第三十二話

あの後もゴブリンを狩り、手の震えも殆ど収まってきた


「はぁあっ!」


「グギャギャ!」


「横だよ!」


「グギァ!」


「隙あり!」


「グッギー!」


「ふぅ…」


「だいぶ慣れてきたっぽいな」


「はい、まだ少し気落ちしちゃいますけど」


「ま、すぐに慣れるさ。それより本当強えよなリュウは…」


「そうですかね…?」


「多分強さだけならA級クラスじゃないのか?」


「そ、そんなにですか」


「ああ、こりゃ引き受けてよかったぜ…私とお前だったらA級なんて余裕でなれそうだ」


「えへへ…そういえばイリスさんのランクはどのくらいなんですか?」


「私か?私はC級だ」


「おおーベテランなんですね」


「へへん、まぁな〜!かれこれ10年以上冒険者やってるしな〜」


「そんなに…でもイリスさん若そうですし一体何歳から冒険者を…?」


「なんだリュウ、お前本当なんも知らねぇんだな〜、獣人族は人族より長く生きれるから見た目で判断しない方がいいぞ?」


なんと…エルフは長寿って知ってるけどまさか獣人族もなのか


「そうなんですね、分かりました!」


「まぁお前も見た目とはかけ離れた強さなんだけどな…」


じーとジト目でこちらを見るイリスさん


「ぴゅー…ぴゅー…何のことでしょう?」


「誤魔化し方が下手くそだな!」


「誤魔化してないです」


「じー」


「ぴゅー…ぴゅー…」


くっ…口笛じゃ誤魔化せないか…!


「はぁ…ま、どうでもいいか。深くは聞かないよ」


「どうも…」


「今日はここで終わりだな、クエスト指定数も満たしてる」


「分かりました」


「この調子でE級の魔物を狩り続ければすぐE級なれるな」


「本当ですか!頑張ります!」


「ああ、お前の実力ならすぐさ」


「はい!」


「そしたら一緒にA級になろうぜ」


「分かりました!」


「約束だかんな!」


「はい!」


「にひひ」


「えへへ」


初めてのクエストは無事終わる事が出来た、このまま順調にいけばいいな〜










濃霧の森 結界付近



「はは、結界に穴があいてる。これなら人界にいけるじゃん!ふふふ…人界、どんな所なのかな!」


1人の人影が結界を通り人界へと進む、その者は





魔族レミシア





彼女が向かう先は…



「楽しみだな〜!でもなんか忘れてるような?ま、いっか!ふふん〜」



リュートとレミシアが出会うまで残り


3ヶ月







「もうクエストを達成したんですか?」


「ああ、リュウが予想よりずっと強くてさ!早く終わったんだ〜」


「えへへ…」


「ふふ、そうなんですね。では報酬の銀貨4枚です」


「結構少なめなんですね…」


命かけて4000円か…かなり安いな


「まぁまだE級のクエストだからな〜そんなもんさ、C級まではよくて金貨数枚、B級からは報酬が跳ね上がるから冒険者はとりあえず皆B級を目指すのさ」


「なるほど…」


「ただし報酬が上がる分、難易度も上がるけどな」


「B級が1番死亡数が多いですからね…」


「1番自信がついてくる頃だしな、油断しやすいんだろ」


「ほえ〜…」


「リュウ君はしっかり安全にいくんだよ?」


「はい!」


「私がついてるからな、心配ないぜ!」


「イリスさん…頼もしいです!」


「へへん!」


「ふふ、仲良くなってくれて良かったわ」


「ふふんまぁな、てか今からどうすっかな〜。クエスト受けても微妙な時間だし」


「あら、それならリュウ君の防具を買いに行ったらいいんじゃないですか?」


「なるほど、そういやお前防具つけてないな」


「そうでしたね、俺も忘れてました」


「じゃあ防具買いに行くか」


「そうですね、ああでも俺お金持って無かったです…」


「お姉ちゃんが出してあげるわ」


「え、いやいや流石にそれは悪いよ」


「防具が無くてもしもの事があったらダメよ、だからほら。受け取ってね」


「むむ…じゃあいつか冒険者で稼げるようになったら必ず返すよ」


「うん、分かったわ。楽しみにしてるわ」


「疑問に思ってたけどリュウってマリンの弟なのか?」


「え?いやー姉と言うか殆ど姉言うか、八割姉って感じです」


残りの2割は姉上です、実の姉が2割とはこれ如何に


はっ!また殺気が!すみません嘘です6割です!


「実の姉ではないけれど、私とリュウ君はれっきとした家族よ」


「ふーん、なるほどなー、というかいきなり震え出したぞこいつ」


「すみません…姉上…すみません…」


「そら防具買いに行くぞー」


「すみま…あ、はい今行きます」


「迷子にならないようにね?」


「心配しすぎだよ…行ってきます」


「行ってらっしゃい〜」


実年齢20歳越えがほぼ同年代の女性に迷子にならないか心配される図を想像したらなんだか悲しくなった


「はぁ…見た目は子供だけどな」


「コソコソ…コソコソ…」


「ん?」



「…!」


「今誰か、いたか…?」


こっちを隠れて見てたような?


「置いてくからな〜」


「今行きまーす!」


気のせいか





「リュート様…他の女と一緒にいる…たった1日、目を離しただけなのに…」


爪をギリっと噛む


「でも私は影で見守らなければ…ああ…リュート様…今日も素敵です…はぁはぁ…」


この変態の名前はアリア、一応聖騎士副団長である


「何かあってもアリアが守ってあげますからね…」


目にどす黒いハートマークを灯し見守っていた


「ひえっ…」


今寒気が…


「んー?大丈夫か?」


「大丈夫です…」




ま、まさかな…



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