能天気物書き作家による、のほほんとしたのどかな日記帳

第67話 無料で儲かるシステムなどない

　世の中にはうまい話が沢山転がっている。

　一昔前は高齢者の自宅に電話をし、息子のふりをしてお金を振り込ませるオレオレ詐欺が中心だったが、近年、ネットが普及し、そのネットという顔の見えない立場からして、幅広い年齢層に向け、あらゆる手を使って金銭を騙しとろうとする。

　言葉巧みなネットのサイトにコロリと騙され、アドレスなどを登録してみれば、次の日から日中構わず強引なメールの送りつけ。

　それだけなら未だしも、アドレス以外に登録した個人情報を利用して、郵送や電話の嵐。

　さすがにこれには耐えられない。

　郵便局やAmazonのサイトをそっくり利用した悪質サイトにはネットに慣れていても否応なしに沼に浸かってしまう。

　あなたの注文していた商品を郵送したいので確認のため、登録情報を教えて下さい。

　会員の手続きが必要なので、登録情報を再度ご登録して下さい。

　厳選な抽選からあなた宛にプレゼントが当たりましたので、詳しい情報を……など、何にせよ、異様なほどに個人情報を知りたがるおかしな内容。

　別名、フィッシングメールと呼ばれる悪質な迷惑詐欺メールである。

　このご時世、詐欺グループも必死なのだろう。

　──そんな私もその類いにより、カモにされた時があった。

　私が引っかかった詐欺は株関連を取り扱う会社であり、見た感じには怪しさもなく、一見普通な会社のサイトだった。

　向こうが用意した数千円という資金で次に来る株の値段が上がるのを予想する。

　素人でも大丈夫、自分達の予想に従っていれば大丈夫。

　外れる時もあるけど、必ず元手はとれるからというLINEを元に、私はその株で大儲けをした。

　そのサイトはYouTubeでもその株で稼ぐ仕組みを詳しく解説しており、何も知らない私はそのシステムにのめり込んだ。

　やがてメールの通知で次の値上げ予測の情報が届き、気づけば数千円の資金が何十万になり、私は浮かれ気分でいた。

　そんな矢先、向こうからメールが届いた。

　今までは無料体験でしたが、これから口座にお金をこれだけ振り込めば、続きも株取引ができますとの内容。

　私はその内容で我に返り、その取引を急遽止めた。

　世の中にはうまい話が沢山ある。

　タダで儲かるシステムなどない。

　無料を偽ってお金を騙しとる、そんなことが主流なのが一般的だ。

　己が好きな趣味と同じく、儲けるためにも下準備、それなりの資金が必要なのだ。　　

　そして騙されてたと気づいても、アドレスを変えないと今度は他の怪しいアドレスが送りつけられる。

　こうなってしまえば色々と登録情報を変えないといけない。

　元はといえば自分がまいた種。

　お金が欲しいなら地道に働いて稼ぐしかないのだ。