第20話 3人目の寄生虫

兄タイシとはほとんど話さない。

何かと弟を見下し、パシりに使おうとするのが気に入らない。

剣術稽古という名の悪質なイジメも受けた。

挙げ句の果てには「兄より優れた弟はいない。」等

某世紀末救世主の兄のような事を平気で言い出す。


ハッキリ言おう大嫌いだ。


ブランカとは多少仲良くなって熟練度だけ頂いたら

すぐ「さようなら」するつもりで寄生する。

大嫌いで定期的に顔を合わせる必要のある兄の彼女と

仲良くなりたいとは思わない。


中級職『格闘家』LV11

ブランカ14歳 寄生相性86


3人目のブランカに寄生する。

ブランカの情報が頭に入ってきた。


「おい、イオリ。

おまえ、25歳のババァと婚約したらしいな。

なぁ、金目当てなんだろ?

そのマジックポーションもそのババァからせびってきたのか。

おまえも上手くやったな。」


兄の言葉に耳を疑った。

怒りが膨れ上がる。


「俺はリノアを愛している。

これ以上は例え兄さんでも許さないよ。」

「ほう、どう許さないのか?

教えて貰いたいね。

『プリースト』なんて中級職に目覚めたら、もう兄に勝てるつもりか?」

「勝てる勝てないの話じゃない。

人としてどうありたいかの話だ。」

「調子にのりやがって、ちょっと再教育が必要みたいだな。

ほら、掛かってこいよ?

玉の輿狙いのイオリちゃん。」

「この野郎っ!ぐぁ。」

「オラオラ、その程度でよくもそんな偉そうに言えたな。」


ステータスの総合力なら兄を上回る。

隠してはいるが、中級職4つに目覚めているイオリは既に異常なのだ。


だが、勝てない。こちらの攻撃は全て防がれ、兄の攻撃は7割以上当たっている。

一方的にやられていると言っていい。


この世界のステータスは1上昇すると約1%、該当する能力が上がるイメージだ。

ステータスを上げるのは、必ずしもレベル上昇だけではない。

身体や魔力を鍛えれば、ステータスはそれに応じて上がっていく。

しかも、戦闘となれば、今までの経験やスキルの差が大きく響いてくる。

職業のレベルアップの数字だけで、いきなり無双できるほど甘くはないのだ。


ましてや、イオリは後衛職がメインである。

『プリースト』以外のスキルを隠し、戦闘に特化した兄を倒せるはずもない。



ボコスカにやられ、起き上がれない。

ここまで兄と差があるとは…


「弱っちい癖に突っ掛かってきやがって。

そのババァに泣いて慰めて貰ってこいよ」


この野郎!まだ言うかっ!!

イオリは回復魔法を使い、また殴り掛かる。


ぁ、リノアから先日贈られた上着が大きく破れていた。

ビリビリに破れた上着を見て涙がこぼれてくる。

リノアが俺に似合うと言って、満面の笑みで買ってくれた大切な上着だ。

絶対に許さないっ!


「うわぁぁぁぁっ!」

「泣けば強くなるとでも思っているのか?」


やっと1発入った。

しかし、それが兄の怒りに火を注ぐ。

さらに攻撃が苛烈になる。

今まで兄は手を抜いていたのだ。

もう殴り掛かることすらできない。


MPも全て使いはたし、もう起き上がれない。

そのイオリの頭を踏みつけて兄が言ってくる。


「今日はこのへんにしといてやるか。

このマジックポーションは俺が貰っといてやる。

次からは立場をわきまえろよ。」


身体中が痛くて、もう起き上がれない。

リノアとユーリに貰ったマジックポーションまでも奪われ

情けなくて涙が止まらない。

2人に何て言おうか…


「イオリって言ったかしら、気に入ったわ。

家まで送っていくから、背中に被される?」

「ブランカ、こんなだっさい奴ほっとけよ。」

「少なくとも、あんたよりは遥かに格好良いと思ったけどね。

じゃ、いくから。」

「おぃ。ブランカ!」



「明日から鍛えて上げるから、毎朝時間を空けといて」

そう言って、俺を送り届け、ブランカは帰って行った。

ブランカとも仲良くなれるし、この特訓はありがたいと言える。


しかし、彼女のブランカがイオリにかまえばかまう程

兄タイシの怒りはイオリに向かうことになる。



ボロボロの俺を見て、リノアとユーリはすぐに回復魔法を唱えてくれた。

「イオリく~ん、見てたわよ。

お姉さん、格好良くて応援しちゃったなぁ。」

「先生、イオリ君のお兄さんじゃなければ、燃やしてやろうと何度思ったか。」

「あははは、ババァって言われて、魔法をぶっ放すところだったじゃないの。

ね。25歳になったリノアせ~んせ。」

「うっさいわね!

もうすぐあんたも24になるでしょーがっ!

私とイオリ君は心が通じ合ってるの。

俺はリノアを愛してるって言ってたもん!

キャァァァ、キュンキュンしちゃう❤️」

「まぁ、確かに今日のイオリ君は格好良かったわ。」

「リノア先生、ユーリ、ごめんなさい。

マジックポーションも取られて、服もビリビリに破れました。」


悔しくて、また涙があふれてくる。

そんな俺をリノア先生は優しく抱きしめる。


「ふふふ、服もポーションもどうでもいいのよ。

イオリ君、とっても格好良かったもん。

あぁぁぁん、もうダメ❤️

ねぇ、ユーリ、今日は順番変わってよ。

イオリ君とずっと一緒にいたいわ。」

「そんなもん、ダメに決まってるでしょうが。

あんなの見せられて、燃え上がっちゃったわ。」


ユーリが耳元で囁いてくる…

「お姉さん、今日は中々収まらないと思うわ。

沢山ご褒美あげるからね❤️

お姉さんが満足するまで、お薬で気持ちよくなりましょうね」

「ヒィィィ…」

「おい!ユーリ!

イオリ君が怯えてるじゃないっ!」

「違うわよ。

2人の濃密な時間を楽しみにしてるの。」

「今日は私に譲りなさいよっ!

彼には心の癒しも必要なの。」

「心の癒し?ババァの介護の間違いでしょ?」

「おまっ!言いやがったなっ!!」



今夜のユーリの攻めは苛烈を極めた。

イオリは抗う事もできず、快楽と羞恥心を植え付けられる事となった。。。


イオリ 11歳


職業:寄生虫LV10

擬態職業:プリーストLV7

熟練度:

寄生虫 LV10(50.63/1000)

プリースト LV7(527.08/700)

魔女 LV4(65.60/400)

医者 LV5(45.18/500)

諜報員 LV5(404.45/500)

格闘家 LV0(0/50)

寄生先:3(3/3)

親密度:リノア(91/98)

   ユーリ(84/91)

   ブランカ(3/86)

スキル:寄生 

回復魔法(微・小) 毒回復(小) 麻痺回復(小) 

浄化魔法(小) 火炎魔法(小) 水魔法(小)

精神異常耐性 精神安定(小) 解熱(微・小)

人物鑑定(小) 職業偽装(小) 気配遮断(小)


ステータス(↑プ+魔+医+寄)

HP 111/111

MP 139/139

体力 63

力  49

魔力 123

精神 131

速さ 66

器用 77

運  79

寄生 19

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