船旅の途中で嵐に遭い、絶海の島々へと漂着した元歌姫、クラリッサことクラリス。そこで彼女が出会ったのは、島民から遠ざけられているアルビノの少年、エツィカシュイムことツィカだった。
飄々として弾けるような明るさを持つクラリスと、まだ幼くもしっかりしていて真面目なツィカの二人は、島内では異邦人とアルビノという外れた存在。加えてどちらも背後に陰を抱えているのですが、友情を深めていく二人の姿は眩しく、心を和ませてくれます。
舞台となる南の島、フィアスティアリそのものや異文化が織り成す描写も美しく、こちらまでクラリスと同じ道を辿っているかのような気分を味わえます。良いところばかりでなく、問題もしっかり描かれており、だからこその人間ドラマも見どころ。しかし最大の見どころは、題名にもある二重唱! 様々な事情が絡み合う中を突き抜け、思いのままに紡がれるクラリスとツィカの、清澄かつ透明な歌声。そして力強く自由な歌唱には、心を揺さぶられます。
ぜひ貴方も、南の島フィアスティアリへの旅と、日陰の二人が紡ぐ歌をご堪能ください。