24話 裏切り

「ふんっ、ここはリロイラ、王国の小娘がしゃしゃり出てくる場ではないということだ。これで反対三票で閉会で問題ないな」

 エウロパが席を立とうとしたところで、ジェフリーが答えを出した。


「うん、その上で僕は賛成に入れますよ」

「そうだろう、反対だなっ……はぁっ!?」

「えっ!?」


 誰もが驚いたはずだ。

 散々、反対にしそうな雰囲気にしといて、さらっと逆をついてくるなんて。

 でも、私以上に驚いていたのはエウロパだった。


「貴様っ!! どういうつもりだ」

「どういうも何も我々の意思は尊重されるべきであり、その云々は先程あなた自身が仰ったことではないですか」

「貴様……」

「エウロパ、賛成が三票でこの提案をリロイラは受けることとする」


「まてっ、忘れたのか……王国に全てを奪われたことを……」

「それは俺らの祖先の話であって今を生きる俺たちの話じゃないだろ、お前は違うかもしれんが……」

「ジェフリー、こんな舐めた真似をしてどうなるか分かっているだろうな」


「ふぅ、脅しですか……我々は商人であり、損得勘定で行動する。ときには言葉巧みに相手を騙し、契約の穴を突く。外から見れば汚いと思われても

それが我々の誇りのはず。それでも最低限のルールはあるでしょう。脅して契約書にサインさせるなど目に余りますよ」

「なんのことかな?」

「アルジェルの家族を人質に取っているでしょう」

「ふっ、何を戯言を……証拠も何もないだろう」


 エウロパとジェフリーが話をしているが、どうなっているんだろう。

 とりあえずエウロパがアルジェルの家族を人質に取って、反対にさせたと。


「エウロパ、今頃俺の部下がそこら辺を調べてる。もちろんお前の商会や自宅、倉庫も全てだ。すぐに答えが出るはずだ。もしも、そんなことがないのなら黙って座っていろ」

「そんな勝手が許されるとでも思っているのか!!」

「これは俺らの決定じゃない。元老院が動いている」


「ちっ……まぁいい。リロイラはもう終わりだ。帝国がリロイラも王国も全てを飲み込む。手始めにアルスター領が潰されてその後はリロイラ、そして王都だ!! はっはっはっ、はっはっはっ」

 エウロパは足早に部屋を出て行こうとする。


「憲兵はん、エウロパのクソ野郎を拘束しいや!!」

 エウロパの周りをリサさんの声で部屋に入ってき憲兵たちが囲う。


「ぐあっ」

 しかし、その中の二人が他の憲兵を攻撃し始めた。


「ふん、俺の力を舐めすぎたな、帝国はお前たちが思っているよりもリロイラに根を張っているぞ」

 そう言って部屋を去っていくエウロパの後を議員の中からも数人が立ち上がって追いかけていく。


「ちっ、元老院に連絡を取れ。戦争になるかもしれない」

「せやけど、エウロパが言ってたことにどこまで信憑性があるかやないの」

「ほぼ間違いないですよ。帝国の動きはここ最近活発になっていましたから」


「オリヴィア嬢、申し訳ないがこういう状況になってしまった以上、先の話は一旦保留になりそうだ」

「私たちにも何か手伝えることがあるなら……」

「そうだな……」

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