6日目。かやが遊びに行った。

 今日は午前だけバイト。かやは暇だから商業施設に行ってくるって。


 かやSide


 今日は高校の時に貯めてたバイト代を少し崩してきた。特に何か買う予定はないけど、ここ数日お世話になってみてわかったことがあるからそのための買い出しをしに来た。


 あおい先輩の家は2口コンロなので同時作業ができるんだけど、私たち2人だとフライパンが1つだと足りない。なので、20cmのフライパンを1つ。あとは、お茶漬けの素。自分用の化粧水とかが足りなくなってきたからそれを買い足し。それだけかなぁ。

 

 商業施設の中でうろうろしていると後ろから声をかけられた。


「あれ、かやちゃんじゃん。こんなところで会うなんて偶然だね」


 泰希たいきさんがいた。同じクラスなんだけど、なんかちょっと嫌な人。インスタ交換したんだけど、DMでめっちゃ話しかけてくる。うざい。陽キャぶってるけどなんか違う人っていない?そんな感じの人。


「まぁ、越してきたばかりでいろいろ入用なので」


「俺もついて行っていい?」


 私は何も言わずに少し移動してみた。すると、たいきさんはついてくる。これってさ、ついて行っていい?って聞いといて勝手についてきてんじゃん。


 先輩に連絡したいけど、今はバイト中……この商業施設の近くで働いてるとは言ってたけど、連絡してもいつ迎えに来てくれるかわかんないし……


 とりあえず、放置して自分の買い物を済ませよう。そして帰ろう。お昼は冷凍ごはんを拝借してお茶漬けにしよう。


 お昼食べて帰るつもりでいたのにぃ……


「ねーねー、かやちゃん。お昼まだならこの後一緒にどう?」


 どう?って聞かれてもさ、飲食店入ったら勝手についてきて2名で、とか言うつもりなんでしょ?しかも、自分は高い方頼んでおいて割り勘って言うの。しかも、所持金ないから、一緒に行きたくない!私一人だったら牛丼でもいいんだよ!?


「いえ、ご一緒は遠慮させていただきます」


 めんどくさそうな感じがするから、先輩に一言連絡しておいてから動こう。


 まずは化粧水。いつもの無〇良品で。化粧水はしっとりタイプだけど、乳液はさっぱりタイプが好み。


 その次に、ビルの中の化粧品を取り扱うお店でコスメを見て行こう。


「ねー、かやちゃん。これなんてどう?」


 化粧品を取り扱うお店に入るや否や、店頭に置いてあった、いかにも使う人を選びそうなギラギラアイシャドウを私に見せるたいきさん。


 私基本マットしか使わん……マットの上にラメのせるのがかわいいんじゃん。


「いりません」


 彼氏気取りでついてこられても……


「かやちゃん、これは何?」


 使い方知らないなら黙ってて?


「あれは……?」


「これは……?」


 あれは?これは?とずーっと私に聞いてくる。

 

 もういや。先輩と一緒に買い物する方が100倍楽しい。あ、0に何かけても0だった。まぁいいや。先輩と買い物って、時間を共有してること自体が楽しい感じするから余計に楽しいんだろうな。


 何も買わずに店を出る。次に向かったのは、ユ〇クロ。メンズコーナーであおい先輩に似合いそうなのを見て回った。


「ねー、かやちゃん。俺に見立ててくれない?」


 え、そんなの嫌。てきとうなの着て笑われれば?


(先輩ならモノトーンで私とおそろいにしてもらうのもありだよね)


 なんて考えてたら、横から私が先輩をイメージして合わせていたものに

「これ、俺に似合いそう?」

 って口を挟んできた。いや、お前には似合わんだろ。スタイルが違うんだから。


 意外と考えてる時間が長かったのか、先輩が早く来てくれたのか、どちらかはわからないけど先輩がやってきた。


「かや、ごめん。お待たせ。えっと……そちらの方は?」


 たいきさんを見て不審に思う先輩。


「こちらは大学で同じクラスのたいきさん。そうそう、先輩、これとかどうですか?」


 紹介なんてそこそこに、先ほどまで見てたモノトーンコーデを見せる。ついでに試着までしてもらった。


 たいきさんはいつまでもついてきてたけど。


「やっぱ似合いますね~!」


 たいきさんは、差を見せつけられたと思ったのか、意気消沈して帰って行った。


 何も言わずに帰っちゃうもんだから、先輩が

「僕邪魔しちゃった?」

 なんて言ってた。いいえ、むしろあの人が邪魔だったんです!!


 後でDM確認したら

『彼氏持ちだったんだな』

 と、送られてきた。


 先輩とご飯を食べて帰れたからそれだけで少しだけ気分が良くなった私でした。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る