第16話 歪んだ三角関係

「なるほど。やっと理解できたわ。

私達はその寄生されていたわけか。


詳しい検証や今後の話は明日するとして

そろそろリノアの所に行ってあげて。」

「ユーリ先生は寄生を解除したいと思わないのですか?」

「私は治癒院で『医者』を続けるより

よっぽどあなたに補食されていた方が楽しそうだわ。

ちゃんと私の欲望を満たしてくれれば満足よ。」

「はい、ユーリ先生。

その…なるべく…頑張ります。」


イオリも10歳とは言え、異性との興味はある。

期待半分・困惑半分といったところか。


「あはは、可愛い。

イオリ君のその照れ屋な所がまたそそられる。

明後日は私の日よ。

愉しみにしてるからね❤️」




「ねぇ、私は欲望だけ満たしてくれればいい。

だから、心は私の分までリノアに注いであげてくれない?」


ユーリ先生はそれでいいんですか?

と聞こうとして止めた。

リノアから受けた恩の半分も気付けず、彼女を苦しめた自分に言う資格は無い。


ユーリとの秘密の共有関係を隠し、リノアに心は尽くす。

皮肉にも大好きなリノア先生ではなく、ユーリこそが自分の事を相談できる唯一の人となってしまった。

大きく歪んだ形ではあるが、今はそれがベターな選択だと感じた。


「分かりました。」

「ありがとう。

今後、寄生する人間は増えて

私達の関係も形を変えていくと思うわ。

その時までリノアをお願いね。」

「はい、ユーリ先生。

ありがとうございます。」



◆イオリ視点


リノア先生の部屋に入り、寝かされているリノアに寄り添う。


しばらくして、目覚めたリノアが声を掛けてきた。

「イオリ君…ごめんなさい…」

「リノア先生は悪くない。

僕の方こそ、ごめんなさい。ごめんなさい。」


涙が溢れ止まらなくなる。

リノア先生の人生を壊してしまって、ごめんなさい。

優しいリノア先生を苦しめて、ごめんなさい。

受けた恩すら気付けなくて、ごめんなさい。


「ふふふ、何でイオリ君が泣いてるの?」

「リノア先生…いつも…ありがとうございます。

本当に恩知らずでした。ごめんなさい。」


泣き止まない俺をリノア先生が優しく抱きしめてくれる。


「ふふふ、先生が謝らなきゃいけないのに変なイオリ君。

ねぇ、イオリ君。

昨日の告白、まだ無かったことにしないと駄目かな?」

「はい、先生。

僕の心は先生にありますが、もう少しだけお時間を下さい。

自分の気持ちに納得ができたら、もう一度お願いしにいきます。」


ユーリと秘密の関係を持ってしまい、罪悪感が根底にある。

次はユーリが罪悪感に苛まれる番となる。


次の日、3人で話し合い治癒院に戻ることになる。

リノアとユーリは治癒院へ謝罪。

しばらく罰則はあるが復帰を認められた。


改めて、イオリとリノアは住み込みの弟子をサラとアレクにお願いし許可を得る。

ユーリの協力があったのは事実ではあるが。。。



「あはは、今日からイオリ君と一緒に暮らせるね。

ここが2人の愛の巣になるのね。」

「ユーリ!あんたは実家に帰りなさいよっ。

何が愛の巣よ!ここは私の家よ。

いい加減にしないと蜂の巣にするわよ?」

「あら、上手いこと言ったつもりかしら?

リノアのショボい魔法でどうやって蜂の巣にしてくれるのか楽しみだわ。」

「イオリ君は私の彼になるの!?

分かり合えた2人の邪魔をしないで。

空気も読めないのかしら?」

「あら、7分の2は私の彼氏よ。

最低でもあと1年と363日は切っても切れない関係なんだから仕方無いじゃない。

まぁ、あなたは7分の3だから、私より多いかもしれないけど。

それで彼氏面されたらたまらないわ。」

「それは契約上の話でしょうが!

私と彼は昨日、心が通じ会えたの。

ふふふ、今日も私と愛を育もうね❤️」

「あはは、昨日、あれだけ凹んでいたのに。

また調子に乗っていると、すぐ痛い目にあうわよw

そうそう、リノアちゃん。

私も彼の温もりを感じたいし、シングルベッドをお願いできるかしら?」

「2つ用意するから別々に寝なさいよ!」


気持ちはリノア先生にある。

いますぐにでもお付き合いしたい。

しかし、ユーリとは秘密を共有し、関係まで持ってしまった。

ユーリの目の前で、リノアとすぐに付き合えるほど、イオリは器用にできていない。


今後の事を相談できる唯一の人でもある。

イオリとしてもユーリと暮らせた方が助かるのも事実。

頭の良いユーリと相談できたことにより、今後、『寄生虫』としての熟練度取得は加速していくことになる。


しかし、表面上だけでも、もう少し仲良くできないのか…

頭を悩ますイオリだった。


イオリ 10歳

職業:寄生虫LV5

擬態職業:プリーストLV5

熟練度:

寄生虫 LV5(212.57/500)

プリースト LV5(341.31/500)

魔女 LV1(70.25/100)

医者 LV1(5.59/100)

諜報員 LV0(1.21/50)

寄生先:2(2/2)

親密度:リノア(76/98)

   ユーリ(54/91)

スキル:寄生 回復魔法(微・小) 毒回復(小)

浄化魔法(小) 火炎魔法(小) 精神異常耐性

精神安定(小) 解熱(微)



ステータス(↑プ+魔+寄)

HP 44/44

MP 50/50

体力 25

力  19

魔力 52

精神 52

速さ 23

器用 29

運  34

寄生 14

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