第5章 2021年、8月の呟き

第39話 本当にあった怖い話、幽霊は見えずとも実在はする

 小学生の頃、心霊ブームで学校でも怖い話が流行っていました。


 その中の話の一つとして、『さっちゃん』という女の子がありまして、そのさっちゃんがバナナが欲しくて買い物に出たのですが、途中で交通事故に合い、両足を切断し、命をおとしてしまいました。


 そして、この話を聞いた人は今日寝る前にさっちゃんが好きだったバナナのイラストを枕元に置かないと、自分の両足を奪われる。


 そんな子供の戯言でしたが、その夜中、私の家にて奇怪な出来事が起きました。


 深夜2時に、ふと目が覚めた私は早すぎるゆえに再度寝ようと布団にこもったのですが、それが聞こえ始めたのです。 


 床を踏みしめる人らしき足音が……。


 その足音はどんどん私の寝ている場所に近づき、最後は私の寝ている周りをグルグル回る。


 いつの間にか、私は心霊体験に悩まされるようになったのです。


 次の日、学校で何も起きなかったという仲間に対して、私だけが真顔で『いたよ!』と答える姿。


 不思議に思っている男子に、後に私が打ち明けた担当の教師から注意され、その男子はただの冗談だと言ったそうですが……。


 じゃあ、私に来た幽霊はどこから来たのかと考えを巡らすとありました。

 数日前に近所の無人と化したボロ屋敷にて友達と遊んでいたのです……。


 あの時、友人が隠れたのを確認して、一人で探そうとしたあの足音。

 あれは友人の足音かと思いきや、実は幽霊の足音だったということに……。


 それから毎晩、私は夜中に目を覚まし、その足音に悩まされました。

 深夜の2時に近所の犬が吠えだし、私の家にやって来る足音。


 しかも雨の時は濡れた足音になり、ぴちゃぴちゃという音の他に、たまに何かをひきづる金属のようなズルズルとした音……。


 これにはどうにかならないものかと、毎晩困り果てていました。


 しかもその足音は両親がいない昼間でも聞こえてくるようになりました。


 見えない相手が音だけを立てて迫ってくる。

 小型の飼い犬を抱えて味方に付け、いくらか怖さを抑えていた私でしたが、その犬自身も怖がってクーンと鳴いていました……。


 ──その音に頭を抱え、1年が過ぎ、とある情報が私の前に飛び込みました。


 霊能力がなくても、その能力者が念を込めた言葉を言うだけで、幽霊を成仏させる効果があると言う言霊のような情報。


 私はすぐさま、その言葉を調べて昼間に幽霊がいるであろう空間に向かって叫びました。


 すると、その夜から足音がピタリと止みました。


 ──あれから何年も経ち、『あなたは幽霊を連れてきやすい体質だから、そういう場所には行かない。また、かわいそうという感情をそんな場所で表には出さない』などと、相談をしていた親に釘をさされ、

たまに道路側の割れた台所の窓から、蛇口から錆びついた赤い水が流れていたあのボロ屋敷も解体されました。


 私には霊感はありませんが、この経験から幽霊はいると信じています。


 本当に怖かった想い出ですね。

 少しは涼しくなったでしょうか。

 季節も8月になり、暑い夏にピッタリな本当にあった怖い話でした。

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