第六十二話
「そうか…家に帰るんだな」
「うん、でも多分また戻ってくるけどね」
俺はルシュに別れの挨拶をしていた
「じゃあお前がいない間にもっと強くなってるよ」
「…それは負けられないな」
ルシュはもう逃げなかった、今日も王子の勉強をやり終えてこれから護衛付きで魔物を倒しに行くらしい
「俺はお前に不甲斐ない所を見せちまったからな、お前が安心して頼れるように俺、頑張るから」
「うん、分かった」
やはりルシュが仲間でよかった、これで安心して背中を預けられるよ
「じゃあな、あっちでも元気でいろよ!」
「もちろん!」
俺たちは拳を交わす
これは休んでられないな、領についたら自主練だ。
そういえばアリアが居ないな?どこ行ったんだろ…今日領へ戻るって知ってるはずなんだけど
俺は城を出てギルドへと向かう
「えっ…お前領主の息子だったのか?」
「あれ、言ってなかったっけ」
「聞いてねえよ!どのくらいそっちに居るんだ?」
「うーん…多分学園が始まるまでぐらいだから…2年ぐらい?」
「長っ!マジかよ…」
「リュウ君と…2年もあえない…?」
2人とも大ダメージを受けてるようだ、どうしよう…
「ここで登場アリアです」
「アリア、どこ行ってたの?見かけなかったけど」
「ふふ、秘密です。それとも私の秘密…知りたいですか?」
また耳元囁いてくる、俺が耳弱いのを知ってわざとやってるな…
「いえ、別に大丈夫です」
「つれないですねー…それよりここは私に任せて、リュート様は行ってください」
「いいの?大丈夫…?2人めちゃくちゃ落ち込んでるけど…」
「リュウ…寂しいよ…うっ…うう…」
「リュウ君リュウ君リュウ君リュウ君…ぶつぶつ…」
「だ、大丈夫です、1つ作戦があるので」
「何その作戦って…」
「リュート様にも秘密です」
「ええー…」
「さ、早く行かないと馬車に乗り遅れますよ?」
「分かった、じゃあねアリア!イリス、マリン姉ちゃん!」
「ええ、また、会いましょう…ふふ」
最後の怪しい笑みをリュートが見ることは無かった
「さて、馬車にも乗ったし…!いざ実家へ!」
俺はミラノワを出てレギオス領へと戻ったのであった
「あの森は、最初にイリスとゴブリン倒した所だ…この森でレミシアとも出会ったんだよな」
レミシア何してるかなー…元気でいるといいな
…
魔界
「ふええ…もう許してよ〜勉強ばかりやだー!」
「ダメです!まだあの時の事は許していません!」
「うわあん…お母さんの鬼ー!」
「4ヶ月も無断で家を出ていった娘には厳しくします!」
「ま、まぁまぁ…レミシアも反省してるみたいだし…」
「貴方は甘すぎます!」
「あ、はい…すみません…」
「うう…リュート助けてぇぇ…」
「…勉強が終われば美味しいもの食べさせてあげるから、ちゃんとしなさい」
「本当?!やる!」
「はぁ…君も甘いんじゃないか」
「じー…」
「すみません…」
レミシアも元気だった
…
…
「んあ…もうすぐ家か…なんかレミシアが美味しいものに釣られて勉強してる夢見てたな…夢でもレミシアはチョロかった」
外を見るともうすぐ着くようだ
ようやく戻ってきたのだ、我が家に。人生の半分以上を城で過ごしたが、やはりレギオス領に戻ると懐かしさが込み上げてくる。
屋敷へと付き、家の中へと入る
「ただいまー…戻ったよーリュートだよー?」
屋敷はしんと静まり返っていた
「おーい、誰もいないのー?母上ー!父上ー!ミリシャー?姉上ーは学園か」
物音ひとつしない、無音がとても不気味だ
「なんだ…人の気配がない」
嫌な予感がした
「皆どこだ!!無属性魔法:魔力超速:3倍速!」
俺は屋敷を探し回る、いない、いない…おかしいだろ
俺が今日帰ってくるのは知ってるはずだ
「クソっ…なんで居ないんだ…」
何故だ、まさか誰かに襲われ…クソっ!そんな訳あるかよ…!大体誰が家族を狙…うん…だ…
国王陛下が言っていた、もし俺が城に行くことを拒否したら教会が俺たちを狙ってくるはずだと
なんでだ、俺は城で預かられている事になってるはずだ。こんなタイミングよく狙うことなんて…
「…いや…考えすぎだ、まだ探していない所があるはずだ」
屋敷は全て探した。残りは…
「そういえば屋敷から少し離れた所に来客用の家があるって言ってたっけ」
そこに居なければ…
俺は全速力で向かった
「ここか、来客用なのに結構広いな」
マリン姉ちゃんの家ぐらいは余裕であるぞ
ドアに手をかける、深呼吸をしてドアを開ける。
そして…
「「おかえり!リュート!」」
「あ…みんな…」
「ふふ、驚いた?せっかく6年ぶりに戻ってくるんだから驚かしたくて」
母上がイタズラがバレた子供のように微笑む
「いやーここが分かるか不安だったけど見つけてくれ良かった、お父さんハラハラしてたよ…はは」
父上がほっとしていた
「お兄ちゃんなら…余裕…」
「ミリシャの言う通りよ!愛しのリュートなら余裕よ!」
ミリシャと何故か学園にいるはずの姉上までいる
「坊っちゃま、お帰りなさいませ」
「坊っちゃま…成長なされましたな…」
カレンとセバスチャンも迎えてくれた
「なんだよ…はは…」
「り、リュート…泣いて…ご、ごめんね?やりすぎちゃったかしら」
「あわわ…す、すまんリュート!」
「リュート…ごめんね…私が驚かせたいって言ったから…」
「お兄ちゃん…あわあわ…」
「いや…いいんだ…嬉しくてさ…!」
本当は安心してだけど、変な勘ぐりしちゃったの恥ずかしいし黙っておこう
「そう、良かったわ…改めておかえりリュート、お母さん戻ってきてくれて嬉しいわ」
「うんうん…お父さんも凄く嬉しいぞ」
「嬉しさなら…私が…1番」
「いいやリュートへの想いならお姉ちゃんが1番よ!」
「ありがとう…そしてただいま、みんな」
俺は6年ぶりに我が家へと戻ってきたのであった
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