第6話 リフト

初めて言葉を交わしたとは思えないような会話に発展したが、待合場所に近づいてきたのでどちらとも無く、話を止めて列に並んだ。

コーチが、

「おはようございます! 全員揃ったようですので、これから、2日目を始めます」

「では、後について来てください、リフトに乗ります」

とリフト乗り場へ下り始めた。

「おはようございます」と後ろから挨拶し、慌てて、最後尾について滑って行った。

ガタガタとリフトが支柱を通過するたびに音を鳴らし、油が落ちてくるのを心配しながら上空を見た。雲ひとつ無い黒い青空が、宇宙に抜けるようだ。周りの白さと青が際立って見える。宿泊した翌朝の朝は、リフトに人が少なくて、雪原もウサギの足跡ぐらいで、リフトの音だけが聞こえてくる。ふと、先週での雑踏の池袋駅を思い出したが、瞬く間に空の青さに吸い込まれて行った。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る