第四十六話
「B級になった事だしクエスト受けようぜ」
「そうだね、B級はどんなクエストがあるのかな〜」
「中級ダンジョンに入れる様になる事と、後は他の街へ護衛をしに行ったり出来るな」
「おお〜冒険者っぽい」
「まぁそういうのは今度にしてとりあえず今はB級討伐クエストでも受けるか」
「おっけ!」
B級の魔物か…どんな奴がいるんだろ?
「今掲示板にあるのは…ゴブリンキングの討伐か」
「な、なんか強そうだな…」
王様とか絶対強いじゃん…俺は国王陛下の厳つい顔を思い浮かべながら静かに呟いた
「まぁあの特殊ボスよりは弱いだろうし私とリュウならやれるさ」
「それもそっか」
「マリン頼むぜ〜」
「分かったわ、行ってらっしゃい〜」
「「行ってきまーす」」
「コソコソ…」
「なぁ、アリアも隠れてないで一緒に来ればいいんじゃないか?」
イリスが俺に小声で話す
「どうやら城の人に見守るだけの条件で来てるらしいから無理みたい」
「そうなのか…でもなんか気が散るというか…」
「我慢してあげて…アリアはあれで隠れてるつもりらしいから…」
「元A級冒険者でも苦手なものってあるんだな…」
「うん…」
俺達はしみじみとアリアのポンコツぶりを憐れむのであった
そしていつもの森に着く。今回のゴブリンキングは森の奥に生息しており、他のゴブリンと共に森に迷い込んだ人間を捕まえているらしい
「さぁ、ここから気を引き締めろよ?前にも言ったけどB級から難易度が一気に跳ね上がるから油断すると死ぬ」
「分かった!」
「よし進むぞ」
俺達は森の奥深くへと進む、いつ現れるか分からない状況での討伐は精神を蝕んでいく。慎重に手がかりを見つけては進むの繰り返しだ。
「コソコソ…コソコソ…」
ちなみにアリアも後ろから着いてきている
「…いた…アイツがゴブリンキングだ」
そこに居たのはゴブリンに囲まれ手作りであろう玉座に座る、通常のゴブリンの倍はあろう身長のゴブリンだった。
「デカイな…」
「ああ…初めて見るぜ…」
「まずは周りを片付けた方が良さそうだね」
「そうだな、雑魚処理はお前が得意だしリュウに任せる」
「了解」
あのボス戦以降、魔力のコントロールは殆ど完璧と言っていいほど扱えるようになった。そのおかげで俺の魔法の強さは一段上へと上がった
「無属性魔法:圧縮魔弾:5連」
以前より遥かに貫通力と威力が増した魔弾が敵を貫く
「グギャ?!」
「「ゴブゥ!!!」」
「グギギ…」
「ギャース…」
「よし!次はキングだ!」
「うん!」
「風魔法:纏い」
イリスが超スピードでキングに迫り殴る
「うおっらぁ!!!」
「グキャ!!」
キングが吹き飛ぶ
「まだまだ!」
吹き飛んだ所を掴み、更に投げる
「リュウ頼んだ!」
「おっけぇ!無属性魔法:纏い!」
こちらに飛んできたキングを無属性魔法を纏った拳で殴る
「終わりだ!!」
「グギイイャア!!」
どうやら倒せたようだ
「案外余裕だったな」
「やったなリュウ!」
イリスがこちらに戻ってくる
「うん、無傷で倒せたから良かったよ」
「ああ、私達にかかればB級魔物も余裕だな!」
「そうだね!」
ハイタッチを交わす
「さ、帰ってマリンに報告しようぜ〜」
「うん!」
そうしてあっさりとゴブリンキングを倒した俺達はギルドへと帰った
「おかえりなさい〜どうだった?」
「余裕だったぜ〜な?リュウ」
「あのボスに比べると小動物レベルだよ」
「そう、凄いわ。でも油断はしちゃダメよ?」
「分かってる、そんな事より報酬だぜ!」
「ふふ、ゴブリンキングは金貨20枚ね」
「ええ?!めちゃくちゃ報酬良すぎでは?!」
「うひょ〜大金だ〜B級最高だなリュウ!」
金貨20枚…!日本で言うなら20万か…あんなに余裕な奴だったのに20万…!俺冒険中毒になりそう…
「無駄使いしちゃダメよ?」
「分かってるよ〜、何に使おっかな〜」
分けて1人金貨10枚…ほんと何に使おう?うーん…
いや1つ使い道があったな
「はい、報酬ね」
「金貨10枚…重みが違うぜ…」
「ありがとうマリン姉ちゃん」
「ふふ、よく頑張ったわね」
マリン姉ちゃんが頭を撫でてくれる、俺は貰った金貨10枚のうち5枚を取り出す
「はい、前に貰ってた防具代。返すね」
マリン姉ちゃんに5枚を渡す
「そんな…いいわよ、せっかくリュウ君が頑張って手に入れた報酬を貰う訳にはいかないわ」
「ううん、それでも貰って欲しいんだ。ずっとお世話になってるから…そのお礼だよ」
「リュウ君…ぐすっ…やっぱりリュウ君は良い子ね…ありがとう大切に使うわね?」
「うん」
これで少しは恩返しできたかな?
「…私も世話になってるからやるよ…」
イリスが照れくさそうに金貨2枚を渡す
「でも…イリスちゃんには家賃としてずっと貰ってるわ…」
「それ全然使ってないだろ、全く…お人好し過ぎだ。これは絶対に使うこと、決定事項な」
「イリスちゃん…ありがとう…ふふ、イリスちゃんも十分お人好しだと思うわ」
「べ、別にそんなんじゃないからな」
尻尾が荒れ狂っている、本当に飛べそうな勢いだ
「ふふ、私は幸せ者ね…ずっと私は不幸なんだって思ってたけどあなた達に出会って本当に幸せなの」
「マリン姉ちゃん…」
「本当にありがとう」
「俺もマリン姉ちゃんやイリスに出会えてよかったよ」
「わ、私もな…」
「うん…じゃあ今日は初めてのB級クエスト達成祝いに皆で何処か食べに行きましょうか!」
「そうだね」
「マジ?やった!」
「イリスは食べ物の話になるとすぐ元気になるんだから」
「ぐっ…お前だって喜んでるの丸わかりなんだからな!」
「イリスの尻尾程じゃないけどね」
「ぐぬぬ…」
「ふふ」
「もうお前の分の報酬とるからな!」
「なっそれは卑怯だ!」
「ふふ…女神様…どうかこんな幸せな日がずっと続きますように…」
マリン姉ちゃんは誰にも聞こえないよう静かに祈った
こうして俺達はB級を順調にこなしていったんだ
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