第6話  あの日見た星…?

「うわああああ....綺麗…すごく綺麗だよいおりん!!」

「そうでしょ!って私が自慢げに話すことでもないんだけどね。どう?流星君念願の屋上は…流星君??」


俺はこの時、あまりにも綺麗な空に五感のすべてを持っていかれ

どこかふわふわした気分だった


「あ、ごめんいつも見てるはずの空なのになんかいつもと違うというかなんと言うか…うまく説明できないけど、とても綺麗だなって」

「満足してもらえたならよかった!でもね同じ空なんて一つとしてないと思うの」

「ん?どういう事?」

「ま、そうだよね何言ってんの?だよね。でもね流星君、私はねいつも同じように見える空でもね嬉しい事があった日やちょっぴり悲しいことがあった日、友達と喧嘩してしまった日、....特別な人と見る時。その日の気分や感情で見える空も変わると思うの。一期一会っていうのかな?だから私は好きなんだ。」


その一本槍のような真っ直ぐな言葉に感服させられた

それと同時に何か昔に似た言葉を聞いたことがあるような気がした

確かあれは幼稚園の時だったかな、親父と母さんの三人で星を見に出かけたとき....

何だったかな全く思い出せない。そんな昔の事思い出せるはずもないか、と

割とすぐ諦めた。


「そういえば国木田さんってなんで天文部なの?」

「あ!絵麻も思ってた!廃部なりかけた時もすごく必死だったし!」

「天文部を守りたかった理由はね色々あるんだけど一つは天文部は夏と冬に合宿があるの、私の家両親とも働いてるからどこか連れて行って!って言いづらくてね、だからその合宿目当て...かな?」

「意外と打算的なんだね...ハハッなんかもっと深い理由があるのかと...」

「でもなんでそこまで星が好きなの?」

「それわねー...あの日見た星を探してるの...」

「ん?どういうこと?」

「さーどういう事でしょう。秘密です!」

「ええええええ!いおりん!絵麻だけ!絵麻だけでいいから教えてー!」

「ナイショ」


そう言うと薄く笑みを浮かべた国木田さん

あの日見た星とは一体何なんだろうか

ほんと不思議な人だと改めて思った

それでも吉川はめげずに国木田さんの口を割ろうとするが

国木田さんはそれを振り払うかのように

そろそろ時間だし帰ろうと言い出した。

吉川はむくれっ面を浮かべしぶしぶ諦めた

そして職員室の安田先生にお礼と挨拶を済ませ

みんなで帰ることになった





学校からの帰り道俺たちは次の活動の作戦会議をしていた

「次はどこいくー?」

「そうだねー私の家の近くにね海があるんだけどその堤防から見る星もきれいなの」

「おー海!海もロマンティックでいいね!」


「流星君はどこかいいとこ知らない?」


えー俺に振る?俺に振っちゃう?

どこかってどこ…かー……


「んー青山高原とかならきれいに見えそうじゃね?」

「おー!山もいいねー、山!!!」

「青山高原かー!私、高原って行った事ないかも!それじゃー次は青山高原にしましょ!」


でも確か青山高原って心霊スポットでも有名なんだよなー

一応言っておくか。いや知ってしまうと余計に気になるしな。あえて言わないでおくのも二人のためかもしれない。

でも正直怖いんだよなーマジ苦手なんだよおばけ...


あ!そうだ!


「なら春翔もさっそていい?同じクラスの中嶋春翔!」


1人じゃちびりそうなので道連れ…あ、いや助っ人を


「私は歓迎だよ!えまっちは?」

「問題なっしであります!!」

「ほんと?それじゃ詳細決まったら春翔にも言っておく!」

よしっこれで春翔も天文部に巻き込めるし、一石二鳥、四鳥、八鳥、十六鳥、三十二鳥、六十四鳥!!

ネ○かよって。誰か頭のネジをください。


「あ!そうだ天文部のグループライン作ろうよ!絵麻作るからみゃーむらID教えて!」

「お!?おう…」


何とゆうことでしょう!!


あの、家族と男だらけだったラインの友達欄に

匠の手によって一気に華やかさが追加されました。

そしてグループということは、くにくにくにくに国木田さんのもわんちゃん…

ついに!ようやく!高校に入って初の念願の女の子の連絡先をゲットした!

やはり天文部に入ってみて正解だった

吉川は空気読めなくて間の悪い奴だがかなりいいやつだし国木田さんはかわいいとにかくかわいい。国木田さんがどうして天文部にこだわったのか結局はぐらかされた感じになっちゃったけど。


「みゃーむらー!おおっとにやにしてますねえー。これは絵麻とラインが交換できて嬉しさが隠せてませんねー!もしかして初めての女の子ー?」


そうです初めてですよ!

とは言えず…

吉川の悪戯にこちらを見る視線に負けじと返すつもりが


「ンナコトネーシ???」


カタコトのように切れ切れと動揺を隠し切れずにいた


「いや、なんでカタコトだし」

氷の女王のような冷たい声が返ってきた。



雑談もそこそこに、それぞれ帰る方向もばらけ今日は解散となった。

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雨夜の流星群 よっしー @tarosuu

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