第15話邂逅、そして会敵の朝✗15

 だがしかし、悟りをひとつ開いてもこの状況を打開するにはいたらない。

 何故なら、これは単なる一時しのぎ。

 その場しのぎの対処療法に過ぎない。

 だがそれでも、この確認作業が終わるまでもてばいい。

 いまは溜めるだけ溜めて、我慢するのだ。

 この大事な作業を十全にこなし、みんなを安全に送りだしたそのときまで。

 そのあとは、みんなの無事を心の底から祈りながら、心の底まで欲望を発散すればいい。

 そう結論づけたなら、やることはひとつ。

 、いくらでもあるのだが。

「さ、アーサ。いつまでもそうやって可愛らしく恥ずかしがっていてほしいが、作業の続きをしよう」

「・・・・・・・・・うーん、わかったよ。でもキルッチ、いまさり気なくあたしのことバカにしなかった?」

「私が? まさか。。だからさっきの言葉も、本当にアーサことを可愛いと思ったから言ったんだ」

 私は真っ直ぐアーサの目を見詰め、臆面もなく言い切った。

「・・・・・・・・・だから、それ、そういうのが。もう、ホントに、・・・・・・・・・ゃめてよ」

 それはこっちのセリフだ!

 私は反射的に、鼻と口を掌で覆う。

 よし、もう分かった。

 そっちがその気なら私にだって考えがあるぞ。

 それは思考も何も吹っ飛んだ帰結だということに、私はこのとき気づいていない。

 ただ現実を都合よく、私のいる方向へと曲げていく。

 アーサはまたしてもをこすりあわせながら、縮こまっている。

 いつもの元気一杯な様子からは考えられないほどしおらしく、その顔はやはり真っ赤に染まっている。

 どうしたんだい、アーサ。そんなにから、点検してほしいのかい?

 このように、私はもうある程度我慢しないことに決めた。

 ちょっとだけ、リミッター解除だ。

 でなければとてもじゃないが、これ以上持ち堪えられそうにない。

。アーサがそんなに恥ずかしがっていては先に進まないから、私が自主的に進めることにしよう。最初に言っておくが、これは誰も悪くないからね」

 強いて言うなら、こんなに可愛いアーサが悪い。

「えっ、なに、ちょっと待ってよキルッチ! まだ心の準備が、っていうかなんでそんなに指が蜘蛛みたいに動いっ、ひゃん!」

 私はアーサの抗議を無視し、まずは右腕から愛撫・・・・・・・・・ではなく装備の確認と点検を行った。

 その際漏れたアーサの声は私自身の心を濡らしたが、浮かべた表情の真剣さと真面目さに綻びはない。

「ちょっ、キルッチ。くすぐ、ったいってば。その、触り、かた」

、アーサ。これは大事な作業なんだからな」

「そんなこと言ったって・・・・・・・・・」

 言いながらも私の指は、まさしく蜘蛛の如くアーサの肌の上を這い回る。

 少女特有の、しっとりと吸い付くようなきめ細かく瑞々しい肌。

 柔らかいのに弾力があり、少し押せばぷるんと私の指を押し返してくる。

 更にアーサはかなり鍛えているため、その肌の奥に息づく筋肉の逞しさと熱さ、流れる血潮の鼓動まで感じられる。

 心のなかではアーサの肉体を、これでもかというほど堪能している。

 どうして現在の科学力で、この肌触りと質感を再現した抱き枕がないのだろうと、本気で思いながら。

 もしもそんな一品が開発されたあかつきには、私の財布の紐が千切れ飛ぶことは火を見るより明らかだ。

 それともこれはあれか、、天からの啓示なのか。

 そんなことを思いながら、頭では正確かつ厳格にスーツの各部に不備がないかを点検・確認していく。

 同様の手順で左腕、右足、左足もチェックしていく。

 その度にアーサのあげる「んっ・・・・・・・・・」とか「やぁん・・・・・・・・・」とか「はふっ・・・・・・・・・」といった喘ぎご・・・・・・・・・じゃなくて囁きは、私の心を大いに潤わせた。

 そうして四肢の点検及び確認を全て終え、とうとうこの作業の本丸へと到達する。

 待ちに待ったお待ちかね。

 本命にして本番たる、胴体部分の検査へと。

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