第38話 ブランカ考察3

◆ブランカ視点


37階層までは他のダンジョンと比べ、容易に攻略できる。

しかし、その最難関と言われる魔霧の渓谷が冒険者の前に立ち塞がる。

中級冒険者が他の都市に移動していく主な要因となっている。

そう授業で習った。



はぁぁぁぁぁ。

ブランカは今日も上の空だ。


彼には何か事情がある。

それは分かる。


いずれ話してくれる。

ずっと待っていた。


でも、伝えてくれないまま

魔霧の渓谷へと行ってしまった。


リノアさんはあれからふさぎこんでいる。

この前、フル装備でダンジョン前をウロウロしているのを見掛けた。

会いたくて仕方ないのだろう。


気持ちは痛いほど分かる。

すぐに駆け付けたい。


でも、私じゃ…

通用しないどころか足手まといだ。


今日も彼の無事を祈る。

彼に会いたくて仕方ない私の想い。

彼から何も教えてもらえない不安。


色んな感情が混ざり合う。


はぁぁぁぁぁ。

本当にモヤモヤする。



「おい、班分けどうする?

もう狂犬しか残ってないぞ。」

「いや、狂犬とはちょっと…。」


先日のトーナメント決勝以降、私は「狂犬」と呼ばれている。


まぁ、分からないでもない。


注目のトーナメント決勝。

審判を押し退け

ダウンしたタイシのマウントを取りタコ殴り。

そして、反則負け。


その直後に弟さんとお付き合いしています。

と、笑顔で挨拶したのだ。


何も知らない周りからすれば

狂っていると思われても仕方ない。


特にリナは彼氏がタコ殴りにされ

鼻まで折られたのが気に入らない。


反則に加担した事は、もう忘れているらしい。


私に話し掛ければ、クラスを仕切るリナのグループから嫌がらせを受ける。


そして、私に話し掛ける人間は居なくなった。


くだらない。

私もその程度の関係なら必要ない。

煩わしい関係が無くなり逆に助かっている。


約1名を除き。

「ブランカ。来週のダンジョン攻略の班分け、私と2人で出しといたわ。」

「私といると目を付けられるわよ。

話し掛けないほうがいいんじゃない?」

「ふふ、うちの親は厳しくってね。

付き合う友達はちゃんと選びなさいって。」


これ見よがしに大きな声で話すのは

『剣士』LV11 ユキだ。

誰にでも物怖じせず、芯が強い。


「ユキ。いいから、私から離れなさいよ。

嫌がらせされそうで心配。」

「ふふ、私は学校卒業後も付き合っていける友達が欲しいの。

人に流されるだけの方々に興味はないわ。」


リナ達がこっちを睨み付けている。

何もなければいいけど…。



放課後、ダンジョンに向かう途中

ユキが男連中4人に囲まれている。


リナとその取り巻きも離れた所で笑っている。

男連中にはタイシと上級生も混じっている。


また、タイシか…。


あれはリナの兄だっけ?

妹の為にでしゃばってくるなんて

まぁ妹想いで素敵なことで。


「お前は黙って言うことを聞けばいいんだよ!」


怒鳴り声が聞こえてきた。

そう言って…ユキに平手打ち。

さらに別の男がユキを後ろから蹴る。

バランスを崩したユキが倒れた。

「うっ…」

「おまえさ、あっちでゆっくり話でもしようか。

場合によっちゃ、じっくり仲を深め合えるかもな。」

「ぐっ…あなた方と話すことはありません。

友達にそんなことするつもりもありません。」


クソ共の下卑た笑い声が聞こえてくる。


だから言ったのに…。

胸くそが悪い。


ユキを殴った奴はマウント。

これは決定事項。


ユキの所に走る。

1人目を殴る。殴る。殴る。殴る。

ユキを蹴った右足を蹴る。蹴る。蹴る。蹴る。


ねぇ、イオリ。

元気してる?

私は伸ばしてた髪を切った。

イオリが帰って来てないか

毎日、朝と晩、部屋を見に行ってるんだよ。



2人目が後ろから蹴りをいれてきた。

タイシの腰巾着か。

1人目を投げ、2人目を殴る。殴る。殴る。殴る。蹴る。


ねぇ、イオリ。

私もやっと17階層まで来たよ。

毎日、シルバーウルフと戦ってる。

イオリもそこで苦労したって言ってたね。



クラスの子が1人目に回復魔法を掛けている。

メランダだっけ?

メランダを突き飛ばし、1人目をもう一度殴る。殴る。殴る。右足を蹴る。蹴る。蹴る。蹴る。蹴る。


ねぇ、イオリ。

私が何も気付いてないと思ってた?

いつも私だけ何も知らない。

不安だった。

信用されてないんじゃないかって。



3人目、リナの兄が殴り掛かってきた。

避けて、殴る。殴る。蹴る。殴る。

マウントを取り、殴る。殴る。殴る。殴る。


ねぇ、イオリ。

そろそろちゃんと話してよ。

私もそこに入れて欲しい。

一緒にいたいって…

家族だって言ってくれたよね?


気が付いたら涙が溢れている。止まってくれない。



4人目、タイシか。私を見て震えている。

殴る。殴る。殴る。殴る。殴る。殴る。


ねぇ、イオリ。

明後日で1ヶ月になるよ。

ちゃんと…帰ってくるよね?

もう帰ってきてくれたら、それだけでいい。

早く会いたいよ…。



タイシがうめき声をあげている。

リナが泣きながら私にしがみつく。


「もうやめて!悪かったから、もう…やめてよ。

タイシが…タイシが死んじゃう。」


これでこの2人も懲りただろう。

治癒院にでも運んでおくか。


そ、そう言えば…ユキ、大丈夫?

忘れてなんかいないからね…。



あ!


あーーーっ!

イオリ!イオリだ!イオリがいる!


「イオリーーー!」

血まみれの手を振る。


イオリとユーリさんが帰ってきた。

良かった。2人とも無事。

リノアさんにも教えてあげなきゃ。


ねぇ、イオリ。

感動の再会なのに、そんな恐ろしい物を見るような目は止めなさいよ。

ちょっと傷付いたから。

ふふふ、でも、もう遅いよ。

私を選んだイオリにも責任あるからね。


あ、丁度良かった。

一応、『プリースト』だっけ。

そこに4人も倒れてるから、回復してもらおう。


もちろん、ユキが最初だからね。


イオリ 12歳


職業:寄生虫LV16

擬態職業:プリーストLV11

熟練度:

寄生虫 LV16(1035.78/1600)

プリースト LV11(77.87/1100)

魔女 LV6(530.08/600)

医者 LV8(416.82/800)

諜報員 LV14(506.79/1400)

格闘家 LV7(603.51/700)

大商人 LV1(69.04/100)

魔法剣士 LV1(9.83/100)

寄生先:4(4/4)

親密度:リノア(95/98)

   ユーリ(89/91)

   ブランカ(76/86)

   リーリア(49/71)

スキル:寄生 

・プリースト : 回復魔法(微・小) 毒回復(小)

麻痺回復(小) 速さ上昇魔法(小) 浄化魔法(小)

・魔女 : 炎・水・土魔法(小) 精神異常耐性

・医者 : 精神安定(小) 解熱(微・小)

病回復(小) 精神上昇(小)

・諜報員 : 人物鑑定(小) 職業偽装(小)

気配遮断(小) 気配察知(小) 視野拡大(小)

聴力上昇(小) 嗅覚上昇(小)

・格闘家 : 格闘術+補正(小)

体力・力・速さ上昇(小)

・大商人 : 物品鑑定(小) 交渉術+補正(小)

・魔法剣士 : 炎属性付与(小)

ステータス(↑プ+魔+医+諜+格+大+魔+寄)

HP 242/242(↑5+10+4)

MP 251/251(↑5+10+5)

体力 165(↑2+6+3)

力  143(↑2+6+3)

魔力 201(↑5+4+5)

精神 226(↑5+6+3)

速さ 175(↑2+8+3)

器用 163(↑2+8+3)

運  163(↑3+4+2)

寄生 25


上位職寄生解放 2/50

成長促進    4/50

潜在職業覚醒  3/50(2→3)

寄生距離延長  2/50

老化遅延    17/25(16→17)

性的快楽増強  9/25

吸収率向上   2/25

親密上昇補正  1/25

残ポイント0

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