第4話

ステータスウインドウ画面の下部へと高速スクールするとボーナスポイントが貯まっていた。

よし、これを割り振って…

先ずは【アビリティ】無限増殖を外す。画面をタップすると触れた感触があった。

よし、無限増殖を解除。ボーナスポイントが還元され、さらに増えた。


そして異世界転移成功率を上げるべく、関連がありそうなのをピックアップして精査する。


【称号】異世界転移者:ブラックな運送会社の居眠りドライバーの睡魔と本人の位置エネルギーによって時空間に跳ね飛ばされた者


なんだこれは、却下だな。


【称号】勇者:聖剣を佩き魔王を倒す使命を持つ者


関係ないな。


【称号】魔王:魔王の手から逃れられる者はいない


これも、関係ないよな。


うーん【称号】は初期取得できなかったし、絶大な効果を期待しないほうが良いな。ボーナス消費が激しいわりに効果が薄いのかも知らん。


はっと目に入った。

【スキル】時間停止:PK必須スキル、詠唱者の体感時間を極限まで遅くする


早速、スキル時間停止を取得し使用する。スポーツで言うゾーンのような効果だ。


結局、異世界転移に成功するアビリティである無限増殖とはなんだ。

【アビリティ】無限増殖:多数の突然変異を起したため死ぬことが無くなり、無限に増殖する。

無敵状態だな、その代わり時限爆弾を身体に抱えていると…

これは不死系かな、バンパイアとかの種族特性に近い。


【アビリティ】不死:永遠の美を保つことができる。


違う。違う。違う。違う。


【アビリティ】無限増殖は無限に増殖するから自我崩壊を起こすのだ、その下位互換の効果【アビリティ】灰からの蘇生と【スキル】起死回生が異世界転移成功率に効果があった。


スキル名とアビリティ名が目前でまさに綺羅綺羅と明滅しツリーを完成形へと導いたときに、知りたくはなかったことに気づいた。


異世界転移成功率が未だに24%だ…ヤバい。


「はい、はーい。すみませーん。そろそろお時間になりますので準備お願いしまーす」

可愛ロリが口を開いた。


なんだと…時間停止中だぞ。

いや、そもそもこの空間では魔法は効いて無いのか…


「でわぁ、到着しましたので…」

可愛ロリがおしゃべりしているのを片眼に俺は全てのボーナスポイントを割り振った。


「失礼な人ですね。私がお話しているのですから、きちんと聞いてくださいね。滅だぞ」


その瞬間。

身体中が内側から沸騰し、大気との摩擦で灼熱に熱する空間へと放り出された。

吹きつける突風、冷気と熱気。内側からぐずぐずと煮える身体。

眼球が蒸発し闇に包まれ、喉も肺も1呼吸で焼けただれた。

声も出ないとはこの事だ。

神聖属性第四位魔法エクストラヒールを無詠唱で発動する。

無詠唱を習得していないプレイヤーだったらばここに放り出された時点で炭化し燃え尽きる事だろう。


落下している感覚は続き灼熱の暑さの次は極寒の寒さへ。

神経の感度を10倍に上げて、全身の皮膚を捲られているような感覚。

そして俺は全ての痛みや熱、冷気、衝撃などのダメージに対抗する魔法を無詠唱で発動した。

それでも、発動した気になっていただけなのか…

苦悶の絶叫が喉を通る前に意識が遠退く。


最後に意識にのぼったのは…。


"あの、ロリめ、やりやがったな"


◇召喚対象が身体をロストしました。
















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