第52話 ウマ娘はそのタイトル通りうまかった

『ウマ娘』という言葉がある。

 元はスマホゲームからの由来らしいが、ゲームを卒業した私にとってはその言葉にハテナマークが終始離れなかった。

 

 そのゲームを初めて知ったのもテレビからである。

 たまたまCMでやっていた内容からウマ娘の本当の意味を知ったのだ。


『えっ、尻尾を生やした生身の女の子が競技場を走ってる!?』


 当初は凄く衝撃だった。

 ようするに女の子が馬の代わりになって、レースに出場して走るという前代未聞な内容だったのだ。


 SNSでウマ娘の画像を付けて、最高と呟いていたファンの心境に少しだけ近付けた気がした。


 ──10月。

 この秋への変わり目の時期にウマ娘がテレビアニメになることになった。

 しかもゴールデンでの放送。

 これは目が離せない。


 私は初めてみるウマ娘の世界に足を踏み入れた。

 そう、震える手を押さえながら第一話を試聴した。


 何これ、セクハラ?

 大の男が少女に向かって痴漢紛いの行為。


 ゴールデンだよね、

 サービスカットか知らないけどこんな内容で大丈夫? 

 小さなお子様も観ているよね。


 私は困り果てた感想のまま、続きを観てみる。


 なるほど、ウマ娘に憧れた少女が競走馬で活躍したいがために都会へとやって来るのか……王道のパターンだな。


 そして、寮に入って個性的な仲間達とトップのウマ娘を目指す。


 アイドルマスターに競馬をうまく絡めてみました的な斬新な作り。

 競馬と違う所は優勝したら夜のステージで彼女の歌のライブが聴けるという部分。

 ここにはアイドル要素を感じれる。


 ウマ娘の名前もどこかで聞いたような競走馬からの名前で、大人にも人気な理由も分かるなあと、しみじみ思ってしまった。


 しかし、問題点もある。

 登場するウマ娘が多すぎて名前が覚えられなく、顔と名前が一致しない状態。


 ゲームや競馬に詳しい方なら問題ないと思うが、何も知らない初心者にこれはキツい。


 学校のグラウンドを重量のあるプロテクターを着けて走れと言っているような物。


 そのためか、名前を覚えようと必死になると物語に感情移入しにくい。

 

 最近はこのような作品が多い。

 時代は変わりつつあるのか。


 ──これを観ているとアニメの艦これを思い出す。

 あれもゲームからで、多彩なキャラが登場して、結局覚えきれなかった記憶が甦る。


 アニメの物語は良かっただけに残念だ……。

 だが、序盤から切ない展開で涙を誘う。

 ハンカチは欠かせない。


 ──ウマ娘、こうして観てみると奥が深い。

 最近になり、ゲームユーザーがあの娘が推しだと白熱する意味が分かったような気がする。


 早朝の時間帯に放送する内容には少し愚問を感じるが、楽しいならそれで良いのだろう。


 さあ、スマホを手に取り、スタンバイOK?


 ウマ娘はそのタイトル通り、馬勝うまかった。



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