第七十八話
「ぐへへ…このテンプレ悪者シスターはどうしてやろうか…!」
「んん!むぐぐ!」
縛られて声も出せないシスターは涙を流し俺から逃げようとする
「とりあえず…その不愉快な黒いオーラを引っペがしてやるよ」
俺はシスターに上に乗ると魔法を使った
「無属性魔法:魔力干渉」
「むぐぐ!んんんん!んん…」
「えーと…アイツの魔力はどこかなっと…」
「むぐ…んん…」
「あったあった…それじゃあちょっと痛いけど我慢しろよ?」
「…?」
「複合魔法:洗脳解除!」
「むぐううう!!んんん!!」
じわじわとシスターの魔力からアイツの魔力が引き剥がされていく。そして…
「よし出たな、複合魔法:光聖魔弾!」
光の魔弾にアイツの魔力はかき消された
「ふぅ…アイツの魔力を消すのに3つも魔法を使わなきゃならないから結構疲れるな…どうにか改良できないかな〜」
まぁ、また今度でいっか…今はシスターの様子を見てみよう
「うう…私は…」
「気がつきました?」
「ああ…勇者様…私はなんて事を!勇者様に無礼を働いて…あの様な者を神と崇めていたなど…!女神エルシュラ様を裏切ったのも同然…うう…」
「操られていたんですよ、別に貴女が自らやった訳じゃ無いんですし気にしなくてもいいと思いますけど」
まぁ俺の場合はそうもいかないが…シスターはまだやり直せる
「勇者様…なんとお優しい方なのでしょう…流石は女神エルシュラ様に選ばれた方…」
何故か顔を赤らめるシスター、すみませんもうハーレムはお腹いっぱいです
「ま、まぁ何はともあれそこの少女には謝っておくといいんじゃないですかね」
「そうですね…ユーナ、私は許されない事をしてしまいました。謝っても許すなんて出来ないでしょうがどうか謝らせて欲しいの…ごめんなさい」
シスターはユーナに深く頭を下げ謝った
「…」
ユーナがシスターの手を握る
「ユーナ…?」
「…ゅ…す…」
掠れた声で小さく、許すとユーナはシスターに伝えた
「ああ…ユーナ…なんて優しい子なの…!ごめんなさい!ユーナ!うう…ぐすっ…」
2人はお互い泣きながら抱きしめ合った、よかった。シスターを助けられて
「さて…まだまだこれからだ」
「妹様を助けに行かれるのですね」
「ええ、…そうだミリシャの居場所って知ってますか?」
「そうですね…確か操られていた時に妹様を見た気がします。ご案内しますね」
「ありがとうございます」
俺はシスターに案内され、教会の地下の大広間へと向かった。何故かユーナも一緒に
「えーとユーナ?これから多分戦闘になるし棄権だから戻った方が…」
ユーナは俺の袖を掴んで離さない、その目はとても力強く覚悟を決めた目をしていた
「…」
「ユーナ…分かった、一緒に行こう」
「…!」
「ただし、危険だと思ったら逃げるんだよ?」
「…」
頷くユーナ、なんで着いていきたいのかは分からないが何か理由があるのだろう。ま、守る人が1人増えるだけだ、なんて事ないさ
そうしてついに大広間へと着いた
「ミリシャ…!」
「…あ…お兄ちゃん…!うう…」
「ようやく来たか…勇者よ」
大広間には家を襲撃した奴らと神父と思われる男がミリシャを囲んでいた
「ミリシャを返せ!」
「ふはは!ああ…!いいだろう返してやる」
やけに素直だな…何かあるのか?
「…お兄ちゃん!逃げて!」
「なに?」
「返すのはいいが…死体としてだがな…!」
「何を言ってるんだ!くそっ…!」
俺は走り出す
「さぁ!勇者の妹を生贄にし、我が神の御加護を我らに与えたまえ!!」
神父はナイフを懐から出して…そしてミリシャに向かって振り下ろす
「くそおおっ!!ミリシャー!!」
間に合わない!何か、何かないか…魔法…圧縮魔弾を使えば!
「無属性魔法:圧縮魔弾…っ!」
手から放たれた魔弾は神父に当た…らなかった
「無駄だ、私の居る場所は少々特殊な細工がしてあってな。魔法を遮断するんだよ!」
「なんだと…!」
そんなのどうすれば!!もうダメだ…!
…
スキルがあるだろう?何のために授けたと思っているのだ?
…
バーンの声が聞こえた気がした
「…!スキル:肩代わり」
ナイフはミリシャに刺さり、胸には血が溢れ…
「ごふっ…」
「…お兄ちゃん?」
てはいなかった、代わりに血を吐いたのは俺だ
「なん…だと?」
「…はぁ…はぁ…前世で使わなかった…スキルが…今役に経つとはな…は…はは…」
スキル肩代わりとは、選んだ対象のダメージを全て自分に肩代わり出来るスキルだ。
魔族の時は使わなかったが…守るものが多い今なら、これ程俺にピッタリなスキルは無いな…
「…お兄ちゃん!いや…!そんな…死んじゃヤダ!」
「…死なないよ…皆を守るまでは…!死なないし死ねないね」
もう1つ今の俺にピッタリな理由がある
「…中癒回復」
胸の傷が塞がっていく、そう今の俺は回復魔法が使える。多少の傷なら時間をかけて治せるのだ、痛いけど
「ふん…また刺せばいいものよ!」
「させるか…無属性魔法:魔力瞬進」
この距離なら十分間に合う
「何?!」
「おらっ!」
「ぐわっ!」
俺は神父を蹴り飛ばし、すぐさまミリシャを抱えると距離を置いた
「…くそっ…!お前たち…何をやっている!勇者をやれ!」
「…はっ…全ては偉大なる神ベル様の為に…」
黒フードの奴らがこちらへ向かってくる
「…お兄ちゃん…私のせいで…ごめんなさい…」
「ミリシャのせいじゃないさ…悪いのは俺だ、もっと気をつけとくべきだった。狙われていたのは知っていたのに…」
「…お兄ちゃん…」
「だけどもう安心していいよ、もうミリシャを傷つけたりさせないから」
「…うん…ありがとう…お兄ちゃん」
「シスター…ミリシャを頼みます」
「分かりました、命にかえてもお守り致しましょう」
「ありがとう」
「我が神の生贄になるといい!」
「あんなのが神だなんてゾッとするな」
「我が神を侮辱するなああ!!」
黒フード達はあのナイフを俺へと振りかざす
「光魔法:魔光縛り」
「ぐうう!!!なんだ!これは!」
「離せ!くそっ!」
「さてさて、魔力干渉の時間だよ」
「何をする!やめろ!」
「無属性魔法:魔力干渉」
「ぐわああ…!何だこの感じは!やめろおお!」
「どこかなー…んー…?あれ…見当たらない…いやそんなはずは…」
「くく…ははは!!」
いきなり神父が笑いだした
「何がおかしいんだよ」
「いやいや、まさか私達が偉大なる神に操られていると勘違いしているようでおかしくてな」
「なんだと…?」
「そこのにいるシスターとは違って私達は…」
神父の顔が歪む
「自ら我が神に忠誠と信仰を誓っているのだよ」
その顔はまるで…あの時のアイツの顔を思い出させるような酷く悪に満ちた顔をしていた
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