第6章 2021年、9月の呟き

第47話 小説を書くようになったきっかけ(3)

☆前回のあらすじ


 来る日も来る日もイラストを描いていた私の元に一通の手紙が届いた。

 イラストの勉強をするなら本場のハリウッドで色々と経験を積まないかと。

 私の新しい春がやって来る……。


 ちょっと待て、また勝手に話を誇張して。 

 よい子が鵜呑みにしたらどうする?


 まあ、よい子はこんなマニアックな小説は読まないか……。


****


 私は、とある有名イラスト投稿サイトに作品を投稿しようと徐々にイラストの腕を上げていきました。


 しかし、ある部分の描き方に頭を悩ましていました。


 キャラクターの瞳の描き方です。

 私は瞳の大きなアイドルのようなキャラ(萌えキャラ)を中心に描いていましたので、この部分を描くのに苦労しました。


 雑誌などでキャラの印象を掴み、顔の輪

郭、手指の細かい描写などを物にしてきましたが、私にとって一番難しいのは瞳でした。

 雑誌のようにキラキラとした魅了される状態にはできなかったのです。


 そこであるイラスト専門誌を手に入れて、瞳の彩度の入れ方を頭に叩き込みました。


 私はコピックを重ね塗りしながら、何とか雑誌に近づけるイラストを描けるように日々練習を重ねました。


 イラスト活動を続け、季節は一年を迎えるようになっていました。


 そんな時、私は気づいてしまったのです。

 世間はデジタルの時代。

 このご時世にアナログでイラストを描くのは古いのではないかと。


 パソコンを購入して、イラストのソフトを読み込めば、キャラの色塗りも背景も短時間で作ることができて、修正やコピーも思うがまま。

 もちろんコピックなどの道具も不要だし、瞳の色付けも楽に描ける。


 アナログでの私にとっては衝撃的だったでした。

 私はその瞬間からイラストの道から少しずつ離れていきました。


 当時、パソコンに関しての知識がない私には未知の領域だったのです。


 でもどうせなら背景の勉強も兼ねてみるかと、水彩絵の具で風景画の描き方を覚え、私のイラスト人生はそこで終幕を向かえました。

 

 一ヶ月後、私は長々とした休養を取りながら、今度は原稿用紙に小説を書いていました。

 自作の小説を見て評価してくれる場所があると聞き、そこへ応募してみようと思って投稿する決意をしたのです。


 一人で悩んでも自分の文章力は分からないまま。

 それでは何も変わらない。


 私はこの頃からイラストから退き、小説一本で書いていくことを決意していました。


 それから一ヶ月後に自分の元に返却され、読まれた原稿には衝撃的な事実が書かれていました。

 内容は斬新でそれなりに良いけど、物語の方向性が間違っているのでは? と。


 無理して様々なジャンルに手を出すより、自分の得意なジャンルで攻めなさい、と。


 これ以降から私はラブコメをメインに小説を書くようになりました。


 私の小説家としての人生は、ここから始まったのです。

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