第9話 職場勤めはよく考えて
今でこそ平穏無事な場所で働いていますが、ここの職場に勤めるまではハチャメチャでした。
俗に言うブラック企業という代物です。
朝から朝方まで勤務して、残業して、低賃金でこき使われて、あの頃の私はそれが普通と感じていましたから怖いものです。
若さとは怖いもの知らずなのでしょうか。
月に支払われたなけなしの給料でゲームを買って過ごして、隙あれば仕事漬けの日々。
頭の中まで仕事という生活で、ホルマリン漬けにされていた気分です。
休みもほとんどありませんでした。
月2日でした。
週休じゃないし、連休も年末年始の休みもないです。
でも、あの頃の私は何も知らず、これが働いてお金を稼ぐことなんだと思い込み、何の疑問も抱いていませんでした。
それから何で今のような場所に行けたのかって?
資格習得ですよ。
当時から資格が無かった私に選ばれた職場はブラックな職場でした。
資格をとり、それなりの好条件が整った場所に行きたかったのです。
私は1年という長い期間の中、仕事の傍ら、必死に勉強しました。
そして、合格して手に入れた資格。
その資格はこれまでの私の就職先、いえ、進路をガラリと変えました。
人間、やる気があるだけじゃ駄目なんです。
何かしらの資格を手に取り、頑張った証拠を見せないと、企業からは中々目を向けてもらえないのです。
こうして私は今の場所に入社しました。
そこで色々なカルチャーショックを受けました。
正しいことをしても怒られない。
ネチネチとした嫌なことがない。
残業もなく、定時にすんなりと帰れる。
有給というものが使え、使っても文句を言われない。
……などなどと、取り上げたら数えきれないほどの驚きの連鎖反応でした。
もう、家の屋根に寝転んで日向ぼっこしながら光合成できるかも。
私が、がむしゃらに仕事をしていたら、あまり無理をするなと言われたり、忙しい仕事を手伝ってくれたり、優しい人たちばかりです。
今までは与えられた仕事は、人に頼らず、何もかも一人でするのが当たり前の世界でしたから。
もちろん、その仕事が終わるまで残され、ちゃんと帰れませんでした。
今でこそ、このような職場に勤めてはいますが、もしあの企業とかで、ずっと働いていたらと考えたら身震いがします。
しかも噂によれば、倒産してしまった会社もちらほら。
どのみち辞める決断をしなければいけなかったみたいです。
入社してすぐに退社では今後の就職にも影響します。
世の中、お金が全てとは限りません。
お金で健康は買えませんから。
だからこそ、仕事選びは慎重に。
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