第三十話
しばらく経つと泣き止んだマリンさんと今は一緒のベッドで寝ているリュートですこんばんは
なしてこうなった
「ありがとうリュウ君、もう大丈夫」
「そうですか、それは良かったです」
「リュウ君は本当優しいのね、おかげでスッキリしたわ。でも本当に私迷惑じゃない?」
「ええ、こちらこそご迷惑じゃなければいいんですけど」
「もちろん迷惑じゃないわ!ずっと居ていいんだからね?」
「はは、流石にずっと入れませんがしばらくはお世話になります!」
「うん、よろしくねリュウ君」
「よろしくお願いしますマリンさん」
「そんなに固くならなくていいわよ?これから一緒に暮らすんですもの、そうね…その…一つお願いがあるの」
「なんですか?」
「私の事姉だと思って接して欲しいなぁ…って」
「ええ?!」
「い、いや別に嫌ならいいんだけどね!うん!やっぱりいいわよ」
しょんぼりと悲しそうな顔をするマリンさん
くっ!俺には姉上がいるのだ!それは…でもそんな顔されたら断れないよ…ごめん姉上!
「え、ええとマリン姉ちゃん…?でいいかな…?」
「…!うん!ありがとうリュウ君!」
パァっと一気に明るくなるマリンさん
姉上にだけは聞かれないようにしよう…
…
はっ!今姉上の殺気を感じたような?!き、気のせいだよな…?
「どうしたのリュウ君?」
「いや、何でもないよ」
「そっか、それじゃそろそろ寝ましょうか」
「そうだね」
今日は色々あって眠くなってきたや
「えっと…なんで俺たち一緒に寝てるんでしょうか」
「…?何かおかしい?」
「おかしいよ!マリン姉ちゃんの無防備さに俺もう理性が魔王化寸前だよ!」
「ふふ、大丈夫よリュウ君にしかこういう事はしないわ」
「そういう問題ちゃうねん!」
「喋り方おかしいわよリュウ君?」
「落ち着け俺…ふぅ…はぁ…」
マリンさんのいい匂いが鼻をくすぐる
「…ちくしょう鼻も裏切ったな」
「ふふふ、リュウ君は面白いわね」
「そうですか」
「おやすみリュウ君…」
「あ、はいおやすみマリン姉ちゃん」
姉上ごめんなさい、俺はマリン姉ちゃんの姉力に負けそうです
はぁ…こうなるならロディ先生に自分を気絶させる技でも教わればよかった
次の日
「おはようリュウ君、よく眠れた?」
「おはよう、うん、何とか眠れたよ」
あの後全ての意識を無にする事で何とか眠ることが出来た、あの集中力はロディ先生と手合わせした時より集中してたに違いない
「じゃあ朝ごはん食べたら一緒にギルドに行こっか」
「分かった、いただきます!もしゃ…もしゃ…うめぇ…」
「ふふ、良かったわ」
これが幸せか…厳しい訓練の後のこれは反動でダメ人間になるな間違いなく、既になってるような気がしなくもないけど
朝食を食べ、マリン姉ちゃんとギルドへ向かった
「じゃあリュウ君のパーティーメンバーを探してくるからそこで待っててね」
「分かった!」
「いい子ね、後でクレープ買ってあげるわ」
「わーいありがとうマリン姉ちゃん!」
たのしみだなー!マリン姉ちゃんだいすきー!
いやいかん!精神まで9歳になってどうする!危ねぇ!俺のバカ!気を引き締めろ、訓練の為にここに来てるんだから
魔法の訓練でもするか…
この前レディッサ先生が言っていた魔力の調整が出来るようになりたいから精神を集中させる
昔から集中力だけは人より優れていたと思う、だから俺もできるはずだ。なんせ初日で無属性魔法を撃てたんだから
無属性魔法を撃つ時の感覚を思い出す、曖昧だが確かに体の全体を何かが流れているのが分かる
この流れを自分でコントロール出来るようになれば調整が出来るはずだ
……ダメだ全くコントロール出来ない、だけどもう少しの様な気もする
「はぁ?!何で私がガキのお守りなんかしなくちゃなんないのさ!」
怒鳴り声に集中が途切れる、なんだ?声をした方を見る。ケモ耳と尻尾が生え髪色はアメジストの様な女性がマリン姉ちゃんと言い争っていた
「そこを何とか…唯一ソロで冒険者をやっている貴方にしか頼めないんです」
「やだね!私はずっとソロでやっていくと決めてんだ!他を当たってくれ」
「むむ…どうしてもダメですか?」
「ああ、絶対やだね」
「…ギルドへの借金」
「ゔっ」
「もし引き受けてくれたらチャラにしても良いと思ったんですけどねぇ」
「ず、ずるいぞ!」
「今貴方にギルドが貸してる額金貨50枚、返せるんですか?」
「ぐ、ぬぬぬ…い、今は無理だ…後で返す…」
「そう言って半年待ってるんですけどね、あーあ引き受けてくれたらチャラになるんですけどね〜?」
「うぬぬ…ぬ…」
そろそろやめてあげてマリン姉ちゃん、ケモ耳さん涙目になってるよ…
「マリン姉ちゃんもういいから」
「リュウ君…見てたの?」
「うん、そんな無理に誘わなくてもいいよ。俺も急いでないし」
「でも…」
「お前が…マリンの言ってるガキなのか?」
「はい、どうもリュウです」
「…私を見ても怖がらないのか?」
「…?怖がる要素あります?」
「いや…普通の奴は獣人族ってだけで怖がるもんなんだよ」
ほぇ〜…もしかして差別ってやつなんかな、酷い奴もいるもんだ。
「そうなんですか?可愛らしい耳と尻尾で素敵だと思いますけど」
「なっ…かわ…!」
耳まで真っ赤にして驚いてるケモ耳さん、もしかして失礼な事言っちゃったかな
「お姉ちゃん、リュウ君が将来女たらしにならないか心配だわ…」
ならないですよ!少なくとも魔王を倒すまでは!
「えっと…と、とにかく俺は大丈夫ですよ?」
「そ、そうか…うーん…むむ…わ、わかった、さっきの件引き受けるよ」
「本当ですか!ありがとうございます!」
「ただし!仮だからな!仮!」
「分かってますよ」
「ああ、あと借金の方もよろしくな」
「はい、しっかりチャラにしておきます」
「はぁ…これからよろしくな、リュウだっけか」
「はい!よろしくお願いします!えーと」
「イリスだ」
「よろしくお願いします!イリスさん!」
「ふぅ、まぁ、任せとき」
仮だけどパーティーメンバーも見つかったしいよいよ冒険の始まりだ!!
あとマリン姉ちゃんの闇を見てしまった様な気がする
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