第5話 【僕】 放浪冒険者
?side
俺はどこか一定のギルドに所属していない放浪冒険者だ。
今回は、この近くにある街で帰らずの森にいる
黒狼は、6~8頭の群れで行動しているらしい。
黒狼は魔物の一種だ。
一見するとただの狼だが、狼ではありえないような知能と身体能力を持っている。
ちなみに魔物にはランクがあって、基本的にF~SSSランクまである。
その中で、黒狼はAランクに該当するまぁ強い部類に入る魔物だ。
「ガァ"-!!」
突然、森の奥のほうから黒狼のものだろう鳴き声が聞こえた。
「!!…」
俺は急いで声のした方へと向かった。
そこで目にしたものは、黒狼と黒狼に襲われたと思われる人間の死体だった。
そこには2頭しかいなかったため、手早く首を落としてかたずけた。
黒狼2頭を討伐すると、死んでしまった人間に手を合わせた。
?「早く来れなくてすまなかった。」
恰好から見るに、この森の近くにある村の村人であろう。
それにしても不思議だ。
森の入り口ならまだしも、こんな無力な村人がなぜ危険な帰らずの森の中心部にいたのだろうか。
?「まぁ、そんなことを今考えても仕方ないか。」
とりあえず、俺は依頼の黒狼の討伐に戻る。
歩いている途中に、黒狼4頭先ほどと同じであろう村の出身の村人を発見した。
先ほど同様に黒狼を討伐し、村人3人に手を合わせた。
?「報告によると後2頭いるはずだ。」
残りの黒狼を探しに森の中を歩く。
?「見つけた…」
残りの黒狼を見つけた…のはいいのだがなぜこんな崖のところでウロウロしているのだろうか。
今日は謎めいたことが多い。
黒狼がこんなところでウロウロしていることは後で考えるとして、2頭を討伐した。
これで依頼は完了だ。
さぁ、なぜ黒狼はこんな崖しかない何もないところにいたのだろうか。
そう思いあたりを見回したが特に何もない。
崖の下を覗き込んだ。
?「⁈…だ、大丈夫か!!」
なんと崖の下には白髪を己の血で赤く染めてしまっている子供がいた。
きっとさっきの黒狼に襲われて、逃げている所で運悪く崖から落ちてしまったのだろう。
俺はすぐさま崖から滑り降り、子供の様態を確認した。
頭からの出血が激しい。
口の近くに耳を近づける。
子ども「…すぅ……」
弱弱しいが、呼吸はできている。
まだ生きている。
?「すまない。」
そこで俺は自分の口にポーションを含み、子供の口にキスをした。
?「ふぅ、ん…」
俺は、子供に所詮口移しと言うやつをした。
しっかりと飲み込めたようで、喉元が動くのを確認できた。
子供にポーションを飲ませ、最低限の手当てをして、子供を背負い、街まで連れていくことにした。
?side終
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