員が雑務で忙しそうにしている。ジョージは残っているが、昨日の件で司教様に説教を受けて今は黙祷室に缶詰状態で主に祈りを捧げている最中だ。誰もフェリシーの遊び相手をする余裕はない。


「あれから一回も来てないよね」


 フェリシーは部屋の隅の方に視線を向けた。

 数週間前、突然部屋に現れたユーリと名乗る悪魔。フェリシーはあれからそれとなく悪魔について修道女達に聞いたり、調べたりしたが文献に載っている悪魔とユーリが同じだとはフェリシーは思えなかった。だから、もう一度会って確かめたいと思っていた。本当に悪魔なのか、どうして自分に会いに来たのかを、彼の口から聞きたいとフェリシーは思っていた。


「ユーリ」


 フェリシーは唇を布団に押し付けると小さく彼の名をつぶやいた。時間が経った今、あの日の出来事は夢ではないかと考え始めていた。泣きつかれた自分が見た夢だったのでないかと。


「ユーリ」

「呼んだか」


 フェリシーがもう一度名をつぶやいた瞬間、部屋の隅の方から声が返ってきた。フェリシーがゆっくりと後ろを振り返ると、そこにはこの前と同じように壁に背を預けながらこちらを見ているユーリの姿があった。


「約束どおり、名を覚えていてくれたな」


 フェリシーは唐突の訪問に先程まで聞きたいと思っていたことが頭の中からきれいさっぱり消えてしまった。かわりに混乱した思考が頭の中を駆け回った。


「え、あ、こ、こんにちは!」

「ああ」

「本日はお日柄もよく……じゃなくて、庭園のパンジーがでもなく!」

「落ち着け」

「え、あ、はい、お、お、落ち着いてますよ!」


 フェリシーはあたふたしながらベッドから降りると全然落ち着いていない口調で答えた。ユーリはその様子を見て、小さくため息を付きながら部屋を見渡して花瓶に生けてあった花に目を止めた。ユーリは視線を軽くあたふたしているフェリシーに戻すと再び花に視線を向けた。


「精霊よ。その姿を」


 ユーリは小さく呪を唱えると同時に指を弾いた。ユーリの指先から魔力が走った。指を弾いた音に気を取り直したフェリシーが目にしたのは淡いオレンジの光を放つ花瓶の姿だった。驚いていたフェリシーはさらに驚くことを目の当たりにした。光を放つ花瓶の裏から小さな子供が出てきたのだ。

 子供の左右の耳は尖っており、白い布を巻きつけた身体からは二対の蝶のような羽根が生えていた。子供は小さな羽根を羽ばたかせて宙に浮かび上がるとフェリシーの方にゆっくりと飛んできた。


「きゃっ!」


 驚きのあまり固まっていたフェリシーが突然、声を上げて後ろへ下がると子供も声に驚いて上体をそらした。そして恐る恐るといった感じでフェリシーを観察し始めた。


「花の精霊だ」


 どうしたらよいか困った表情をしていたフェリシーにユーリは言葉をかけた。


「はなのせいれい?」


 フェリシーは初めて見る精霊に心を躍らせ、精霊が自分にしているように精霊を観察し始めた。


「ああ、あの花瓶に生けてある花の精霊だ。……精霊は聖域に入れるようだな」

「これが……精霊」

「普段は人間に見えないように呪が掛けられているんだが、俺がその呪を解除した。精霊達はいつもそのようにして人間たちを観察しているらしい」

「ユーリには見えていたの?」

「いや、悪魔にも呪を掛けられた精霊を見ることは難しい。俺達の場合は精霊に掛けれた呪そのものを感じて、精霊の存在を知る」


 精霊はフェリシーをしばし観察した後、興味を無くしたように窓の方に身体を向けて飛んでいった。ユーリは窓を開けて精霊を部屋の外へと出してやった。精霊がユーリを横ぎる時に軽く会釈をしたように見えた。


「精霊さん、どこに行ったの?」

「他の花に宿りにいったのだろう。花の精霊は花の養分を糧に生きているからな。地面から離れた花にずっと宿ることはできない」

「じゃあ、花を摘んだら精霊さんはそこにはもう住めなくなるってこと?」

「そういうことになる」

「そう……なんだ。精霊さんに悪いことしちゃった」


 フェリシーはベッドに腰を落とすと下を向いてうつむいてしまった。自分が知らず知らずに精霊達の住処を奪っていたことに罪を感じているのだ。


「悪いと思うのなら、今度からは花瓶ではなく鉢植えにして花を飾るといい。精霊達は人間を観察するのが趣味だ。喜ぶと思う」

「……あの」


 フェリシーが言いにくそうに唇を動かす。


「慰めてくれているの?」

「慰める? いや、俺は思ったことを言っただけだ」


 ユーリが淡々と答えると、フェリシーは急に笑顔になった。ユーリはなぜフェリシーがそのような表情をするのか分からず首を傾げた。


「君のようなのを喜怒哀楽が激しいというのか」

「君じゃありません」


 フェリシーは少し強めに言葉を返してきたので、ユーリは少し驚いた。


「私、君じゃありません。ちゃんと名前があります。覚えて……ますよね」


 フェリシーの語尾が不安そうな声になる。


「フェリシー・マリア・ダーティンだったな。覚えている。ではフェリシー・マリア・ダーティン」


 フルネームで言われてフェリシーは難しい顔をした。気に食わないといった感じだ。


「言いにくくありません。それになんか他人行儀ですし」

「そうか? では……フェリシーでいいのか」

「はい!」


 フェリシーはうれしそうに返事を返した。ユーリはズボンに手を入れると一つの石を取り出して、フェリシーに向かって放物線上に放り投げた。フェリシーが何気なく手を前に出すと狙ったかのように、何か硬い物がフェリシーの手の中に落ちた。


「なんですか。この石?」


 フェリシーは手元に落ちた石を目の高さまで持ち上げた。石はいびつな形をしていて表面には無数の穴が開いていた。


「月で拾ってきた石だ。君達人間には珍しい代物だろう」

「へぇ~、お月様で……へ!?」


 フェリシーは驚いた顔をしてユーリを見た。


「月ってあの空に浮かんでる?」

「ああ、昨日帰ってきた」


 いつもどおり無表情なままのユーリに対してフェリシーは大きく口を開けたまま、固まってしまった。

 フェリシーにとって想像を絶する衝撃だった。

 月はどの山より高い場所に浮いていて、空を自由に飛び交う鳥達でさえいくことができないっとフェリシーは教えられている。人間が月に行けるのはその存在が魂のみになった時、つまり死んだ時のみ、そして死んだ魂は月で静かに暮らしてまた再び地上に戻ってくると。


(お月様の石? ウソ!? で、でも、ユーリは悪魔だし……鳥でも行けない高いところに飛んでいくことなんか簡単なのかも……)

「ど、どうやって行ったの!? お月様ってあんなに高いところにあるのに!」

「空を飛んでだ。まあ、月まで行ったのはなりゆきだがな。おかげで帰ってくるのに時間がかかった」

「えっと……皆は平和に暮らしていましたか?」

「みんな?」

「はい、月で暮らしている魂達です」


 真面目な口調で聞いてくるフェリシーに、ユーリは質問に答えずに目を閉じて黙ってしまった。


「ユーリ?」

「答える前に一つ聞いていいか。フェリシー」

「はい。なんですか」

「フェリシーは月とはどんなものだと聞いている?」

「えっと、空の高いところに浮かんでいて、死んでしまった人間の魂が平和に住んでいる所です……よね?」


 フェリシーはユーリに確認するように言う。フェリシーの答えを聞いたユーリは難しい表情を作った。答えにくそうに口を閉ざしているユーリを見ている内にフェリシーは不安になってきた。もしかしたら、魂となった人達は月で何か苦労しているのかもしれない。平和に暮らしていないのではと不安な考えが浮かんできた。


「誰だ!」


 突然、ユーリが天井に向かって叫んだ。フェリシーの不安で覆われていた思考が驚きで一気に消し飛んだ。天井を睨んでいるユーリにつられてフェリシーも天井に視線を向けた瞬間、目の前に人影が現れた。


「司祭?」

「ジョ、ジョージ!?」


 天井から飛び降りてきたのはジョージだった。ジョージはユーリからフェリシーを守るように体勢を移動する。


「あなたこそ何者です。彼女は聖女ですよ。一般人が話しかけてよい人ではありません。それに祭りで警備が薄くなっているとはいえ、ここまで侵入するとは……」


 ジョージの言うことはもっともだ。聖女であるフェリシーの部屋にいたユーリに対して警戒するのも分かる。だが、フェリシーはそれよりも最優先に確認しておきたいことがあった。


「ねぇ、ジョージ」

「フェリシー、下がっていてください。それから隙を見て人を」

「どこから入ってきたの?」

「呼んで……」


 ジョージは言葉を詰まらせると、フェリシーともユーリとも視線を合わせないように顔を背けた。


「そ、そんなことよりっ!」

「天井裏に通路があるな」


 あからさまに動揺したジョージの声をユーリは天井を見上げたまま遮った。直後にジョージの身体が固まった。


「どうやら各部屋の真上を通る形で通路が作られているようだ」

「ふーん、そうなんだ~」


 フェリシーは冷ややかな目でジョージを見た。ジョージはまだ、ユーリに対して構えを取っているが先程までの勢いは完全に無くなっていた。


「どうして天井の通路にいたの? 確か黙祷室でお祈りを捧げていたんじゃ……」


 ジョージは振り返ると早口でしゃべり始めた。


「そ、それはですね。兄妹の絆、または主のお告げで妹の危機をいち早く察知して、こうしていられないと取るものも取らず、急いできたわけですよ」

「なんで廊下から来なかったの?」

「天井裏の通路の方が早いんですよ。黙祷室からこの棟までほぼ直線で繋がっていまして、いつも暇を見ては覗いていたんですが……あっ」


 ジョージはしまったっと思い、急いで口を塞いだがもうすでに決定的な言葉が出た後だった。フェリシーはジョージを軽蔑するような目で見ながら距離をとっていた。


「い、いつも私の事……覗いてたんだ。実の妹のことを……」

「ち、違います。誤解しないで下さい! フェリシーの部屋まで来たのは今回が初めてです! いつもは手前のシスターエリシャの部屋を……あっ」


 ジョージは再び急いで口を塞ぐがもう遅い。すでに決定的な言葉は出てしまった。


「シスターエリシャかぁ~」


 シスターエリシャは女性であるフェリシーの目から見ても美人だと思う人だ。ミサなどでは彼女目当てで礼拝にくる男性がいると聞いたことがある。エリシャの怒った姿をフェリシーは見たことがない。いつも笑顔である。正にヴィヴィとは正反対の女性だ。


「ヴィヴィに言っちゃおう~」

「それだけは止めてください! 私、殺されます! 本当に!」


 ジョージは必死の形相でフェリシーに懇願してきた。目が潤んでいるのは気のせいではないだろう。確かにジョージの言うとおりこのことをヴィヴィに言えば、ジョージはこの教会を追い出される前にヴィヴィの説教地獄が待っているだろう。おそらく、三日三晩飲まず喰わずで。身体的よりも先に精神的に廃人と化してしまうのは目に見えていた。


「というか、この青年は何者です! 私の事より彼のことを優先すべきでしょう!」


 ジョージはユーリを指差した。話題を逸らそうという意図は分かりきっていたが、あまりいじめるのは可哀相だと思ったフェリシーは話題に乗ることにした。


「ユーリだよ」

「ユーリ? 彼の名前ですか。いったい何者です」

「え……っと」


 今度はフェリシーが言葉を詰まらせた。正直に答えたらジョージがどんな行動をするかフェリシーには想像がつかない。なんとか誤魔化そうとフェリシーはいままでの人生で一番頭を使い始めた。

 フェリシーが思案しているとそれまで黙っていたユーリが口を開いた。


「悪魔だ」


 ユーリはフェリシーに告げた時と同じようにあまりにもあっさりと自分の正体を口にした。ジョージは何を言われたか理解できずに固まってしまう。当然の反応だった。いきなり目の前の青年が自分のことを悪魔だと宣言したのだ。場所が場所なら、すぐに殺されてしまう宣言である。たとえ冗談でもまともな人間ならそんなこと口にはしない。


「フェ、フェリシー?」

「ははは……」


 どうしていいか分からずにジョージはフェリシーに助けを求めたが、フェリシー自身もどうしていいか分からないっといった感じで乾いた笑いしか口から出なかった。


「ははは、彼は今、なんと言ったのでしょう。疲れているようでよく聞こえなかったのですが」

「な、なんて言ったんだろうね」

「悪魔だと言った」

「……」


 ユーリの淡々として一言にジョージは再び固まる。フェリシーも乾いた笑い声を上げることしかできない。事の原因であるユーリは二人の反応を不思議そうな顔で見ていた。


「あー、ユーリ君? そのなんだ。冗談は良くないな~」

「冗談? 冗談などでない。俺は悪魔だ」

「……」

「どうした?」


 自分の事を悪魔だと名乗って平然としているユーリにジョージの精神が遂に崩壊した。


「じゃあ、証拠は!? 証拠はあるんですか!! ぜひ、見せて欲しいですね! あなた、頭がおかしいですよ!!」

「ジョ、ジョージ?」


 見たことがないジョージの態度にフェリシーはどうしたらよい分からず困惑した。


「証拠ですよ! 証拠! 早く出してくださいよ。蝙蝠のような翼でもなんでも!!」

「翼でいいのか?」


 興奮して口調が乱暴になっているジョージにユーリは冷静に受け答えをして壁から背を離すと前に一歩踏み出して背中から蝙蝠のような翼を左右に出現させた。


「……」


 あまりの想像以上の光景にジョージは言葉を失ってしまった。フェリシーも見るのは二回目だが同じく言葉を失う。そう簡単に慣れる光景ではなかった。


「どうだ。これでもまだ証拠が不十分だというのなら、次は魔法の一つでも見せるが」

「いや……う~ん」


 ジョージは少しの間困った顔をした後、何を思ったかユーリに向かって歩き始めた。正確に言えば右側に広げられている翼の先端に向かってだ。ジョージは翼を目の前にして恐る恐ると手を伸ばした。目だけでユーリを見て、触ってもよいかと確認を取る。ユーリは別に構わないのか、少し目を合わせただけで部屋の外へと視線を向けた。

 ジョージはゆっくりと翼に触れた。ジョージは翼を触りながら付け根であるユーリの背中に視線を向けた。ジョージの目にユーリの背中からは確かに翼が生えているのが見えた。


「満足したか?」

「え、ええ、はい……」

「私も触りたいな~」


 フェリシーは人差し指を唇に当てながら羨ましそうにしていた。


「無理だ」

「うん……分かってる」


 ユーリが軽く頭を下げるとフェリシーは少し残念そうに答える。近寄ればフェリシー自身の持つ聖域の力でユーリを傷つけてしまうことは前回会った時に分かっていたからだ。 


「ずいぶんとあっさり引き下がりましたね。いつもならもっと食い下がるのに」


 我が儘であるはずのフェリシーが簡単に引き下がったので、ジョージは疑問に思い聞いてみた。


「それって私が我が儘ってこと?」

「いえ、そういうことでは……」


 ジョージは翼から離れてフェリシーの隣まで戻る。


「あのね、ジョージ。私の周囲に聖域があってそれに触るとユーリが怪我するの」

「聖域? そんなものがフェリシーの周囲に在るんですか」


 ジョージは疑いの目でフェリシーを見た後、その視線をユーリに向けた。


「本当だ。目で見ることはできないが、確かに存在する」

「はぁ、そんなもの凄いものがフェリシーに……」


 ジョージはまだ信じられない様子でフェリシーの周囲を見渡した。確かにフェリシーは聖女として教皇が認めた存在である。しかし、それは国民の教皇に対する忠誠を高めるために国が適当に選んだものだとジョージは今まで思っていた。だが、実際にフェリシーには聖女としての力があるとユーリという名の悪魔は言っている。偶然か、きちんと選ばれた結果なのか分からないがジョージはフェリシーが、自分の妹が聖女なのだと始めて少し実感した。


「ユーリ君?」

「君付けは止めてくれないか。歯がゆい」

「では、ユーリ。なぜ、悪魔であるあなたはフェリシーに会いにきているのですか」


 ジョージの質問にフェリシーは唾を飲み込んだ。どうしてユーリが自分に会いに来るのかはフェリシー自身も聞きたかったことだ。


「……なぜ? なぜだろうな」

「真面目に答えてください。ユーリ」


 質問に対して質問で返してきたユーリにジョージは少し強めの口調で注意した。


「気分を悪くしたならすまない。だが、なぜだろうな。なぜ、俺はフェリシーに会いに来ているんだ」


 ユーリは本当に悩んでいるようで腕を組んでうねり声を上げ始めた。ジョージもフェリシーもその様子を黙って見ていた。しばらく悩んでいたユーリだったが、何か感じたのか急に窓の外を睨んだ。


「どうしたの?」

「すまない。用事ができたようだ。この質問には次回、来ることがあれば答えられるようにしよう」


 ユーリは壁に近づくと以前と同じように腕を沈ませていく。ジョージは壁に腕が沈んでいくのを再び大きな口を開けたまま眺めている。腕が完全に沈み、顔も半分が沈んだ所でユーリは不意にフェリシーの方を振り向いた。


「フェリシー、月は静かだった」


 それだけ言うとユーリは再び身体を沈ませて完全に壁の中へと消えていった。フェリシーは最初、何のことか分からなかったがそれが先程の自分の質問に対する答えだと分かるとうれしくなった。


「月? 何のことですか?」

「何だろうね~」


 ジョージの質問にフェリシーは意味深に微笑んだ後、ベッドの上に飛び乗りゴロゴロと転がり始めた。ジョージはなぜか嬉しそうなフェリシーの様子をしばらく眺めた後、足を扉へと向けた。ジョージがノブに手を掛けると同時にフェリシーの声がかかった。


「ジョージ」

「なんですか?」

「次、覗いたら本当にヴィヴィに言うからね」

「……」


 ジョージはノブに手を掛けたまましばらく固まった後、無言のまま逃げるようにフェリシーの部屋を出て行った。

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