第53話 そしてドラクエの作曲家、すぎやまこういち氏は伝説へ
有名ゲーム、ドラゴンクエスト(以下略ドラクエ)の曲を35年間も作曲してきたすぎやまこういちさんが天に召された。
ゲームに詳しくなくても彼の名前を知らない方はいないだろう。
彼はクラシック界でも活躍し、ドラクエをオーケストラ化にして様々な音楽家の心を揺るがした。
彼の作曲した作品のドラクエのサントラは瞬く間に売れ、あるサントラは並みいる有名クラシックのアルバムを押し退け、堂々の一位になった作品もあるからだ。
すぎやま氏はドラクエやクラシック界ではなくてはならない存在となった。
ファミコン時代の当時、同時に流せるサウンドが三和音までしか作れない時代に、私は二和音で作っていましたと堂々と語る彼。
50というそう若くもない年齢からドラクエの作曲を始めた彼は瞬く間にゲームサウンドの神とまで言われた。
彼の凄い所は何作品も同じ作品のサウンドを作曲しても、使い回しのサウンドは作らないという部分。
あくまでも合わせるのはオープニング曲のみで、その他は似たようで似つかないファンタジー色の膨らむ作風を作ってきた。
90にもなって生きてきた作曲家はゲーム機種が変わろうとしても、持ち前のドラクエの雰囲気は変えずにいつも真っ向から勝負してきた。
よくあるロック音楽に移行したとか、分かりやすくダンスミュージックに変化したのではない。
すぎやま氏は独自のドラクエの作品を生かし、あくまでもドラクエというオーケストラ楽曲をテーマにして、様々なドラクエの作曲をしてきたのだ。
──ゲーム音楽というものは作曲家にとっては未知の世界だ。
そもそも作曲時にはろくにゲームの紹介資料がないので、半分は自分の感性で作らないといけない。
何もない空間にいかにして音楽で人々を惹きつけるか。
最近は歌ものというゲーソンというジャンルが当たり前になり、すぎやま氏のように何もかもサウンドのみでゲームの世界観を表現する方はあまりいない。
言葉がない分、サウンドでユーザーを魅力にさせるしかない。
彼は常にドラクエの最先端に立ち、ゲームは耳でも楽しむものと強調させていたのである。
──これまで彼の手により、様々なドラクエの音楽が生み出された。
私はプレステ3やswitch以降のドラクエ作品は未プレイだが、ドラクエのサントラは今でも愛聴している。
特に3から5のオーケストラ版がお気に入りで、執筆に煮詰まった時によく聴く。
いつ聴いてもドラクエのオーケストラのサントラは古くさくなく色褪せない。
目を閉じれば、あの頃の風景が甦る。
不思議で心地よいサントラだ。
今まで素晴らしいサウンドを作ってくれてありがとう。
彼の名は永遠に語り継がれるだろう。
そして伝説へ……。
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