第7章 2021年、10月の呟き

第51話 一人暮らしを始めて

 まだまだ暑い日が続く異例な10月。

 心機一転のつもりで一人暮らしを始めた。


 元から一人で暮らしたいという案は少し前にあったのだが、大人の都合上、色々とあり、こうやって引っ越しをするという方向性へと固まった。


 今まで、仲間と過ごしてきた私にとって、一人暮らしは私に憧れの存在でもあり、今回の決定は私の中の心を奮い立たせた。

 

 まず、一人暮らしになり、大変だったことは身の回りの道具揃え。

『僕、ドラえもん~♪』とまではいかないが、ありとあらゆる物を買い揃えた。


 前の住人の荷物(落としもの?)もあったが、肝心の製品は手元になく、様々な商品を購入した。


 中でもお気に入りなのは炊飯器で値段の割りには機能が充実している。

 ちょっと炊けましたアラームが特殊な音だが、慣れてしまえば大したことはない。 

 無洗米にも対応しており、中々の優秀家電である。


 ──そうやって家電を揃え、いざ生活と思いきや、あることに気が付いた。


 砂糖、醤油やマヨネーズ、塩に塩コショウ、みりん、味噌、ケチャップなど。

 食材を買っても調味料がないと何も作れない。


 前は材料を切らしたら相方が買ってきてくれるというナイスなこともあったが、今回は一人。

 何もかも自分で揃えるしかないのだ。


 こうして私はせかせかと物を買った。

 調理の原点の包丁とまな板はそれなりに良いものを買った。


 何でも安ければ良いものじゃない。

 自分が実用する物はそれなりのを買わないと逆にストレスが溜まるからだ。


 ──あれから一週間が経った。

 ドタバタとした片付けも落ち着き、のんびりと過ごしている。


 この暮らしをして気づいたことがいくつかある。

 周りに人がいないせいか、ストレスにならない。

 元々人付き合いが苦手な私にとってはとても良いことなのだろう。


 時間の流れもゆったりと流れ、自分のペースで物事に取り込めるようになった。

 好きな時間に食事ができたり、入浴できたりと自由が効いていていい。

 相手のことを気遣って動く必要はないのだ。


 また、執筆生活にも良い影響が出た。

 毎日自然と一人の時間が作れるので物書きに集中できるということ。


「何、書いてるんだよ。朝から晩まで画面とにらめっこして、この陰キャが」

とか言われることもなくなった。


 そもそも小説を書いて生きがいを得ている私にとってその発言は失礼なのではないのか。

 所詮、陽キャとは分かり合える身ではなかったか。

 距離をとって良かったなと心から感じている。


 さて、問題は光熱費なのだが、いくらかかるのだろうか。

 一人暮らし、それは節約家にもなれ、中々、生きざまを感じさせる暮らしでもある。


 これが生きるということなんだな。


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