第18話
ミーティスは甲斐甲斐しくも世話を焼き各ステータスを上げるのに必要な〈黄金の林檎〉をせっせと集め、食べさせてくれた。市場で販売されて無かったのは知力の実と素早さの実だ。
それよりも、ミーティス鑑定結果の金髪碧眼で世界一の美少女ってのはどうなの、ただの嘘なの。
俺のそわそわした様子から察したのかやれやれと言った風に「殿方というのは、まったく」とミーティスがため息をつく。
「ただの冗談ですよ」
やっぱりこいつは可愛くない。もしかしたらこの日本人形風の容姿は世を忍ぶ仮の姿…かも知れないなんて考えてしまった。と言うか、さっきから返答が的確。
読心術か…
「ご名答」
なんだと…
「あなたの望みを叶えるの、嫌いじゃないわよ。でもね、もう少し大人になって」
いやいや、俺ただの赤ちゃんだから。大人になれって言われてもな…
それに、やっぱり美しさは尊い。俺だってオカッパ頭の一重瞼のちんちくりんよりも、モデルみたいな姿をした美女のほうに好印象を持ってしまう。
やれやれ、とジェスチャーをするミーティスには悪いが、俺の価値観は変わらん。
親公認の許嫁だからって俺の彼女になれると思うなよ。可愛いこそ正義、美しさこそ最も尊いのだ。
それよりも、俺の目からは絶世の美女である母さまの容姿で平凡と形容されるなら、美しいとはどれ程のものだろうか、期待に胸が膨らむ。
その様子を見て、ミーティスはもう一度ため息をついた。
◇
ネーム:ジョン・B・カーライル
職業:赤ちゃん
月収:金2000ガイエス
年齢:0才
彼女:ミーティス
Lv2
HP28/30
MP36/50
STR(力)3
ATK(物理攻撃)3
VIT(生命力)3
DEF(防御力)3
DEX(器用さ)3
INT(知力)2
RES(抵抗力)3
AGI(素早さ)2
LUK(幸運)3
称号:賢者、詐欺師
アビリティ:勇者、万魔吸引、灰から蘇生
スキル:錬金術、触診、鑑定、時間停止
バッドステータス:なし
キャラクター説明:0才児
急いではいないのだが、知力の実と素早さの実を現在探している。実際、手っ取り早くステータスを上げるには世界樹の果実〈黄金の林檎〉が一番だ。俺は市場へゴーレムのスフィアを飛ばし覗いているが、知力の実はあの1つ以来、見つかっていない。これは完全に自家生産に頼るしかないか。買い物に行ってくれるミーティスには世話になりっぱなし。俺の意思を汲める読心術を覚えてくれたのにも感謝している。本当に感謝しているが、俺のステータス上で彼女だと表記されているのは認めていない。
素早さの実は羽根がついていて時々飛んでしまうので、店頭に並ぶ時には紐で括ってあるという面白い果物。
知力の実は洋梨に似た見た目で黄緑色をしている。
〈黄金の林檎〉に想いを馳せる俺の視界にレベル14の猛者が…。調べると高級住宅西区に住む、隣家のラムズフィールド夫婦のお母さん、マイアさん年齢38才でした。お美しい。
お気に入りのひじ掛け椅子に座る俺に手を振っている。そう言えば、隣の奥さんの出産予定日がそろそろだったか。出産の手伝いをするために今日から泊まりかな。
マイアさんに手を振り返した俺をミーティスがじっと見ている。マイアさんに惚れたわけではないよ。
レベル14というレベルを初めて見た。カーライルの兵士でレベル7からレベル10、最高レベル13だった。マイアさんの職業は何なのだろうか。
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