第四十七話

「あっち行ったぞ!」


「まて〜!無属性魔法:圧縮魔弾:20連!」


今俺達は中級ダンジョンへと来ていた、ゴブリンキングを倒してからずっとB級クエストを受けて着々とA級への道を進んで行った。


「ふぅ…中級ダンジョンは広いな…」


「ああ…今が13階だろ?最下層が50階って言ってたからまだ半分も攻略してないな」


「うう…下級ダンジョンが恋しい…」


この中級ダンジョンは主にC級の魔物が出現する、10階には下級と同じくボスが出現し、今回俺達が倒したのはただのオークだった


あのボスと違うのは動きが遅いのと身長も3m程だった事だ。やっぱりあのボスが異常だったのがよく分かった。その他の階の魔物はゴブリンウィッチなど慎重に戦えば無傷で勝てるような相手ばかりだ


「はぁ…いくら余裕で倒せるとは言えここまで降りてくるだけで体力を消耗するなぁ…」


「もうすぐワープポイントがあるかも知れないし頑張ろうぜ…」


「あい…はぁ…」


そしてそこから更に2階降りた先、それがあった


「こ、これが…!ワープポイント…!」


青い魔法陣のような模様が光っている、これに乗れば自由に行き来出来るらしい



「私も初めて見るけど凄い光ってるな…」


「うん、本当よくあるワープポイントって感じ」


もうこんなテンプレでは驚かないぜ


「じゃあ区切りもいいし帰るか」


「うん、そうしよう」


ワープポイントに乗ると一瞬で場面が変わり入口へと戻ってきた。


「す、すげぇ…」


「これ、入口の色んな場所にあるから、降りる時はその魔法陣に乗ればいいのかな」


「ああ、そうっぽいな」


「楽できるって素晴らしいね…」


「まぁな、さ、ギルドに帰るぞ」


「おっけ」




「おかえりなさい、今日も無事そうね」


「おうとも、私とリュウなら余裕余裕〜」


「そうだね」


「ふふ、もう少しでA級だものね…早いものだわ」


「にひひ、まぁな〜」


「でも後どのくらいでA級になれるんだろ」


「うーんそうね〜、ちょっと待ってね〜」


マリン姉ちゃんが書類に目を通す、こう見ると家では感じないがギルドで働く姿をみるとベタランなんだなってのが分かる。他の受付嬢もマリン姉ちゃんを慕っているようだ。


「うーん、あら後1つクエスト受けるとA級だわ」


「マジ?!すぐじゃんか!」


「もうすぐ…なれるんだね!A級に!」


2ヶ月近く頑張ったかいがあったよ…


「ああ、本当お前のおかげだよ!」


「そんな…イリスもいたからここまでこれたんだよ」


「にひひ、やっぱり私達はいいコンビだな」


「うん!」


「よし…じゃあ今日はもう遅いから明日、クエスト受けようぜ」


「そうだね」


「それなら防具を買ったらどうかしら?B級の報酬で結構お金溜まってるのでしょう?」


「確かにそうだな…今から行くか」


「うん、分かった」


「気をつけてね?」


「うん」


「わかってるよ〜」


防具か…最初に買ったっきり変えてないからな…ボロボロだ、今回はどんな防具を買おうかな


「そうだ、アリアも一緒に選んでくれないかな」


「確かに元A級のアリアなら良いの選んでくれそうだ」


「ということで今回は防具買うだけだから隠れなくてもいいよアリア」


「コソコソ…!」


柱の影から出てくる、最近はずっとクエストやダンジョンに着いてきてるから実質3人パーティー見たいになってるんだよな


「一緒に防具を選んで欲しいんだ」


「なるほど、それならついて行きます」


「じゃあ行くか〜」


3人で店に向かう、最初の時は色々あっていい思い出は無いけど店員さんはいい人だったし。今回は大丈夫だろう、アリアもいるし


ん…?あそこに居るのは…


「あ、謝って許してくれるのか…?」


「でも謝るしかないですよ…じゃないと俺達が殺されます…!」


「そうですよ!」


「だが…ううむ…」


あの時イリスを馬鹿にした奴らだ、まさかまた会うなんて。今度はちゃんと守らなければ…!


「あっ…」


「ん?ああ…アイツらは…!」


イリスとアリアが気づく、俺は少し前に出る


「あ、お、お、お前達は…」


「また会いましたね」


なんだ?なんでそんなに怯えてるんだ


「あ、あん時はすみませんでしたーー!!!」


「ええ…?!」


「俺達間違いに気が付いたんです!許してくれとは言いません…!だけどどうか謝罪だけでもさせて下さい!」


ど、どうなってるんだ一体


「ぴゅー…ぴゅー…」


アリアが下手くそな口笛を吹いている、うんアリアが何かやったな


「アリアが何かしたの?」


「えっ!い、いや別にちょっとお話をしただけですよ」


「あ、姉御…!あん時はすみませんでした…!」


「だから姉御呼びはやめろとどれほど…」


「じー」


「あっ…ぴゅー…ぴゅー…」


「はぁ…気を張って損したよ」


「い、イリスさん本当すみませんでした…」


「うーん別にいいよ、気にしてないと言えば嘘だけど。私も鬼じゃないし許すよ」


イリスが笑う、優しいなイリスは。もしイリスの立場だったら俺は許せるか分かんないよ


「ありがとうこざいます…!り、リュートの兄貴もすみません…!」


「いいよ、イリスが許すなら俺も許すよ」


「うう…お優しい方達だ…」


アリアは一体この人達に何をしたんだ…三下ムーブを醸し出してるじゃないか、人ってこんなに変わるものなのか。


「さぁ、許してもらったのならさっさと帰りなさい」


「は、はい…!では俺達はこれで…!許してくれて本当にありがとうこざいます!」


「「ありがとうこざいます!」」


「あいあい」


そうして3人組は去っていった、アリアは敵に回すのは絶対にやめよう。俺は再びそう決意した


「さぁ、着いたぞ〜何買おっかな〜」


「俺はかっこいい防具がいいな…!」


「いや安全性が第1だろ」


「ふっ、分かってないな〜」


安全性なんてカッコよさの前では無力だよ


「くっ、なんかムカつく」


「んっ?ここって…」


「どうしたのアリア?」


「いやなんでもないです」


「そう?じゃ中に入ろ」


中は相変わらず色々な武器や防具が陳列している、見てるだけで一日を潰せそうだ


「…んーいらっしゃーい…」


こちらも相変わらずだるそうにしていらっしゃる


「やっぱり…!」


「んあ…お、お前アリアじゃないか!」


「ラミダさんじゃないですか!」


えっ知り合いなの…?

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