第25話 エピローグ①

 最初の見張りのアネモネは焚き火の火を絶やさない様に定期的に薪を焚べながら寝静まった三人を眺め、穏やかに微笑んでいた。

 人と対等な立場で生きる事を望むアネモネにとっては真逆とも言える主従関係を同意無く結んだ事に後ろめたさは有る。

 しかし命令はしないと言ったとはいえアネモネが期待していた以上にその関係をすんなり受け入れられ、正体がドラゴンである事にも過度に恐れられなかった事がアネモネには後ろめたさをかき消す程に嬉しいのだった。

「んふふっ」

 感情が溢れて思わずアネモネの口から笑いが漏れる。

「何一人で笑ってんのよ?気味が悪いわね」

「おひょっ!?シェリーちゃん起きてたの!?」

 背を向けていたシェリーが寝返りを打ってアネモネの方を向く。

「眠いし怠いし疲れてるけどやけに目が冴えてんのよ」

「眠れないならお話しでもする?」

「んー…………いや、見張り代わるわよ。アンタもしっかり寝ときなさいな」

 そう言ってシェリーは気怠げに身を起こし焚き火の側であぐらをかく。

「うん。じゃあお言葉に甘えて」

 アネモネはシェリーの隣へ近寄る。

「なんで寄って来るのよ?」

「ダメ?」

「はぁ…………好きにしなさいよ」

「うん!」

 上目遣いに伺うアネモネにシェリーは呆れ混じりに了承する。

「って何アタシの膝を枕にしてんのよ?」

「にしし、おやすみなさい」

「はいはい、おやすみおやすみ」

 露骨にご機嫌なアネモネを追い払うのも面倒になったシェリーはなすがままに受け入れる。

 そしてしばらくしてアネモネは眠りに落ちた。

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