第21話 レミングスという異色なゲーム
私は今でこそゲームプレイには、ほとんど触れてはいないが、昔プレイしたゲームで、とにかく異質で変わった作品を遊んでいたことがあった。
そのゲーム名は『レミングス』。
今でこそ、累計2000万ほどの売り上げを誇る超有名パズルゲームである。
ちなみにレミングスに登場するネズミの種類の『レミング』とは実在する生き物であり、ある日、突然、集団で行動して、あの世へ旅立つという不思議な生き物であり、この生体をヒントに思いついたゲームらしいが、その内容は恐ろしいじゃ済まないほどの残忍なゲーム内容である。
ルールは非常に簡単。
地上の扉から地下に下りてきた大量のレミング達をこちらから指示しながら、画面一番下の地下の出口まで逃がすというシステムなのだが、そう簡単にはいかないのが特徴である。
いくらゲームとは言え、レミング達があまりにもひ弱すぎるのだ。
ちょっと高い所から下りると水溜まりのようにペチャンコになり、再起不能になってしまう。
それを防ぐためにレミング達に指示を出し、何とかレミング自身で壁を作って通れなくしたり、ツルハシを使って斜め下に穴を掘ったり、高すぎる所からはパラソルを付けて緩やかに下降させたり……。
そんなレミング達が何百と下りてくるのだ。
しかも凄まじいスピードで……。
ひ弱な生き物の割りには移動スピードは速い。
そのスピードは檻から本気で逃げ出したハムスター並みに速い。
ただ、ハムスターと違う部分は目の前に壁がない限り、一直線で突っ込んでいく所。
その先に炎や海、絶壁などがあっても、ひたすら集団で突っ込んでやられるから、気付いた時には全滅して、クエストが失敗という場合もよくある。
恐ろしいゲームだ……。
これがスーファミで平然と発売していたからね。
当時は食わず嫌いじゃなかった私は即座にこのゲームにのめり込んだ。
そして、このレミング達の最大の武器が『自爆』である。
レミングに自爆の命令を指示すると、頭にカウントの数字が刻まれ、ゼロになるとその場で立ち止まり、体を震わせ、『オーノー!?』と叫びながら爆発する。
その爆発の威力は強力で、固いブロック塀などをいとも簡単に破壊する。
この爆発を上手く使い分けるようにして、ゲームを進めるのだ。
発想がめちゃくちゃである。
そんなシビアなゲーム内容にも関わらず、BGMはクラシカル。
『昔、懐かしのクラシック、ジャズセッションを、のどかにやってみませんか?』的のゆるゆるな癒しの音楽で、曲だけ聴いてみても、レミング達が荒っぽい行動をして、子供は見てはいけません的なゲーム内容とは思えない。
──さあ、最後にこのゲームを遊ぼうと思い始めたあなたへと告ぐ。
小動物だから可愛いし、守ってあげたいという情けは捨てること。
このゲームには甘えがない。
突然出てきたレミングを奴隷のように使い、仲間の犠牲を糧にして進む容赦ないゲームである。
近年、様々なゲームが誕生してきたが、このレミングスだけは異色過ぎる。
何度も言うが、恐ろしいゲームだ……。
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