閑話休題
言葉は呪いだ。優しい言葉は違うじゃないかって? 否、優しい言葉も言われると嬉しい言葉もいつかは負担になる、苦しめられる。ほら、言葉は呪い以外の何物でもないだろう? 過去に捕らわれ、未来に怯え、悲しそうに俯く。
楽しんでいようが落ち込んでいようがお構いなしにそいつは急に襲い掛かってきて、何食わぬ顔でそこに居座る。傷を残していく。
傷ついたら救済者が現れるなんて御伽噺の中だけで、人生はそんな都合よくできていない。わかっていても縋ってしまうなんて愚かで、美しいじゃないか。人間らしくて素敵だよ。目を背けても、耳をふさいでも、すべてを遮断して殻の中に閉じ籠っていても現実はそこにあって、進むも戻るも結局は私にしかできないし願っても祈っても縋っても逃げても何も変わらない。救済者が居ても私が閉じ籠っていたら救われない、何も変わらない。変わる準備ができていないと、その気がないと何も変わらないじゃないか。メシアが現れて人生が変わるだなんてできすぎた物語。
奇想天外なことなんて起こらない、起こるわけがない。
「どうか私を見つけてください」
短編集 夜が明けるまで、 かなむ @nns2s2
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
フォローしてこの作品の続きを読もう
ユーザー登録すれば作品や作者をフォローして、更新や新作情報を受け取れます。短編集 夜が明けるまで、の最新話を見逃さないよう今すぐカクヨムにユーザー登録しましょう。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
この小説のタグ
関連小説
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます