サクLOVE倶楽部
「あっ、ハルちゃんおは……ど、どうしたの!? 顔が緑色だよ!?」
「おはよ、ルイ。サクラが二度と俺から離れないって言うこと聞かなくて。顔と一体化してるんだって」
視界も緑色だし、脳に直接わけの分からん言葉を呟かれること半日。
慣れてしまった自分が恐ろしい。
「そ、そうなんだ……今日は放課後までに同好会を決めなきゃいけないんだけど……どうしよっか?」
「……ルイと一緒ならなんでもいいや。ルイが決めてよ」
ルイの名前を呼んだ途端、呪怨じみた言葉が頭の中で繰り返されている。
気を抜くと洗脳されてしまいそうなので、恐らくはそういった類の何かなんだろう。
「うーん……どうしようかなぁ……!? ハルちゃん!? 身体が震えてるけど大丈夫!?」
「あぁ、呪われかけてるだけだから大丈夫」
◇ ◇ ◇ ◇
「ハルさん顔面ヤバい色っすね! 何食ったらそうなるんすか?」
「あぁ、豆とか葉っぱ食ってたらこうなってさ」
昼休み、ゲスからの話を適当に流しつつ同好会について考える。
って言ってもヴァンの同好会しか見てないから決めようがないのだが……
『さぁ、サクLOVE倶楽部に入るのです。愛しのサクラを愛でて愛でて愛で倒すのです』
相変わらず脳内に響くサクラの声。
大体そんな同好会作らなきゃ……
「……そうか、作ればいいのか」
◇ ◇ ◇ ◇
というわけで生徒会室に来た。
世人の生徒で成り立つ同好会は、これまた世人で出来たこの生徒会が管理しているらしい。
ちなみに生徒会長は一年時に就任した化け物のような生徒らしくて、以来ニ年間はその化け物によって新しい同好会は認められず、潰された同好会は百を超える……
「ってことであってます?」
「貴女喧嘩売ってるの? そんな態度でよく同好会を作らせて下さいなんて言えるわね」
で、この乳のデカい人が生徒会長だそうだ。
「心の声漏れてるけど? 忙しいから帰ってちょうだい」
「なぁゲス、この人なんでこんな偉そうなの?」
「ニ年連続で学校一の成績っすからね。俺ら文明人も気に食わないんすよ。黙ってれば可愛い顔してんすけどねぇ」
物凄い殺気が会長から漂ってくる。
この感じ……この前襲ってきたメールクリオルスってアンドロイドよりちょっと下くらいか。
……それってどんなもんなの?
『世人で言えば上位数%に入ると思われます。まぁハル様の鼻糞にも及びませんね』
世界最高峰が鼻糞とか言うんじゃないの。
「……あなた達── 」
「ハ、ハルちゃんがあなたよりも能力試験で上回ったらハルちゃんの言うことを聞いて下さい!!」
おとなしいルイが大きな声で叫ぶ。
さすがの会長も驚いたらしく、静まる室内。
それでもルイの真剣な瞳に折れたのか、鼻で笑いながら腕を組んだ。
「まぁ万が一も無いからいいけど。そのかわり私よりも低かった場合どう責任をとるのかしら?」
「逆にアンタはどう責任取るんすか?」
「あ、あなたは何を聞いてたの? ……まぁいいわ。ピンクの髪の貴女、貴女は私に負けたら生徒会に入りなさい。それが条件、いいわね? さ、出てってちょうだい」
去り際の会長は何かを企んでいるような顔で俺を見ていた。
……とにかく能力試験ってやつに照準を合わせなきゃだな。
「ルイ、ありがと。ルイのおかげで何とかなりそうだよ」
「ううん、勝手なこと言っちゃって……ごめんね」
『コロスゾォコムスメェ……』
能力試験なんて言うくらいだから多分イクスっていう超能力を使うんだろうな。
使い方を何回も練習すればこの身体なら……
「で、その能力試験ってのはいつやるの?」
「明日っす!!」
うん、無理かもしれんね。
TSアンドロイド ハルちゃん @pu8
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