第三十四話
あの後泣き止んだ俺はイリスさんと冒険者ギルドへ戻った
「おかえりなさい〜どうだっ…イリスさんその姿は…?」
「いや〜ちょっと色々あってな!でももう大丈夫だ!」
「また、誰かに何かされたの…?」
「ま、まぁ別にいつもの事だし気にしてないしいいんだよ」
「イリスさん…」
さっきまで震えてたじゃないか…辛いに決まってる
「…酷いわ」
「えっ?」
「全く酷いわ!女性にこんな事をするなんて!」
涙を流しながら叫ぶマリン姉ちゃん
「ちょっ声でかいから!」
「今までイリスさんが大丈夫と言うから抑えてきたけどもうお姉さん我慢ならないわ!」
「お、お姉さん…?」
「家に来なさいイリスちゃん!まずは乾かさないと風邪引いちゃうわ」
「うえっ?いや、大丈夫だっ…」
「ダメよ!これは決定事項なの」
「ええ…?」
イリスさんの袖を掴む
「イリスさん、諦めた方がいいですよ。マリン姉ちゃんこう言ったら聞かないですから」
「え、ええ…」
「お姉さんはイリスちゃんの味方だからね、見捨てては置けないわ!」
「…私の方が年上なんだけどなぁ…」
イリスさんの呟きがマリン姉ちゃんに届く事は無かった
「その…悪いな、夕食まで食べさせてもらって」
「いいのよ、無理やり連れてきちゃったからそのお詫びよ。気にせずゆっくりくつろいでね」
あの後マリン姉ちゃんに強制的に家へ連れてこられたイリスさんはお風呂に入って夕食も一緒に食べた
「でも…いいのか?私は獣人族だし…」
「そんな事どうでもいいわ」
「どうでもは良くないだろ…」
「そうかしら、獣人族でも人族でもイリスちゃんはイリスちゃんなのよ?」
マリン姉ちゃんが微笑む
「私は…」
「リュウ君のパーティーメンバーにもなってくれたし、守ってくれてる。そんな優しいイリスちゃんを馬鹿にしたりなんてしないしさせないわ」
「マリン…ありがとう…」
イリスさんか涙がこぼれ落ちる、きっと今まで辛いことばかりだったのだろう
「こんなに優しくしてもらったのなんて久しぶりだな…」
「いいのよ、好きなだけ泣いて」
「私…子供の頃に両親を亡くしてさ、ずっと1人で生きてきた。ミラノワに来たのも冒険者になって稼ぐために来たんだ」
「イリスちゃん…」
「でも獣人族の私をパーティーに入れてくれる人なんていなかった…何とか入れてもらっても雑用とただのストレスを発散させる為の道具だった」
「酷い…」
なんだよそれ…最低じゃないか
「だから決めたんだ、今まで通り1人で生きていこうってな…」
「だからずっとソロだったのね…」
「ああ、でもきっと心のどっかでは寂しかったんだな…リュウと一緒にいるとすごい楽しかった」
「イリスさん…」
「でも今日のを見たろ?私と一緒にいるとリュウにも迷惑かけちまう、パーティーは解散しよう」
「えっ…そんな!俺気にしませんから!」
「お前まで巻き込みたくないんだよ、たった1日だけど一緒に過ごして分かる。お前は良い奴だ、だから…ごめんな」
「なんで…謝るんですか…!俺まだまだイリスさんに教えてもらいたい事が沢山あるんです!それに一緒にA級になろうって言ってくれたじゃないですか!」
「リュウ…」
「もしまた何かあったら今度は俺がイリスさんを何があっても守ります!もうイリスさんを馬鹿になんてさせません!パーティーメンバーの仲間として絶対に…!」
これは多分自分への決意でもある、たった1人守れないで勇者なんてなれない。勇者への第1歩はイリスさんを守る事だ
「イリスちゃん、リュウ君はとても強いわ。私達が思っているよりずっとね」
「ああ…ああ…知ってる…なんせ…私のパーティーメンバーだからな」
泣きながらこっちを見て微笑むイリスさん
「いいのか本当に…これから迷惑をいっぱいかけちまうぞ?」
「俺もかけるのでお互い様ですね」
「辛い目にも合う事になるんだ」
「辛い目なんて俺が合わせませんよ」
「リュウ…私をパーティーに入れてくれるか?」
「ええ、もちろん。というか既にパーティーメンバーですよ?」
「ありがとう…リュウ」
こうして俺とイリスさんは本当の意味でパーティーを組んだのであった
ある所では…
「うぇ〜ここどこ〜?人界広すぎだよ〜!!!!美味しいもの食べさせろーーー!!!!」
レミシアが迷っていた
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます