第2話

制服に着替え朝食を食べながら今朝の夢を思い出す。

「それにしても誰かに似てたんだけど、誰だっけなぁ」

寝惚けた頭で考えていたが思い出せずにいた。

そうこうしているうちに家を出る時間だ。慌てて鞄を持ち学校へ向かった。

今日から新学期だ。遅れるわけにはいかない。


高校は電車で20分程の距離だ。

他の高校も新学期なのだろう。高校生の姿が多い。

辺りを見渡せば、大人も子どももスマホと睨めっこだ。

サラリーマン達は朝の通勤電車に高校生が増えるのが不満なのか、仲間内ではしゃいでいる集団に渋い顔を向け、またスマホに視線を戻す。


電車を降りると「よぉ」と肩をたたかれ

中学からの友人、河井かわい隼人はやとに声をかけられた。

「うっす」

「どうした眠そうだな」

「変な夢見てさ」

「やらしい夢か?」

隼人は男からみても整った顔をしている。中学時代は学校のイケメンベスト3にも入ると女子が騒いでいた。

ただ話の中身は下ネタが多いのが難点だ。


朝から何を言ってるんだと思いながら

「見たことあるけど誰だか思い出せない人が出てきて、なんだかスッキリしないんだよ」

「ふーん、朝からスッキリしないのはご苦労なこった。そいうやクラスがえ楽しみだな」

1年次、隼人とは違うクラスだったが、こうして通学中に会えば一緒に学校まで行くことが多かった。


最寄り駅から学校までは平坦な道のりで、少し前までは桜並木がそれはそれは見事だった。

春は天気が安定しないせいで、せっかく咲いた桜もこの前の雨で散り始めていた。


校門を抜け、クラスが貼り出されている場所へ向かう。

自分の名前を探していると、

「お、渉、同じクラスだ」

隼人が先に見つけてくれた。

ふと、自分の名前の近くに“相澤”の文字も見えた。

「まさかね」ボソッと呟く。

「渉、教室行こうぜ」

そう隼人にうながされ教室へと向かった。


教室に入り、最初に気になっていた相澤さんの姿を見たが、いつもの相澤さんだった。


ほっとしていると隼人が耳元で

「渉はああいう地味な子がタイプなのか?脱いだら凄いのか?」

そうささやいてきた。

「何馬鹿な事言ってんだよ」

一蹴いっしゅうして席に着いた。

正夢じゃなくて安心してる一方で美少女の事を思い出す。


(唇、柔らかそうだったな…)


高校生男子が考えていることなんて、口に出しているかいないかで、隼人とそんなに変わらないなと自分に呆れるのだった。





  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

顔をみせて @chocolateparfait

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

フォローしてこの作品の続きを読もう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ