あなたの背中がわたしの居場所

久末 一純

第1話好きなあたなに届けない+あなたを好きにするために=それは恋といえないエゴイズム

 瞳を閉じればいつでもそこにあなたがいる。

 心に刻んだあなただけを、わたしは好きなだけ愛しているから。

 この胸に焼き付くあなたの輝きが、瞼の裏に映るから。

 何時でも、あなたの姿を見ることができる。

 そこにあなたがいなくても。

 何処でも、あなただけを見ていられる。

 あなたの他になにがあっても。

 初めてあなたを見た日から。

 わたしの世界は全てが変わった。

 わたしの全てをあなたが変えた。

 世界の全てが色褪せて、灰色になってしまった心のなかで。

 あなただけが色鮮やかに、わたしのなかで煌めいていた。

 それからずっと、あなたはわたしの心のなかにいる。

 どんな時も、どんな時でも、あなたがわたしの心の中心。

 あなたはわたしのなかに灯った眩しい光。

 それはわたしの思いを焦がし、想いを燃やす赤い熱。

 その真っ赤な熱に焚かれる限り、わたしがあなたを忘れることはない。

 このまま消えることのない熱が、あなたを忘れさせることはない。

 たとえわたしが灰になっても。

 燃え尽きることはありえない。

 だからわたしは忘れない。

 あの日のわたしを忘れない。

 あなたと初めて出逢ったあの日を全て、わたしは永遠に忘れない。

 あのときわたしの胸に響いた鼓動の高鳴り。

 わたしの心に罅を入れた、その心臓の脈動を。

 あのときわたしの頭を溶かした穏やかな衝撃。

 わたしの脳を蕩けさす、その砂糖よりも甘い痺れを。

 運命を確信したあの瞬間、その全てがわたしだけのもの。

 あなたと出逢えた運命が、尊く大事なわたしの宝物。

 、わたしの全て。

 、あなたの全て。

 あなたと初めて出逢ったときこそが、最も価値在る瞬間だった。

 わたしの、最高の一瞬だった。

 だからわたしは思い出す。

 何度でも、同じ姿を思い出す。

 同じ姿で輝き続ける、あなたのことを思い出す。

 出逢ったままのあなたのことだけ、何度も何度も思い出す。

 だってもう、それはわたしのなかにしか存在しないものだから。

 

 それはあなただって同じこと。

 あなたはもう、別のもの。

 あなたは、あなたじゃない。

 、変わってしまった違うもの。

 でも大丈夫。心配しないで。

 、あのときのままだから。

 わたしのあなたは何も変わることなく、在り続けるから。

 そのために、わたしはあなたの後ろに居続ける。

 三歩下がって後ろを歩く。

 あなたは一緒に歩こうと言うけれど。

 わたしは絶対に拒否をする。

 今のあなたを拒絶する。

 今のあなたをわたしは知らない。

 今のあなたがわたしには解らない。

 だけど、わたしはそれでいい。

 だからこそ、それがいい。

 わたしのなかのあなたを守るために。

 わたしだけのあなたでいてもらうために。

 あなたの背中に、あのときのあなたを見続けるために。

 あなたを嫌いになりたくないから。

 あなたを好きでいたいから。

 わたしのためのあなただけを、ずっと愛していたいから。

 お願いだから、決してわたしを振り向かないで。

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あなたの背中がわたしの居場所 久末 一純 @jun-ASAP

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