マモル 3

 5月20日、サツキの15歳の誕生日。子供達の誕生日は、みんなで盛大にお祝いする。

 お祝いの時は、リビングの大きな画面を使うことが出来る。天井から床まである大きな画面真ん中に、サツキが立っていた。みんなお揃いのジャージじゃない、誕生日にもらえる特別な服を着たサツキは、すごく大人っぽくてきれいだった。

 僕は吸い寄せられるように、画面に近付く。

『マモル』

「サツキ……」

『ありがとう』

「えっ?」

『贈り物。“お菓子の家”、作ってもらったよ』

 サツキは後ろのテーブルから、何かを持ち上げて見せる。

『うわー!』

『すごい!』

『なんだそれ?』

 みんなの質問に、サツキは満面の笑顔で答える。

『“お菓子の家”よ。栄養バーをいろんな形にして、それを繋ぎ合わせて作ってもらったの』

 チーズ味の壁、チョコレート味の扉、メープル味の屋根には、色とりどりのフルーツ味が形を変えて飾り付けられている。

 食べ物と言えば、棒状の栄養バーしか知らない僕達に、それはとても魅力的に映った。

『マモルのアイデアよ。マモルの贈り物なの』

『いいなー』

『私の誕生日にも、作って欲しいー』


 それから、誕生日に“お菓子の家”も贈られるようになった。

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