閑話休題

 言葉は呪いだ。優しい言葉は違うじゃないかって? 否、優しい言葉も言われると嬉しい言葉もいつかは負担になる、苦しめられる。ほら、言葉は呪い以外の何物でもないだろう? 過去に捕らわれ、未来に怯え、悲しそうに俯く。

 楽しんでいようが落ち込んでいようがお構いなしにそいつは急に襲い掛かってきて、何食わぬ顔でそこに居座る。傷を残していく。

 傷ついたら救済者が現れるなんて御伽噺の中だけで、人生はそんな都合よくできていない。わかっていても縋ってしまうなんて愚かで、美しいじゃないか。人間らしくて素敵だよ。目を背けても、耳をふさいでも、すべてを遮断して殻の中に閉じ籠っていても現実はそこにあって、進むも戻るも結局は私にしかできないし願っても祈っても縋っても逃げても何も変わらない。救済者が居ても私が閉じ籠っていたら救われない、何も変わらない。変わる準備ができていないと、その気がないと何も変わらないじゃないか。メシアが現れて人生が変わるだなんてできすぎた物語。

奇想天外なことなんて起こらない、起こるわけがない。


「どうか私を見つけてください」

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