第46話 小説を書くようになったきっかけ(2)

☆前回のあらすじ


 アマチュア作詞家として日々を奮闘していた私は、朝焼けに鳴く音程の狂ったニワトリの叫びにより、この世界では生きていけないと感じ始め……。


 そんな内容じゃないでしょ。

 つまり前回からちゃんと読めと?

 中々のさくしだね。


****


 作詞家を辞めて、次に私が目指したのは漫画イラストの世界でした。


 この頃から私がやりたいことは小説家と思っていましたが、純文学という一般な内容の小説が書けるわけではなく、漫画やアニメなどの影響でライトノベルというジャンルに興味を抱き出していました。


 これは学生の時からの憧れでしたね。

 スレイヤーズやロストユニバース、魔術師オーフェンなどの作品は私の心をとことん震わせました。


 原作の小説まで買って、仕事先の休憩中にも読んでいましたからね。

 先輩が読書中の私に近寄り、横から覗き見し、音読してからかっていた場面が今でも思い浮かびます。


 懐かしいですね。

 もう何年も会ってませんが、今も先輩は元気にしているでしょうか。


 そして、それらの小説を読んでいて気づいたのです。


 みんな、アニメ風のイラスト付きだなと。

 みんな、そのアニメの表紙に釣られて本を買っているという部分。


 かくなる私もそうであり、文を読み進めた先にある漫画イラストに心を奪われていました。


 だったら自分も描いてみたら。

 小説を書き、イラストまで描けたら最強じゃないかと。


 そんなマルチクリエイターみたいな存在に憧れてイラストの勉強を始めました。

 作詞家を辞めて、一ヶ月後のことでした。


 ──以前にもここで話したと思いますが、私は小学生の頃から自作の漫画を描いていました。

 そのせいか、絶対的な自信がありました。

 漫画イラストなんて楽勝だと。


 しかし、実際に勉強してみて、それが裏目に出ました。

 原稿用紙に作品をトレスして移し、初心者専用のカブラペンでもキャラの顔の丸い輪郭が描けない恐ろしさ。


 それもそのはず、今までは大学ノートに鉛筆でイラストを描いていましたから。

 いきなり出来るものじゃないんです。


 一ヶ月後、何とかペンで書き味を得た私に次に降りかかってきたのはトーン貼り。

 トーンの材質を手に入れて、カッターで切り抜いて、原稿の上に貼り付ける。

 これが難しく、何度も挫折しそうになりました。


 ホワイトも激ムズで最初は線すらも引けなかったですからね。


 こうして苦戦しながらも、何とか仕上がったトーンやベタ塗りの付いた本格的な原稿の仕上がりに私は歓喜しました。

 どんなに苦難なことでもやれば出来るんだ。

 漫画イラストという世界は私の『小説に一途』という心のイメージを覆しました。


 こうして私は色鉛筆や水彩絵の具、コピックなどの着色のやり方を覚えて、イラストの腕を磨いてきました。


 そこで思ってしまったのです。

 あれ、私、物書きより、イラストの方が向いてないかと……。


 さて、ここからどうやって小説を書くようになったのでしょうね。

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