第14話

なに…。

生後7ヶ月。先日、首がすわったばかりの俺に結婚、婚約者だと…

俺の人権は無いのか…

考えても仕方がない。馬鹿の考え休むに似たりと言う。とにかく、相手が問題だ。日本人の様なのっぺりした顔。着物を着せたら日本人形が出来上がるんじゃないか…いやだ。

見慣れていた日本人顔でちょっと落ち着くかも知れんが、ありえん。

俺は母さまみたいなロシア系の彫りの深い顔立ち、透き通る肌に純真なキラキラな瞳、もちろんバストはDかFか今は俺のためにGカップはある。そして8等身のフォルム。全てが俺の理想だ。

そう、そうなんだ。この世界の住人は超絶美形揃い、10人集めたら10人が日本では女優やモデルが出来るほどの容姿をしている。それを何故、よりにもよってのっぺり平ら顔のあいつを嫁にせねばならん。断固拒否。

なーにが、種族:神族だ。

「あなた」

足の運びが独特で上下動が少ない。音も立てない。

うげっ、来やがった。

いつも、そこに居るとはわかっていても驚かされる。

「お義母様のお勧めで結ばれる事になったのですから、その膨れっ面はお止めになったら」

「ばっばう、ぷぅい。ぷぅい」

うるさい。うるさい。

俺にも選択権はあるはずだ。

やめろ、指でつつくなよ。

「わたしは…そうね。あなたに会えてよかったと思ってるわ。貴方の本意では無かったとしても、わたくしを召喚したのは貴方なのだから」

「ふん」

俺は顔を反らす。


そこに母が顔を出した。

「あら、仲良くしなさいね。そうそう。あなた、お名前をまだ伺って無かったわね。私はマリア。あなたは」

「……考えておきます」

束の間の沈黙。

「うちの子よろしくね」

母はそのまま笑顔で買い物に行く。

「あんあー」

俺も連れてってくれ。いつも買い物は一緒でしょ。


「だーめ、あなたはお留守番よ」

名も名乗らない妖しい少女が言う。


俺はいつも母に抱かれ一緒に買い物に行ってたんだ。何故だ、なんで連れて行かない。

手合わせの後、うちの母とこの少女はすっかり意気投合して仲良しらしいのだが俺だけ取り残されて蚊帳の外。

「私決めた、名前はミーティスにするわ」

……って事は偽名なの。意味わからないなにそれ。

怪訝そうなのが顔に出てたのか。

「あなたが不思議に思うのも無理ないけど、名前なんて幾つも付けられるものなのよ」

と悪戯っぽく笑う。

なんだか、社会経験豊富なんだぞと小さな女の子に自慢されているんだが…


◆◆◆


俺はいつの間に意識を無くしたのか、いつの間にか寝ていたようだ。

んぐんぐ。おかしいな、おい。

す…、吸えない。

俺の目の前にあったのは絶壁だった。

「はい、よちよち。いいこでちゅねー。旦那様ぁ」

俺のんぐんぐは止まった。

「ぎぃやー」

俺は魂消る悲鳴を上げた。


いつの間にやら母が帰って来ていて飛んでやって来ると、あらっと呟いて状況は全て飲み込んだ様で

「ふ、ジョンにおっぱいをあげるには10年早いわね」

「すみません、お義母様。精進致します」

母さんの腕に抱かれ俺は泣き止んだ。

ま、母のおっぱいが飲めれば大満足だ。偽物はいらん。









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