第36話インテルメッツォ-36 差異/再意
「
魔王は一歩ずつゆっくりと、だが力強く確実に歩みを進めてゆく。
そこには立ち止まる様子もなく、ましてや後ろへと引き返す気配など微塵も感じられはしない。
少女と色だけは同じ黒いその瞳は、ただ前のみを向いている。
そうして歩む一歩毎に、何かを確かめていくように。
あるいは、何かを問い掛けているように。
魔王は、少女のもとへと近づいてゆく。
そんな男へと正面から瞳を結び、少女は己の心を真っ直ぐに言葉にする。
その
「残念、か。またしてもお前らしくもないことを云うではないか。そのようにしおらしい
男の声は何処までも優しく、包み込むような暖かさに満ちていた。
「だが、俺はそうは思わん」
しかし魔王の言葉は大地に根を張る鋼の如く、少女の想いを弾いて砕く。
「故に、此度のお前の言は間違っていない。俺は、何ひとつ諦めてなどいないのだから。お前の心の臓を自らの手で貫くその
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