第六十五話
「マリン姉はギルドの受付嬢なの?」
「うん、そうよ。リュウ君やイリスちゃんの依頼を処理したり雑用したり色々ね」
あの後俺たちはローグの冒険者ギルドへと向かっていた。それにしてもこの短時間でめちゃくちゃ仲良くなってるな…本当の姉妹と言われても納得しそうだ
「リュウはギルドに着いたらなんかクエスト受けるか?」
「そうだね〜…いいクエストがあれば受けたいね」
父上の街だし、貢献できるならやりたい
「リュート様のお父様は確か、水災のアルト様でしたよね?」
何その異名…聞いたことないんですが…?
「えっ!あの水災のアルトかよ!だからそんなに強いのか…なるほどなるほど…」
「えっ…俺の父上ってそんなに凄い人なの…?」
「そりゃもう、レディッサ様を除けば2番目には強いかと」
「そ、そんなに強かったのか…父上」
普段は領主の仕事をしながら親バカっぷりを発揮しているあの父上が…
「でも父上は2番目に強いとして、1番目は…?」
「魔法学園の学園長であるロミリア・ランゼルク様ですね〜レディッサ様と同等レベルだと噂されてる位ですし」
「あの…レディッサ先生と…それは強そうだな」
魔法学園にはいつか行くことになるし、どんな人か見ることができるだろう。楽しみだ
「おっ、ここがこの街の冒険者ギルドか」
ミラノワに比べると小さいけど、でも想像してたよりかなり立派だ。他の店が小さく見えるよ
「ねぇリュート!一緒にクエスト受けない?」
「姉上と?いいけどまず冒険者登録しなきゃ…」
「ふふん、これなーんだ」
「そ、それは!ギルドカード!て事は姉上も冒険者なの?!」
姉上がドヤ顔でギルドカードを見せびらかしている
「まぁね〜?まぁランクはまだDだけど…」
「それでも凄いよ!姉上凄い!」
「むふふん」
最早ドヤ顔を通り越してる鼻まで高くなっている、凄い鼻が伸びてるよ
「じゃあ3人でクエスト受けよっか?」
「私は構わないぜ〜」
「本当は2人きりがいいけど、私も別にいいよ」
「よろしくな、サラ」
「うん、よろしくね、えーと」
「イリスだ」
「イリスさん!」
「別にさんは要らないよ、リュウの姉だしな」
「そう?ならイリス姉!」
余程妹に飢えていたのか、また姉をつけてるな。きっと俺には分からない姉上なりの憧れがあるのかな
「ふぁ…イリス…姉…私が…姉…」
イリスが顔を伏せニヤニヤしている、尻尾は荒れ狂っている。
「行こう、イリス姉」
「うん!ふへへ…いつも年下に見られていた私がお姉ちゃん…!いい…」
イリスも中々苦労している様だ、今度俺も年上のお姉さんとして扱ってあげよう…俺はしみじみと思うのであった
「うーん、いいクエストはあるかな〜…」
「そうだな〜この時間はもう殆ど良い奴は取られてるかもな〜」
「そっか…残念」
俺はクエスト掲示板を注意深く見ていた、大体が護衛や強い魔物の討伐だ。姉上も居るとなると手頃なものがいいんだが…
「ん…?魔石の納品?なんだ魔石って」
「ん?魔石も知らないのかよ、いやそっかミラノワは魔石はもう無いんだったな」
「あ、私学園で習ったよ!確か魔力が込められた石だよね!」
「そうだな、偉いぞサラ」
「えへへ…ありがとうイリス姉」
イリスは姉と呼ばれて上機嫌だ、それにしても魔力が込められた石か…見てみたいな
「いつか見れるといいな…」
「何言ってんだよ、日頃見てるじゃないか」
「えっ?」
「店の灯りだって雷の魔石で照らしてるし、水だって水の魔石で飲んでるだろ」
「ええ?!あれ電気じゃなかったの?!」
「なんだよデンキって?」
「ああ、いやなんでもない」
いや普通にご都合主義的な、てっきり生活に必要なものだけは化学が発展してますよ的なあれかと…
「それならめちゃくちゃ需要あるね…」
「まぁな、でも最近は魔石不足になってきてるって噂だからな…ミラノワも前までは魔石が採掘出来たらしいけど、ちょっと前に掘り尽くしたらしいからな」
「それヤバいじゃん…」
原始的生活を強いられるのか…
「だから今は魔石を人工的に作れないか色々研究されてるんだよね?イリス姉」
「そ、そ、そうだな…うん…その通りだ」
絶対知らなかっただろ、顔から冷や汗出てるよ
「じゃ、じゃあ今回は魔石の納品クエストやるか!」
「うん、分かった」
「えへへ…リュートと鉱山デート…楽しみ…」
そんなデートがあっていいのだろうか…いやまず姉上はそれでいいのか…
「私も居るんだけどなぁ…」
イリスの嘆きは姉上には届かなかった。
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