第4話 【僕】 命
僕は、村の男4・5人と村長によって馬車に入れられ帰らずの森の祠に連れていかれた。
馬車がゴトゴトと音を立てながら走っている。
中心部付近に近づけば近づくほど空気が悪くなっていった。
いやな感じがすると思っていた時、獣の唸り声であろう音が聞こえた…。
村長「まずいぞ、中心部にいる獣なんぞに襲われたらわしらの命はないぞ…!」
村長が声を潜めてそう言うと、みな息を潜めるようにして少し移動スピードを上げた。
しかし、相手は厳しい自然の中で生き抜いてきた者達だ。
僕たちの気配に気づいてしまった。
そう思ったのも一瞬で、四つん這いの獣は僕たちの方に勢いよく襲い掛かってきた。
「ガァ"-!!」
村人「1.2.3...8匹いるぞ!!」
村人「に、逃げなきゃ、食い殺される!!」
村長と村人は、馬車なんてお構いなしに我先にと獣たちから逃げようとした。
そこに一匹の獣が襲い掛かった。
獣が襲い掛かった先は村長だった。
しかし、人間というものは醜い。
村長は自分が食われそうになったからと、隣を走っていた村人を獣の方に突き飛ばしたのだ。
僕は唖然とその光景を眺めていた。
僕の目には、痛い痛いと泣き叫び、腕をもがれ肩を食いちぎられ、生きたまま獣の餌と化した人間の姿と、それを青ざめた顔をしてみてから一目散に逃げた人間たちの姿、それを追う4頭の獣だった。
そうしてどのくらい眺めていただろう。
僕は近くで聞こえる獣の唸り声でふと我に返った。
「
そう思うと、カタカタと震える足に力を入れて立ち上がり、すぐに走り出した。
「
そんな僕を2頭の獣が追いかけてくる。
僕は必死に走った。
木の枝に服をひっかけても、土に足をとられても、ボロボロになりながらも走って走って走って走って…ただただがむしゃらに走った。
でも、やっぱり獣の方がずっと足が速くて、追いつかれてしまった。
獣は僕に向かって牙をむいた。
「ぐう"ぅぅぅ"」
肩をかまれた。
いや、噛まれたという言葉は適切ではないのかもしれない。
なぜなら、僕の肩は肉を引きちぎられて骨が見えてしまっていたのだから。
痛い…肩が…いたい、痛い痛い痛い!!
逃げなきゃ…こんなところで、こんな死に方したくない!こんなとことで死にたくない!
そこで、初めて僕は死に対する恐怖と、生きたいと思う気持ちが芽生えた。
僕はがむしゃらに腕を振った。
そんな僕の腕が獣の鼻に当たった。
一瞬怯んだすきを見て、僕はまた走った。
死にたくない、生きたい、ただその一心で。
しかし、走った先は崖だった…崖に気づかなかった僕は走り続けてしまった。
そして、当たり前のように僕の足は空を蹴った。
ドサッ!
頭が痛い。
そこで僕の意識は闇へとさらわれていった。
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