第六十四話
「「コソコソ…」」
俺には気づいていないのか、隠れきれていると思っているのか…どちらにせよ何故いるのか聞かなきゃ
俺は魔力超速を使って3人の後ろに回り込む
「リュート様は今はお屋敷にいるはず…今のうちに宿を見つけなければ…」
「流石に野宿は勘弁だからね…」
「うふふ…リュウ君に早く会いたいわ…」
「サプライズで驚かすんですから無闇に会っちゃダメですよ?」
「わ、わかっているわ…うう…」
「なんでここにいるの?」
「なんでって、そりゃリュウに会うために…ん?」
「じー…」
「うひゃあ?!り、リュウ!?」
「あわわ…バレちゃったわ…ど、どうするの?」
「と、と、とりあえず落ち着きましょう…あばばば…」
この3人ポンコツ過ぎませんかね
「俺に会うためって…アリアは騎士団の仕事はいいの?」
「休暇貰ってきました、今まで貰ってなかったのでたんまりと…ふふ」
ロディ先生ドンマイだなー…涙を流しながら書類と戦っている姿が思い浮かぶ
「じゃあマリン姉ちゃんは受付嬢の仕事はどうしたの?」
「アリアちゃんと同じでお休み貰ったの、あそこは優秀な子ばかりだから私がいなくても平気だし」
「そっか…イリスも良かったの?」
「うん、やっぱりリュウが居ないと…ね?それにここには冒険者ギルドもあるし別に困らないよ」
「はぁ…そこまでして俺に会いに来てくれるのは嬉しいけど、言ってくれればいいのに」
「ふふ、サプライズよ!はぁ…リュウ君…お姉ちゃん会いたかったわ…」
「まだ1日しか経ってないですけどね…」
ん?お姉ちゃん…?
あっ…ヤバい…
「…お姉ちゃん?どういうことか説明してくれるよね?リュート…?」
後ろを振り向くと目のハイライトが消えた姉上がそこにはいた。
「ち、違うんです!これには深い訳が!」
「言い訳はいいの、1から100まで…私が納得のいくまで説明をしてくれればいいんだよ?」
姉上が微笑む、あまりの恐怖に俺ちょっとチビったかもしれない…
「えっと…どなた?」
マリン姉ちゃん…逃げた方が…
「リュートの姉!のサラ・レギオスよ」
姉の部分を強調し名乗った
「…そう…リュウ君の本当のお姉さんだったのね…」
マリン姉ちゃんは弱々しく顔を伏せる
「ま、マリン姉ちゃん…」
「マリン姉ちゃん…?」
「ひぇ…」
「姉ちゃんなんて呼ばれた事ないのに…」
「ごめんなさい…サラちゃんが怒るのも無理ないわ」
「え…」
「別にリュウ君を取ろうとした訳じゃないの…本当よ?ただ…失った弟とリュウ君を重ねていただけなの…」
「…」
「本当はそろそろやめ時だって分かってたわ…でもリュウ君の厚意に甘えてしまっていたの、ごめんなさい…」
「マリン…姉ちゃん…」
俺はなんと声をかければいいのだろう、姉上とマリン姉ちゃん…どちらも大切な人だ。だがどちらかを選ばなければならないのだ
「姉上…」
姉上を見る。姉上も顔を伏せ、表情が読み取れない
俺は…
姉上の弟だ
「マリン姉ちゃん…ごめ」
「…話しなさい詳しく」
「姉上…?」
「聞いあげるから、話しなさい」
姉上の顔は有無を言わさないと言わんばかりであった
マリン姉ちゃんは前に俺に話してくれた事を姉上にも話した
…
…
「ぐしゅ…うう…そんな事が…酷い…酷いよ」
「姉上…」
めちゃくちゃ泣いている、案外涙脆かったらしい
「ぐすっ…いいわ…貴方がリュートを弟のように接する事を許してあげる」
「でも…」
「その代わり!私にも妹扱いすること!」
ええ…?姉上を妹扱いするって、…うええ?!
「え、えーと…サラちゃんを妹の様に接すればいいの?」
「そうよ!ふふん1回でいいから妹の気持ちを知りたかったんだ〜」
「そんな事でいいの?サラちゃん…」
「ええ、で、でもリュートの本当のお姉ちゃんは私なんだからね!勘違いしないでよね!」
「…うん…ありがとう…サラちゃん」
マリン姉ちゃんが姉上を抱きしめる
「わわ…ふむ…ふむふむ…これが姉力か…」
何関心してるんだ俺の姉は
「ふふ…サラちゃんもリュウ君も私の家族よ!」
「えへへ〜…マリン姉…」
顔までトロかせてる…こんな姉上見たくなかったが、穏便に済ませられたから良かった
「…なるほど…これはリュート様ハーレムメンバー表に追加しておいた方がいいですね…」
姉上を真剣に見つめていたアリアが何かをメモしている、なんなんだろう?
「何書いてるの?」
「べ、別にな、何もやましい事は書いてませんよ!」
「それはやましい事やってる奴の言い訳だって」
イリスが呆れ顔でツッコむ
「ねぇ、リュート…私も姉ちゃんって呼んで欲しいな…?チラチラ」
「う、うん別にいいけど…サラ姉ちゃん」
「…うん…新鮮でいいけど…でもやっぱり姉上呼びが1番だね」
「まぁ姉上は姉上だから」
俺のたった1人の姉だよ
「ふふ…妹もいいものね…サラちゃん…」
「はふぅ…マリン姉…」
ああ…2人だけで違う世界へ行ってしまった
「案外気が合うのかもね」
「そうだね」
「さっきの判断、リュウは間違ってなかったと思うよ…?」
「えっ?」
「リュウ、マリンじゃなくて本当の姉を選んだんでしょ?」
「…うん、俺の姉はたった1人…姉上だけだから」
「マリンも納得してたよきっと、でもリュウの姉が更に上手だった…かな?」
「姉上には敵わないよ」
「にひひ、リュウにも勝てない奴がいるんだね」
「まぁね」
こうして実の姉公認の姉が1人増えたのであった
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