第九十話

「えー新入生諸君には…」


話長ぇ…かれこれ1時間ぐらい喋ってるでしょ絶対


ここはエルシュラ国魔法学園、最高峰の魔術師を生み出し。適性を持つ全ての子供達の憧れの学園である


その魔法学園に俺は立っていた。魔法の知識を、技術を、経験を得るために。そしてもう1つ…


最後の勇者の仲間を探す為に…




「リュートと同じクラスですわ!ふふ…!」


「俺もだ!いや〜皆一緒で良かった良かった」


俺のクラスは…特級クラス?絶対特別扱いですよね?

目立つよね、これ…もう目立つのはうんざりなのに


「普通のクラスが良かったなぁ…」


「まぁまぁそれで一緒のクラスに慣れたんだからいいじゃないか!さてクラスは何処にあるんだ〜?」


俺たちは特級クラスを探しに校内を歩き回る、流石に

クラスは普通の教室だろう


「…」


「…と、特級クラスってここだよな」


「え、ええ…そのはずですわ」


そこは明らかに特別感をむき出しにした、でかでかと特級クラスと書かれた豪華な教室だった


「でさ〜、ん?なんだあの教室」


「あれって特級クラスだろ?」


「きゃー!あそこにいらっしゃるのは勇者様よ〜!」


「本当に勇者様が入学してたんだな!お、俺握手してもらおうかな」


「まてまて、同じ空気を吸うだけにしとけ。畏れ多いぞ」


「はぁ…私勇者様の先輩になるのかしら…もう死んでもいい…」


「だ、誰か!先輩が鼻血を出して気絶してます!」


「…」


「り、リュート…」


「…誰か俺を殺してくれ…」


涙を流しながら切実に俺はそう呟いた



俺は目立つのが大嫌いだ、勇者の癖に何言ってるんだと思うだろうが。それは俺がやらなければならないからであって本当は勇者なんて目立つしやりたくは無い


あの声が聞こえなかったら勇者なんて断っていたはずだ、だから出来ればひっそりと暮らしたかった


前世だって魔族の長なんて苦痛で仕方なかった、レアの忠告を無視して逃げるように暮らしていたのだ


俺が目立つとみんな不幸になってしまう…前世の、いや前前世の両親の様に…



「…おーいリュート大丈夫か?」


「え、ああうん大丈夫」


まぁそれは前前世の話だし今は学園生活を楽しむんですけどね!青春を謳歌するぜ!1年だけだけど!


『気持ちの切り替えがお早いことで』


うるせえ!もうシリアスなのはうんざりなんだよ!


「うわ椅子が柔らかい」


机も拾いし…いやこんなに使わんよ、一体何を勉強すればこんな広さの机使うんだよ


「…人少なくね?」


「そうですわね…席を見る限り私達3人と残りは…4人しか居ないみたいですわ」


「王子と王女と勇者がいるクラスだろ?絶対他の奴も普通じゃ無さそうだ」


「…!貴方はあの時の!」


「…ん?ああ、君は!」


そこに居たのは試験の時助けた男の子だった、ここに居るということは…


「君も特級クラスなの?」


「はい!あ、僕の名前はシノン・カーセラルです!」


「俺はリュート・レギオス、よろしくね」


「や、やっぱり勇者様だったんですね…!」


尊敬の眼差しが眩しい…


「ま、まぁね、でも同じクラスメイトなんだし敬語も要らないよ」


「そ、そうですか?じゃあお言葉に甘えて…えへへ…やっぱりリュート君は優しいんだね」


シノンが照れながら笑う、同じ同性なのにドキッとしてしまった…そういう趣味は無いのに


よく見ると男の子なのに凄く可愛い見た目をしてるな

白金色の綺麗な髪色だし、瞳も透き通った空色の目だ


まぁ男の子なんですが、俗に言う男の娘って奴かな


「そんな事ないさ」


「ふふ、よろしくねリュート君!」


「リュートは早速友達作ってるし…これが勇者パワーか…」


「おや!君達も特級クラスなのかい!?」


周りに炎のオーラが見えるほど暑苦しい奴がこちらに向かってきた、髪も赤く、瞳も燃えてる様に赤い


「俺の名前はホット!ホット・ハートだ!よろしく!」


名前に性格引っ張られすぎだろ、ん?なんかデジャブ


「むむ!よく見たらこの国の王子と王女様では無いか!更にその隣は勇者様と…よく分からん!」


「あ、ああよろしくなホット」


戸惑いながら握手をするルシュ


「よろしくお願い致しますわ」


丁寧にお辞儀をするエリス


「よく分からん…僕よく分からんなんだね…」


ショックを受けるシノン


「は、はは…よろしくホット」


「なになに?もう自己紹介してんの〜?私も混ぜてよ〜!」


太陽のような明るい髪に、これまた太陽のように熱い瞳を宿した少女がこちらへ走ってきた


「私の名前はカナリー!皆よろしくね!」


「ルシュだ、よろしくな!」


「エリスですわ」


「シノンだよ、よろしくね」


「ホットだ!!!よろしく!」


「リュートだ、よろしく」


「ふぉー…皆凄い有名人ばかりだねぇ!私も負けてられないよ!」


なんの勝ち負けなんだろうか


「これで6人、あと一人は…」


「見かけませんね」


遅刻か?入学初日から遅刻は中々のやんちゃな生徒らしい


「ん?廊下から走ってくる音が聞こえるな」


「おっ、もう1人かな〜?」


「どんな人だろう?」


「接しやすい人がいいですわね」


「特級クラスだし有名人かなんかだろうなぁ…」


そしてその人物が教室へ走って入ってきた


「…!」


えっ、まさか


「…!?」


「ゆ、ユーナ?!」


まさかの最後のクラスメイトはユーナだったのである


「シスター見習いで勉強してるはずじゃ…」


「…!」


サムズアップをしてドヤ顔をするユーナ


「勇者の仲間になるんだし学園には入学しといた方がいいとシスターに言われたと言ってますわね」


「今のジェスチャーだけでそこまでわかったの?!」


エリスはエスパーだったのか?


「なるほど、アンタが例の2人目の勇者仲間か。よろしくな!俺の名前はルシュ、同じ勇者の仲間だぜ」


「…!」


2人は握手をする。これから先、命をかけて共に戦う仲間だ


「よろしくですわユーナさん、エリスですわ」


「…?」


いつも会ってるじゃんと言わんばかりに?マークを浮かべる


「ち、ちょっとユーナさんこちらへ…」


「…」


2人はコソコソと何かを話し、また戻ってきた


「もしかして2人は知り合…」


「ち、違いますわ、今回が初めましてですわ」


「…!」


ユーナも頷きまくる


「そ、そうか」


怪しすぎるけど、まぁいいか


「これで全員だな」


勇者の俺と、王子のルシュ、王女のエリス、勇者の仲間になるユーナ…あとの3人はどんな凄い人達なんだろう?特級クラスに入るぐらいだからな…


「あら全員揃ってるじゃない」


「えっ…」


「それじゃ、私が今日から貴方達の先生となる…」


「ロミリア学園長…?!」


「そういう事、よろしくお願いするわ」


「「「ええ?!」」」




まさかの担任の先生は学園長でした

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