第34話 12歳 リーリア忠誠を誓う

◆リーリア視点


2ヶ月後のある日。


「クックックックックッ

あっははははは!」


配達の帰り道。

周りから冷たい視線を送られても、下品な笑いを止められなかった。


家からのノルマはもう半年先の分まで貯まっている。


この2ヶ月、イオリとブランカが別々に魔石を回収するようになり魔石の回収量が増えた。

マジックポーションよりも魔石の儲けがメインになった。

しかも、最近ではダンジョン探索用の注文もこちらに入ってくる。

本当にイオリ様々だ。


明日はブランカのリングの売上も入る。

お得意様価格にはしているものの、そもそも装飾品は利益率が高い。


このまま奥様の分も買わせてしまえば、さらに儲けは膨らんでいく。

「クックックックックッ

金づるちゃん達に何か持っていかな、罰が当たりそうやで。

こりゃ、ノルマも楽勝やわ。」

彼女はそう呟いた。



しかし、有頂天になっていたこの女は天国から叩き落とされる。

リノアを甘く見た報いを受けることになる。




ブランカへのリングを納品した翌日、リーリアはリノアから呼び出されていた。

「ふふふ、リーリア、あなたの入れ知恵だと聞いたわ。

どう言うことか説明してもらおうかしら?」


リノア奥様は正式な婚約者にも関わらず、まだ装飾品の1つもイオリから貰っていない。

にも関わらず、奥様を通さず、私の入れ知恵で先にブランカにリングを贈ったのが気に入らないらしい。


失敗した!

とばっちりだと思ったが

この家の要である奥様へのお伺いが抜けていたのは事実。ミスはミスだ。


「ふふふふふ、イオリ君。

もう行っていいわ。

次はリーリアとお話しするから。」

「はい…先生、失礼します。」


「リーリア。

私への配慮もできないようなら、あなたと取引する必要性を感じないわ。」

「奥様!それだけは何卒!

今後は誠心誠意尽くしますので、何卒、ご勘弁下さい。」


今の私にはここしかない。

こんな美味しい環境は早々見つからない。

何としてでも、必死に食らいつく。



ふふふふふ、リーリア。

やっと失敗してくれたわね。

リノアはほくそ笑んでいた。


最初から狙いはリーリアだ。

ノルマに困っていた商人に甘い汁を吸わせ

抜け出せなくなったところで落ち度を責める。

後は今後の取引をちらつかせ、こちらの思惑通りに動く駒に仕立てあげる。



「ふふふ、リーリア。

もう少しあなたはできる子だと思っていたのに残念だわ。

正直に言ってごらんなさい。

私達のことを金ヅルぐらいにしか見てなかったでしょ?

ちょっとお仕置きが必要かしら。」


そう言って、部屋の中が氷漬けになっていく。

私の足が膝下まで徐々に凍らされている…。


「ヒィッ。奥様!滅相もございません!」

「ふふふふふ。

一昨日の帰り道、金づるちゃん達って声をあげて笑っていたと聞いてるわ。」


まさか、聞かれていた!?

いや、あの場に誰も居なかった筈だ。

いつから人をつけられていた?最初から?


寒くて仕方ないのに、汗が噴き出してくる。


「もちろん奥様の事ではございません!

他にも取引先が…」

「ふふふ、あら、リーリア。

あなたはうちとしか取引してないと報告を受けているわ。

違ったかしら?」


ぁぁ…

私は甘く見ていた。

ここまで調べていたとは…。

部屋の寒さと奥様の恐ろしさに私は震えが止まらない…。


「奥様…その…申し訳ございません…。」

「ふふふ、そんなに震えないで。

ちょっと寒そうね。少し暖めてあげようかしら。」


そう言って、今度は炎で私の周りを焦がしていく。


「あちっ!ヒィッ、奥様!お許しを!」

「あら、ちょっとやり過ぎたかしら?

回復魔法で癒してあげるわ。

さぁ、早くこちらにおいでなさい。」


「はい…」

私は自分の迂闊さを攻めた。

ここは私ごときが手を出していい家ではない。

何とか無事に逃げ切らないと。。。


「ふふふ、ねぇ、リーリア。

しっかりと身の程を理解できたかしら?」


奥様が耳元で囁いてくる。

いつものおっとりした口調が逆に恐ろしい。


「は、はい、奥様。

私程度がお取引していい所ではございませんでした。

今までの利益は全てお返し致します。

ですから、何卒、これ以上は…ご勘弁下さい…。」

「ふふふふふ、あら、リーリア。

何を勘違いしてるのかしら?

私はちょっとお願いしたい事があるだけよ。」

「は、はい、奥様!

何なりとお申し付け下さい!」

「ふふふ、あら元気があっていいわね。」

「この度の失態。

償わせて頂けるのでしたらっ!」

「ふふふ、難しいことじゃないのよ?

今後はイオリ君の周りで何かあれば、すぐに私に報告なさい。」

「承りました!」

「それとね、私を1番に考えるように彼をしっかり誘導するの。

分かるわね?

また指示は出すわ。

それまでは彼からの信頼を勝ち取れるように全力で当たりなさい。」

「はい!奥様!全力で当たらせて頂きます。」

「ふふふふふ、リーリア。いい子ね。期待しているわ。

次にお痛したら…あの板のようになるかもしれないわよ?」


そう言って、庭にある板がボロボロに切り刻まれていく…


「も…もちろん、理解しております。」

「ふふふふふ、私もあなたとの縁を大切にしたいわ。

ちゃんと私への誠意を見せてもらえるかしら?

あなたの気持ちを見せてくれればいいの。」

「はい、ご用意させて致きます。」

「ふふふ、楽しみにしているわ。

じっくり考えて結論を出してくれればいいのよ。

話は以上よ。」


本来、取引に強い『大商人』と言えど

リノアの前ではまだまだ小娘でしかなかった。




「あはははは、リノア。

あんなに脅しちゃって可哀想に。」

「ふふふ、ユーリ、嫌だわ。人聞きの悪い。

4人目として、しっかり働いてもらわないといけないもの。

ちょっとお勉強してもらっただけじゃない。」

「あはは、確かにちょっと躾は必要だったかもしれないわね。」

「ふふふ、そうでしょ。

彼女にはイオリ君の為に成長してもらわないと。

ついでに私達の為に動いてくれる子がいた方が便利だもの。」

「ほどほどに…ね。」




恐ろしい家に手を出してしまった。

誠意を見せろとも言われても

どこまで何をすればいいのか見当もつかない。


とにかく、父に相談しよう。

父はこの都市ではちょっとした実力者だ。

最悪の場合、助けてくれるかもしれない。


父にこの2ヶ月のことを包み隠さず話した。

失態に対し、厳しい叱責を覚悟していたが、父は何を思ったか笑い始めた。


「あははははは、それはいい勉強をさせてもらっている。

感謝しないとな。

奥様にあと5年、誠心誠意お仕えしなさい。

この金を持っていきなさい。」


そう言って、500万G分の札束を渡してくる。

5年以内に返してくれればいいと。

「これでも少ないくらいだ…。

この程度の金なら1年もすれば返ってくる。

投資だと思いなさい。


ここで誠意を見せる事が大切だ。

このお金を使って、イオリ君を奥様の希望に添うように動かしなさい。

最後に父が娘をよろしくお願いしますと言っていた。」

そう伝えてくれと。



「奥様。これから5年間、私を忠実な下僕としてお側に置いてください。

父より「娘をよろしくお願いします」という言葉と

500万Gのお金を預かっております。

こちらで使い道は考えさせて頂いてよろしいでしょうか?」

「ふふふふふ、リーリア。嬉しいわ。

あなたの誠意は十分伝わったわ。

お父上にもよろしく伝えてもらえるかしら?」


以前のような詰めの甘さも無くなり、彼女は商人として一回り大きくなる。

こうして、リーリアはリノアから重宝されるようになる。


これによりイオリの行動は、リノアに筒抜けになったのは言うまでもない。。。

少しずつ思考までも誘導されていくことになる。


イオリ 12歳


職業:寄生虫LV15

擬態職業:プリーストLV10

熟練度:

寄生虫 LV15(1234.24/1500)

プリースト LV10(494.23/1000)

魔女 LV6(259.09/600)

医者 LV8(198.30/800)

諜報員 LV12(592.74/1200)

格闘家 LV6(389.78/600)

大商人 LV0(34.56/50)

寄生先:4(4/4)

親密度:リノア(94/98)

   ユーリ(87/91)

   ブランカ(74/86)

   リーリア(35/71)

スキル:寄生 

プリースト : 回復魔法(微・小) 毒回復(小)

麻痺回復(小) 速さ上昇魔法(小) 浄化魔法(小)

魔女 : 炎・水・土魔法(小) 精神異常耐性

医者 : 精神安定(小) 解熱(微・小) 病回復(小)

精神上昇(小)

諜報員 : 人物鑑定(小) 職業偽装(小)

気配遮断(小) 気配察知(小) 視野拡大(小)

聴力上昇(小)

格闘家 : 格闘術+補正(小) 体力・力上昇(小)


ステータス(↑プ+魔+医+諜+格+寄)

HP 214/214(↑5+3+2+5+6)

MP 228/228(↑5+8+6+5+0)

体力 145(↑2+1+2+3+6)

力  123(↑2+0+0+3+6)

魔力 184(↑5+8+5+2+0)

精神 208(↑5+5+8+3+1)

速さ 153(↑2+1+2+4+6)

器用 143(↑2+2+3+4+4)

運  142(↑3+3+3+2+2)

寄生 24


上位職寄生解放 2/50

成長促進    4/50

潜在職業覚醒  2/50

寄生距離延長  2/50

老化遅延    16/25

性的快楽増強  9/25

吸収率向上   2/25

親密上昇補正  1/25

残ポイント0

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