第2話 二回裏
二回表にグラシアル選手がライト前ヒットで出塁した後、若手の5番打者栗原選手が2ラン本塁打を打って2点を先制してくれた。
なので、予定通り全力でこの回をしっかり抑えようと思った。
そして迎えた打者は5番打者の丸佳浩選手。フォークを決め球にしやすい左打者だ。
キーマンの一人だ。
「5番 センター 丸」
初球は外角低めのストレートのサイン。予定通り投げることができた。
2球目フォークのサインが出たが、拓也の前でワンバウンドした球は全く反応してくれなかった。
3球目はストレートを外角に拓也は構えた。少し力が入ったが157キロの内角高めで空振りを奪うことができた。
4球目は決め球としてフォークを選択した。いい場所から落ちた。だが、全く反応してくれなかった。
5球目もフォークのサインが出て投げた。これもいいところから鋭く落ちた。だが、全く反応してくれない。
「そうなればフォークをかなり警戒しとる。ストレートでどうじゃ!!」
そう心で大きな声を出しながら投げた球は159キロにもなるストレート。内角ズバッと。
丸選手はピクリとも動かずベンチへ帰っていった。
「ストレートを投げればいい打球を打たれることはまずないだろう。」
そのような確信を持つことができた。
次は大ベテランの亀井善行選手だ。去年の日本シリーズでも結構打っているお祭り男の左打者だ。
「6番 指名打者 亀井」
初球は外角へ外から曲がるスライダーだったが、ボールからボールだったので無駄な球となった。
2球目は外角のストレート。いっぱいのコースを亀井選手は打って詰まったセカンドゴロとなった。
セカンドの周東選手がアンダーハンドトスで一塁に送ってアウト。難なく2アウトだ。
「今は狙って打ったというより追い込まれたくない心理が働いて打たされたな」
と思っていた。
「7番 ファースト 中島」
中島裕之選手を迎える。この選手も国際舞台でいい活躍をしたこともあったし、舞台慣れしていてお祭り男の雰囲気が結構ある。「やったるぜ」みたいなガッツを全面に出してくる選手だ。
初球、外角にストレートのサインで拓也は外角に構えた。157キロのストレートは空振り。完全な振り遅れだ。
2球目も同じようなコースに構えたが、これは力が入ってしまったため、低く外れてボール。
3球目、拓也は今度はインコースにストレートを要求した。狙った場所より低くいったが振り遅れのファウル。
「これなら変化球でいなすより真っすぐで押した方がいい。」
と考えた僕と拓也の意見は一致。
4球目は内角のストレートのサイン。
構えたところにビシッと158キロの球が真っすぐ行った。かすりもしなかった。
3アウトチェンジである。
ジャイアンツはとにかくフォークボールを警戒していることが分かったイニングとなった。
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