第八話
「俺は反対だリュート」
「父上…」
「分かっているのか?勇者になるという事がどれほど辛く、危険な事なのだと」
「確かに勇者について多くは知りません…けど僕が勇者にならずに父上達が傷ついてしまうなら」
父上はこちらを見つめる
「きっと、後悔してしまう。自分を憎んでしまう…そんな事僕は嫌です」
「リュート…だが!勇者になれば最後は必ず死ななければならないんだぞ!」
さっきの話で何となく予想はついていたよ
「一般的には知られてないが魔王の命と勇者の命は繋がってるんだ…!魔王が死ねば勇者も死んでしまう」
なるほど、だから魔王を倒したら勇者も死ぬのか。はは…そりゃ辛いな
「だから無理に勇者にならくてもいい、絶対別の方法があるはずさ」
「ごめんなさい父上…僕はそれでも勇者になります」
「リュート…!勇者になる為には尋常ではない訓練もしなければならないんだぞ?もちろんなってからも苦しい戦いが何度もあるだろう…それでもか?」
「はい、覚悟はできてます」
父上の真剣な眼差しが僕を射抜く、きっと僕は親不孝者だな。それでも何故か勇者にならなくてはいけない気がするんだ、あの声を聞いたら余計にそう思ってしまった。だからごめんなさい…父上
「リュート…分かった、俺の負けだ…ルーデルク、息子をリュートを頼んでもいいか?」
「…ああ、安心しろ立派な勇者になるよう最大限に援助する」
「よろしく頼む。リュート、辛かったりしたら戻ってきてもいいからな?勇者だろうがなんだろうがお前は俺の息子だ」
そう言って父上は俺を抱き寄せた
「ありがとう父上、僕頑張るから!」
そしてみんなを守って見せる、絶対に…!
…
…
そこから2週間が過ぎた。あの後城で暮らすための準備をしに領へ戻り、母上達に説明をしたらめちゃくちゃ泣かれた
姉上なんて城に乗り込もうとしたから全員で何とか止めて、たまに顔を見せるという条件で納得した
本当、姉上が勇者が死ぬ事を知らなくてよかったよ…
母上にはずっと抱きしめられて中々行かせてくれなかったが最後には必ず生きて帰ってくるという約束で送り出してくれた。
これで余計に死ねなくなったな、生き残る方法を探さなくちゃ
カレンは普段はクールなメイドだったけどその時だけは泣いて抱きしめられた、うっ…なんか謎の罪悪感が…
…
…
そして2週間後の今
「2週間ぶりだなリュート」
「はい、これからお世話になります国王陛下」
「はは、これから城で暮らすんだ。それにあいつの息子だ家族も同然だしもっと気楽にしていいぞ」
「ええ…いえそういう訳には…」
というかまだ国王陛下のイカついオーラになれません
またチビりそう
「さて色々話す事はあるが、まずこれからする訓練の事を話すかな」
「はい!」
「勇者としての訓練はもちろんだが、まずは基礎的な能力を身につけて貰おうと思ってな。体力に力、魔法の訓練をして、勇者としての知識と技術を身につけてもらう」
「あの…国王陛下…魔法なんですけど」
「ん?魔法がどうかしたか?」
「僕…光魔法使うと魔力不足で気絶するので訓練が出来ないんです」
「なんだその事か、知ってるよ。アルトから聞いてる、そして解決法も既に考えてある」
なんだって?!まじかよ!さすが国王陛下だ、や、やっと魔法が使えるのか!
「本当ですか!」
「ああ、まぁそれについては魔法の訓練の時に話そう」
「はい!」
うひょー楽しみだぜ!
「それでその訓練を教える者だがな、それぞれの分野の1番の実力者に頼んであるから。そいつらに大体の事は教えて貰えるはずだ」
ふむふむ…先生って事か…ふふ、なんか王道ファンタジーっぽくなってきたな!
さて、まずは訓練頑張るぞー!
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